ー旅立ちの章73- 高速渦巻き攻撃、見破らせてもうらうんやで!?
くっ。こいつら、3人による同時攻撃かいな!よっしゃ、今こそ【瀕すれば鈍する】の発動やで!こいこい、わいの特殊能力!こいつらをけちょんけちょんにしてやるんやで!
「おーらーの高速なー、うーごーきーが、みーえーるーだっぺーかー?」
まず1人目の男が鋤の矛先をわいの方に向けて、突っ込んできたんやで?よっしゃ、わいの読み通りや。こいつら、殺す気で来てるから、やっぱり【瀕すれば鈍する】が発動したんやで?
ここで注意せなならんことは、こいつらの攻撃は一人目のをかわしたところで、続けてやってくる2人目が間髪入れずに攻撃してくることや。だから、かわす方向を間違えたらあかんことや。
あいつら、右、左、真ん中とちょっとずつずれているわけやから、1人目はわいを左方向にかわすように鋤で突いてくるはずやで?それなら、わいはその逆手をとって、大きく右に回避行動を取ればいいわけや!
いや、ちょっと待ってくれやで?ここはわざと誘いに乗ったほうがええんちゃうか?もし、右に回避したら、こいつら、一旦、攻撃をやめて、作戦変更してくる可能性があるんやで?
作戦変更されて、囲まれたら、余計に厄介やな?ここは最低、ひとりを戦闘不能に追い込むことこそが肝要なんやで?
というわけで、わいは左の方に回避行動をとるんやで?おっ?1人目の男がニヤリと笑みを浮かべているんやで?そりゃそうやろな。わいがまんまとひかかったと想っているもんな?
さて、2人目が鍬を横に構えて、薙ぎ払いをしてくるんやで?これは、わいの横腹をえぐるコースやな?そして、わいを動けなくして、最後に3人目が振りかぶっているあの鍬で脳天を割るってことかいな?
よくよく考えられた連携なんやで?だけど、お前らの失敗は、わいが【瀕すれば鈍する】を発動できることを知らん事やで?
わいは手に持った槍を自分の左側面に縦に構えるんやで?これで衝撃を緩和して、さらには鍬をぶつけられた勢いを利用して、一気に3人目の斜め横方向に移動するんやで!
がっきいいいいん!
うっほ。結構な腕力の持主やで。2人目の男は。わい、予想以上に吹っ飛ばされたんやで?まあ、そのおかげで3人目の男が目測を誤って、慌ててこちらに鍬を構えなおすんやで?
はっ!その判断の遅れが、あんたさんの命取りやったんやで?わいは縦にしていた槍を少し斜めにして、そのままの勢いで3人目の左肩にぶち込むんやで!?
がっごおおおん!ぼっきぃいいい!
「いでえ、いでええええよおおお!こいつ、わてらの高速渦巻き攻撃を見切っただけじゃなくて、反撃までしてきたんだべ!うぎゃあああ!左肩の骨が折れたんだべえええ!いだいんだべえええ!」
「与作。しっかりするだぎゃ!てめえ、よくも与作に怪我させやがってだぎゃ!てめえ、生きて帰れると想わないことだぎゃ!」
「何を言うておりまんねん。最初から、わいらを殺す気で井戸に毒を仕込もうとしているくせに、何、片腹痛いことを言うておるんや?それと、わいが殺されるんやのうて、死ぬのはあんたらのほうやで?」
「与作、大丈夫だっぺか?早く、教祖様からもらったお薬を飲むんだっぺ?」
「ひいひい。教祖様のお薬、美味しいんだべ。あああ。幸福がわての心を支配していくんだべ!きひっきひっ!」
な、なんやと!?わいの痛恨の一撃を喰らって、与作と呼ばれるリーダー格の左肩は粉砕されているはずやで?普通なら、痛すぎて、その場にうずくまるはずなんやで!?
「ああ。最高に気持ちが昂るんだべ。やっぱり教祖様は偉大なんだべ。このひのもとの国を治めるにふさわしいお方なんだべ!」
「何をとち狂ったことを言っているんやで?あんたらの言う教祖様って言うのは、どこぞの大名さまなんかいな?」
「大名?何を言っているんだっぺ。そんなちんけなモノと一緒にするとは不遜なやつだっぺ。教祖さまは偉大なるお方なんだっぺ。大名なんかより、遥かに尊いお方なんだっぺ!」
「そうだそうだ。喜兵衛の言う通りだぎゃ。教祖さまは将軍・足利家よりも、さらには帝よりも尊いお方なんだぎゃ!なんぞ、大名なんぞと比べられなならんのだぎゃ!」
「こいつ。殺す前に、トクトクと、教祖様の偉大さを教える必要があるんだべ。おい、作戦変更だべ。こいつを囲んで、袋叩きにするんだべ!」
くっ!やばいんやで!囲まれたら、いくら【瀕すれば鈍する】が発動しても意味がないんやで?ゆっくり鈍い動きで、死ぬまで殴られ続ける苦痛を味わうことになるんやで!?
「ちょっと、待つんや!わいが死ぬのはかまわへんけど、その偉大なる教祖様について、聞きたいことがあるんや!もしかしたら、わいもあんたらの教祖様を崇めたい気持ちになるかもやで!?」
想いっきり、でまかせやけどな?でも、時間を少しでも稼ぐことがここは肝心や!そしたら、利家くんの救援が間に合うかも知れへんからな?
「ほう。教祖様を崇めたいのだべか?じゃあ、この教祖様のお薬を飲んでもらうんだべ?もし、これを飲んで、死ななかったら、あんたは、わてらの仲間になる資格があるってことだべ?」




