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ー旅立ちの章67- 鳩のまるちゃんが助っ人を呼びに行ったんやで!

「そうならないよう、そこはよん利家としいえ殿を説得するんだポッポー。それで、話を戻すが、やはり人手が多いほうが松殿を守れる確率が高いんだポッポー」


「せやなあ。そこはまるちゃんに同意やで。でも、長寿さまくんと河童くん、ねずみくん、それにわいだと、戦力にならへんとちゃいますか?」


「ないよりはマシと言った感じかも知れないポッポー。だが、数が居ると居ないではまるで違うポッポー」


 せやな。居ないよりはマシやな。じゃあ、鳩のまるちゃんの言う通りにするんやで?


「で?誰が、長屋に行ってきて、あいつらをここに連れてくるんでやんすか?千歳ちとせちゃんひとりを向かわせるわけにはいかへんで?」


「そこは拙者に任せるんだポッポー。鳩は道を覚えるのが得意なんだポッポー。例え、拙者が九州に置き去りにされても、見事、よんの元に戻ってこれる自信があるんだポッポー」


 なんやと?わいが鳩のまるちゃんから逃れることはできへんってことかいな?この先、鳩のまるちゃんを焼き鳥にして塩をまぶして喰わない限りは!


「拙者を喰おうとするのはいい加減、やめるんだポッポー!それよりも、さっそく、拙者はやつらを連れてくるんだポッポー。拙者が戻るまで、松殿と千歳ちとせ殿を守りきるのだポッポー!」


 鳩のまるちゃんが鼻息を荒くして、わいの頭から飛び去っていくんやで?あいつ、ほんまにちゃんと、このボロ小屋に戻ってこれるんかなあ?


よんさま。心配しなくても大丈夫っしー。まるちゃんならきっと応援を連れて戻ってくるっしー。よんさま、僕たちは動けない松くんを守ることに全力を尽くすっしー」


「せやな。千歳ちとせちゃんの言う通りやで。よっしゃ。【神の家(ごっど・はうす)】の奴ら、いつでも来いやで!わいが全員、返り討ちにしてやるさかいな!」


 というわけで、わいは千歳ちとせちゃんと周辺の見回りをした後、共に、ボロ小屋の中に戻るんやで?


「うッス。よん。頭の上の鳩はどうしたッスか?焼き鳥にして、塩をまぶして喰ったッスか?」


「違うんやで?鳩のまるちゃんは助っ人を呼びに行ったんやで?これで安心やで?松くんの身は守ってみせるんやで?」


「おっ?マジッスか?それはありがたい話ッス。一体、どんな奴らが助っ人に来てくれるッスか?」


「蛇とねずみと河童やで?」


 わいがそう言うと、利家としいえくんが、はあああと深いため息をつくんやで?


「出来るなら人間の助っ人を連れてきてほしいッス。なんで、そんな動物?ばっかりなんッスか?」


「言われてみればそうやなあ?なんで、わい、あんなのに頼る案に乗ってしまったんやろうか?わい、頭に虫でも湧いたんかいな?」


「ケケッ!相変わらず失礼な奴だケケッ!」


「おっと、なんでこんなところに子供なんて来ているッスか?おい、くそがき、ここは危険ッスから、どこかに行くッスよ?」


 あっ。河童くんがもう来たんやで?なかなか足の速いやつやなあ?


「近くに小川が流れていたから、スイスイッと泳いできたのだケケッ。なにやら、街の人々の視線が釘付けだったのが気になったんだケケッ!」


「ちょっと、河童くん。何、目立つことを昼間からしているんや!あんた、もうちょっと事態を理解してもらわんと困るやで?」


「河童?よん、こいつが河童なんッスか?俺にはただのくそがきにしか視えないッスよ?」


 あっ、そうか。利家としいえくんには何も説明してなかったんやで?


「わいより慶次けいじくんに説明してもらったほうが、良いんやけど、慶次けいじくんは夜に備えて寝てもうてるなあ。まあ、簡単に言うと、河童くんってのは、慶次けいじくんの知り合いなんやな?」


慶次けいじが河童の知り合い?何わけのわからんことを言っているッスか?」


「本当のことなんだっしー。河童くん。変身を解いてほしいっしー」


「ケケッ。姫さまの頼みなら仕方ないケケッ。そこの初めて視るニンゲン。驚かないようにするのだケケッ。ドロンッ!」


 河童くんがそう言うと、もくもくと煙幕がボロ小屋の中に立ち込めるんやで?ゲホッゲホッ!煙たいんやで!眼に染みるんやで!


「ケケッ。これでオイラが河童だとわかったろ?ケケッ。この見事な甲羅と、頭の皿を視るのだケケッ!」


「おお。本当ッス。まじで河童ッス!慶次けいじはマジで、この河童と知り合いなんッスか!?」


「ケケッ。慶次けいじは、オイラの住んでいる隠れ里に招き入れたことがあるんだケケッ。オイラはよんの命を狙いに清州きよすの街にやってきたのだが、偶然、このよんと共に慶次けいじが居たのだケケッ!」


 偶然?なんか、すごくひっかかる言葉なんやで?偶然にしては出来過ぎやないか?


慶次けいじは不思議な奴ッスけど、まさか、河童の友達が居るとは驚きッス。もしかして、松に飲ませた、ぬるぬるの液体は、お前の液体だったんッスか?」


「そうだケケッ。おいらの皿からにじみ出る液体は、怪我を治したり、熱を冷ましたりなど、なかなか便利な液体なんだケケッ。ニンゲンたちの間では、河童の妙薬と言われているモノだケケッ!」

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