ー旅立ちの章76- 利家くんが加勢にきたんやで!これで勝てるんやで!
田吾作くんの背中に1メートル弱の手槍が突き刺さっているんやで?利家くん、ありがとうやで?わいが危険な状態やったから、手槍をぶん投げて、助けてくれたんやなあ。わい、利家くんの男前っぷりに久しぶりにお尻が濡れそうなんやで?
「あれ?おかしいッスね。殺したつもりだったんッスけど、起き上がりやがったッス」
利家くんがそう言うとほぼ同時に、今の今まで痛がってた田吾作くんがのそりと立ち上がり、口からヨダレをダラダラと流しているんやで?
「嗚呼!教祖様のお薬は最高だぎゃ。痛みが吹っ飛んだんだぎゃ。嗚呼、幸福感に包まれていくんだぎゃあああ!」
田吾作くんが両目をくわっ!と剥き出して、自分の頬をがりがりと両手の爪で掻き毟り始めたんやで!?なんや、こいつ、まじでヤバいんやで!
「喜兵衛、お前もさっさと教祖さまの薬を飲むんだぎゃ。おいらは加勢してきた、この色男を殺すんだぎゃ。いや、待てよ?殺す前に、尻の穴を散々、掘って掘って、堀り尽くしてやるだぎゃ!ひひっひひっ!」
田吾作くんはそう言いながら、首だけグルッと回して、斜め後ろに位置する利家くんを睨みつけているんやで?
「利家くん、気ぃつけてな!こいつら、なんか、怪しい薬をきめているみたいなんやで!それで、痛みとかそういったもんが飛んでいるみたいなんや!」
「ほう。それは奇妙な薬もあったもんッスね。でも、痛みが消えるだけで、ここまで人間、おかしくなるとは想えないッス。これは、幻覚作用のあるキノコとかが薬に混ざっているかもしれないッスね!」
利家くんはそう言うなり、一気に田吾作くんに走って近寄っていって、田吾作くんが利家くんのほうに完全に振り向く前に、横腹に蹴りを入れるんやで?おおっと、田吾作くん、ふっとばされたあああ!やで?
「うおっと!槍が抜けないッス!」
あああ!わいのどあほ!利家くんに大事なことを言い忘れていたんやで!そのために、利家くんが蹴りの力を利用して、田吾作くんの背中に刺さった手槍を引っこ抜こうとして、その手槍に手をかけていてしまっていたんやで?
利家くんは自分の蹴りの力で、自分から体勢を崩すことになったんやで?そして、田吾作くんから少し離れた位置で利家くんがひざまずくことになるんやで?
「とーしーいーえーくーん、大ー丈ー夫ーかーいーなー?」
はっ!わいの【瀕すれば鈍する】が発動したんやで!しまったんやで!?わい、利家くんが体勢を崩して、倒れ込むのをのんびり視ていたんやで?
何やっとるんや、わいは!敵は田吾作くんひとりちゃうかったんやで!喜兵衛くんが、わいの側におったんやったわ!
うわあああ。どないしよ。わい、完全に喜兵衛くんから眼を離していたから、どっから、喜兵衛くんの攻撃が飛んでくるか、全く予想がつかないんやで?
あかん。こうなったら、直観で右の方に横っ飛びするんや!おいやあああ!
グサッ!
「うぎ、うぎぎぎ。なんで、また、お前、後ろからの攻撃をかわせたんだっぺ!ぐぐぐ!鋤が地面に深く刺さり過ぎて、抜けないんだっぺ!」
うわあ。わい、今の喜兵衛くんの攻撃をよくかわせたもんやなあって、いたあああ!わいの左の太ももが軽くえぐられているんやで?くっそ、わいの左太ももから血がだらだらと流れ落ちているんやで?
幸い、身体の中のふっとい血管が切れたわけやないから、すぐに失血死するわけやないんやけど、このままじゃ、まじでやばいんやで?この怪我じゃ、喜兵衛くんの攻撃を満足にかわすことは不可能や!
喜兵衛くんの鋤が地面に突き刺さっている間に、なんとか挽回策を想いつかなならんのやで?
「うぎ、うぎぎぎ。やっと、鋤が地面から抜けたうぎぎぎ。今度こそ、とどめをさしてやるんだっぺうぎぎぎ!」
喜兵衛くん、両眼を剥いて、さらに口から泡を吹き始めているんやで?しかも、さっき、わいがあいつの肺の部分を後ろからぶっ刺したから、血の泡と化しているんやで?てか、あの状態で、なんであんな膂力を叩きだしとるんや?わいには不思議でたまらへんで!
「死ーねーだっーぺー!」
あかん!挽回策を想いつく前に【瀕すれば鈍する】が発動してもうたやんか!こうなったら、今はとりあえず、喜兵衛くんの攻撃をかわすことだけに専念するんや!
利家くんが、田吾作くんの方をなんとかしてくれるまで、わいがしのぎ切れば、2対1になって、圧倒的に、わいらのほうが有利になるんやで!
わいにとって運が良いことに、喜兵衛くんはただ単純にわいの胸目がけて、鋤をまっすぐ突いてきたことやで!?これをまず、身体を少し左によじって、最小の動きでかわすことやで?
そしたら、また、こいつ、アホやから、地面に鋤が想いっきり突き刺さって、抜けないんだっぺ!とか言い出すはずやで!その間に、転がりながらでも位置を考えつつ、距離を空けるんや!そして、出来る限り時間を稼ぐんやで?
利家くん、頼んまっせ!わいが喜兵衛くんから逃げきれなくなる前に、田吾作くんを殺してくれやで!?




