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ー旅立ちの章71- あいつら、外道なことをしでかす気なんやで!?

 わいは罠を仕掛けるべく、手ごろな木の根元に縄を張るんやで?ここをこう結んで、この丈夫そうな枝に縄を通してっと。さらにこの先っちょに網を繋げておくんやで?よっしゃ、できたやで?イノシシ取り用の罠やけど、人間さまひとりを捕まえるには充分なんやで?


 しっかし、この罠にどうやって、敵を誘導するかやなあ?罠を仕掛けたのに、ひっかからんかったら意味ないやで?


「ご主人さま。斥候から戻ってきたでッチュウ!」


「おっ。ねずみのこっしろーくん、ご苦労さまやで?で、どうや?敵の装備はどんなもんやったんや?」


「服の下に鎧を着込んでいるようには視えなかったでッチュウ。あと、武器はマルさまの言う通り、くわすきだけだったでッチュウ」


「松明はどうやったんや?あと、油なんかも持っていなかったんかいな?」


「油の匂いはあいつらからはしなかったでッチュウ!ただ、気になることがひとつあったんでッチュウ」


 気になること?なんやろな?あいつら、隠し玉でも用意しているんかいな?


「あいつらから毒の匂いがしたんでッチュウ。しかも、かなりの致死率の高いやつでッチュウ。ねずみどころか、ニンゲンを殺せる毒なんでッチュウ」


「毒!?こっしろーくん。あいつら、毒をもっているんかいな!?こりゃやばいで!」


「ご主人さま、どうしたんでッチュウ?くわすきに毒を塗られて、それで殴られると大変になるってことでッチュウ?」


「違うんや。わざわざ武器に毒を塗る必要なんてないんや。あいつら、あくどいことをする気やな!わいら以外のニンゲンまで被害に会うことになるやんけ!まるちゃん!急いで、利家としいえくんをここに呼んでくれやで!利家としいえくんに聞かなならんことができたんや!」


「わかったポッポー!すぐに利家としいえ殿を呼んでくるんだポッポー!」


 鳩のまるちゃん、任せたんやで?利家としいえくんを一刻も早く呼び出さんと、大参事になるんやで!?


 って、まるちゃん、なにをしとるんや?なんで、ボロ小屋の扉に体当たりしているんや?そんなん、窓から入ればいいやんか?


 あっ、千歳ちとせちゃんが扉を開けているんやで?鳩のまるちゃんが中に入って行くんやで?おっと、利家としいえくんが槍を片手に持って、こちらに向かってくるんやで?


「おう。よん。どうしたんッスか?鳩がポッポー、ポッポー、泣き叫んでいたッスけど?」


「ああ、利家としいえくん。大変なことになったんやで。ねずみのこっしろーくんがあいつらを調べたところ、毒を持っていそうって話になっているんや」


「毒!?あいつら、マジで狂っているんッスか!?」


 さすが利家としいえくんやで。毒と聞いただけで、あいつらが何をしようとしているか察知してくれたんやで?


「本当に、ご主人さまたちは何を慌てているんでッチュウ?それは毒は怖いでッチュウけど、喰らわなければ問題ないでッチュウよ?」


「ああ、喰らわんかったら問題ないんやな?でも、毒をどこに仕掛けるかで、その成功率はグッと上がるんやで?あいつら、この辺に使われている井戸にその毒を放り込む気なんやで?」


「井戸でッチュウ!?そんなことしたら、全然、関係ないひとまで毒を飲むことになるでッチュウよ!?」


「せやねん。あいつら、ふざけたことをしようとしているんや。わいらの見張りをしていた奴が戻ってこんかったことから、あいつら、警戒しとんねん。だから、安全にわいらを始末できるように飲み水を毒で染める手に出たんやで!」


「おい、よん。ねずみとおしゃべりしている時間はないッスよ?あいつらを早くとっちめないと、大参事になるッス!あいつらは、どの辺にいるッスか!」


「ポッポー!ここより3時の方向、約200メートルの地点で立ち止まっているんだポッポー!」


利家としいえくん。ここより3時の方向、約200メートルの地点で立ち止まっているって、鳩のまるちゃんが言っているんやで?」


「そうッスか。動物としゃべれるのはなかなかに便利ッスね。俺もその神通力を手に入れたいとこッス。しかし、困ったッスね」


「ん?利家としいえくん。どうしたんや?すぐにあいつらをとっ捕まえに行かないんッスか?」


「ボロ小屋に待機しているのが、河童とあの白い大蛇だけッス。せめて、寝ている慶次けいじを叩き起こしておかないと、小屋に居る松と、よんの嫁さんが危険ッス!」


「ああ。そうやったわ。ほな、どないしようか?わいが井戸のほうに先回りして、時間を稼いでおこうでやんすか?」


「頼めるッスか?俺は慶次けいじを叩き起こしたら、すぐに加勢に向かうッス。それまで、よん。死ぬんじゃないッスよ?」


「任せときやで?わいはこれでも48の寝技と52の得意技。そして新たに特殊技をひとつ持っているんやで?」


「なんか、安心できないッスね。とりあえず、槍くらいは使えるッスよね?この槍を持っていくッス。護身用には充分な業物ッス!」


 わいは利家としいえくんの手にする槍をポイッと投げて渡されたんやで?うおっ。ほんまや。これ、結構な業物やんか!これ、売ったら、良い金になるんちゃいますの!?

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