ー旅立ちの章72- 与作、田吾作、喜兵衛が現れたんやで!?
わいは利家くんから渡された、長さ3メートル弱の業物の槍を手にして、一気に賊と思わしき3人組へ走っていくんやで!
「まるちゃん!あいつら、今、どのへんや!」
「ポッポー!再び動き出したんだポッポー。3人一緒に利家殿が教えてくれた井戸の場所にまっすぐ向かって言っているんだポッポー!距離150メートルと行ったところだポッポー!」
「くっ。あいつら、こちらの予想通り、井戸に向かっているんかいな。こりゃ、痛い眼どころか、死ぬ眼にあわせてやらんといかんな!」
「奴らが視えてきたんでッチュウ!距離100メートルでッチュウ!」
「あと20秒ほどで接敵やな!おい、ねずみのこっしろーくん!わいから振り落とされないように注意しておくんやで!」
「わかったでッチュウ!ご主人さま、全力で走ってほしいんでッチュウ!」
わかっているやで?わいはこれでも100メートル20秒で走れるんや!どや。この速度。女性が視たらほれぼれしてしまうんやで!?
「お、おい。誰かがこちらに急接近してくるだべ!」
「もしかして、おいらたちの企みがあのボロ小屋の連中にばれたんだぎゃ!?」
「そ、そんなわけあるっぺ!大体、気付かれぬようにゆっくりと井戸の方に向かっているんだっぺ!?」
おお、おお。賊どもが喚き散らかしているんやで?そりゃそうやな?わいらが、お前らの悪だくみに気付いているはずがないと想っていたもんなあ?
「はあはあはあ。ひいひいひい。お、お前ら、井戸に毒をいれるつもり、おえええええ。全力で走って気持ち悪いんやで?ちょっと待ってくれやで?げええええ」
「こ、こいつ、アホだべ。全力で走りすぎて、ゲロ出しているべ!?」
「ちゃ、チャンスだぎゃ!一斉に襲い掛かれば、おいらたちでも倒せるんだぎゃ!」
「うひゃあああ!この間抜け野郎。俺らの幸福のために死んでくれだっぺ!」
ふっ。アホな奴らやで。わいが本気出して走ってきたわけがないやろが!
ガキイイイン!わいは手に持っていた槍を斜め下からすくい上げるように振り上げるんやで!
「うぎゃあああ。わての腕があああ。肉がそぎおちただべえええ」
「こ、こいつ。ゲロはいてたんじゃないんだぎゃか?なんで、そんなぴんぴん動けるだぎゃか!?」
「ええい。そんなことより囲むんだっぺ。おい、与作。その程度の傷、教祖様からもらった薬でもつけておくんだっぺ!」
「いだいんだべ、いだいんだべ。教祖様からもらった薬を塗るんだべ。うひいいい!この薬、気持ちいいんだべえええ!痛みが取れていくんだべえええ!」
な、なんやと!?奇襲を仕掛けて、あいつの左腕の前腕部分の肉を槍でえぐったはずやのに、あやしげな粉みたいなもんをその怪我している腕に振りかけた途端に、あいつ、痛みを忘れたのか、恍惚の表情へと変わっているんやで?
「ああ。最高の気分なんだべ。さすが教祖様の秘密のお薬なんだべ。わて、教祖様にお仕えできて、幸福なんだべ!」
あいつ、ほんまにイカレテいるんやで。左腕からだらだらと血が流れてるって言うのに、なんで、あんな嬉しそうな顔をしているんや!?
「田吾作、喜兵衛、アレをやるだべ!」
「おう。与作。アレをやってしまうんだぎゃか!」
「こいつ、驚く暇もなく死んでしまうだっぺな!まあ、しょうがないっぺ。教祖様のお言葉は絶対なんだっぺ!」
くっ。こいつら、何をしてくるつもりなんや!しまったで。わい、うかつにも3人同時に相手をするような状況になってしまったんやで!?
「何を後ずさりしているんだべか。まさか、わてを怪我させておいて、逃げるとか言い出さないだべよな?」
与作と仲間に呼ばれた男が、傷ついた自分の左腕をべろんべろん舐めているんやで?
「ああ。教祖様の薬は最高だべ。舐めてよし、傷に塗ってよし、女子を手籠めにするときに無理やり飲ませてもよしと最高なんだべえええ!」
「な、なんやと!?今、聞き捨てならんことを言ったやろ!お前、その怪しげな薬を女性に乱暴する時に使っているやと!?」
「これはすごい薬だべ。初物の女でもあひんあひん言いだす薬なんだべ。欲しくなっただべか?」
「そないなもんいるかいな!初物の女には、わいは気持ちよかったで?最高やったで?痛いのにえらいがんばりはったなあ?わい、感激やったで!って言う派なんや!怪しげな薬を使って、よがらせる変態趣味は持ち合わせていないんやで!」
「なんだと?教祖様の薬を馬鹿にするんだべか?おい。田吾作、喜兵衛。こいつを殺すんだべ!高速渦巻き攻撃なんだべ!」
「はははっ!産まれてきたことを後悔させてやるだぎゃ。この3人同時攻撃を視て、生き残ったやつはいないんだぎゃ!」
「おらあああ!死んでしまえっぺ!」
な、なんや?こいつら、縦に一列に並んだんやで?ほんまにアホとちゃうか?そんなことしたら、後ろに並んだやつがわいの姿を視えんくなるやろ!
「おい、田吾作、喜兵衛。ちょっとずつ横にずれるだべ。これじゃ、わてがその男が視えなくなるべ」
「すまんだぎゃ。えっと、おいらが、少し、左にずれるんだぎゃな。よいっしょっとだぎゃ」
「それで、おらが右に少しずれるだっぺか。よっし、これで良いだっぺ」
「よっし、これでわてもその男が視えるようになったべ。では、改めて。高速渦巻き攻撃だべえええ!」




