ー旅立ちの章 6- 好きなら好きってストレートやで!
「で?俺こと飯村彦助さまを呼んだってことは、何か解決してほしいことができたってことだろ?任せろ、万事、任せろ。俺がこの世の理不尽を総て、叩き伏せてやるぜ!」
だれや、こんな奴、呼んだのわ。あっ、わいか。くそっ、こいつ、いっぺん、ドブにはまってしまえばええのにな!
「彦助を呼んだのは、四さんの恋愛相談の件よ?」
「うーん?恋愛相談かー。俺、イメージトレーニングは毎日、欠かせてないから、泥船に乗った気分で聞いてくれていいぜ?」
「うふふ。まさに泥船ですわ。四さん、さあ、彦助さんに悩みを打ち明けてみてはどうですか?」
なんか、嫌な気持ちで一杯なんやけど、ほんまにこの男が役に立つんかいな?わい、人選を絶対に間違えたんやで?
「彦助くん、よーく、聞いてな?わい、千歳ちゃんに惚れてしまったわけなんや。でも、ここの女性陣に相談をもちかけたは良いけど、わい、色々と考えこんでしまって、なかなか一歩を踏み出せないわけなんや」
「なーんだ。そんなことかよ。昔からよく言うじゃん?考えるよりも感じろ!」
おお、なるほど。考えるよりも感じろ!でっか。何、言ってるのかさっぱりやで!
「そりゃあ、男って言うのは、好きな女性の前では良い恰好をしようとか、好かれようとして動物が好きだとかアピールするもんだよな?でも、俺が思うに、そういう策略めいたことよりも、感じたことを感じたままに表現すべきだと思うわけよ?」
くっ、こいつ、痛いところを次々と突いてくるんやで!
「どうせ、四さんのことだから、あの千歳ちゃんを口説き落とすために100個くらいの会話パターンを考えているんだろ?そういうのは全部捨てろよ。好きなら好きってストレートに言ったほうが、女性としては一番嬉しいんじゃねえの?」
「ほっほう。彦助にしては、良いことを言うわね。私、彦助を誤解していたわ。おっぱいしか頭にないとばっかり想っていたし」
「う、うるせえな、椿。確かに俺はおっぱいが好きだ。おっぱいを愛している。そして、おっぱいのためなら死ねる」
「うふふ。彦助さんは自分に正直ですわ。そう言うところは好感が持てますわ。女性としては身の危険しか感じませんけど」
「ちなみに千歳もそこそこおっぱいが大きいけど、彦助くんとしてはどうなのー?」
「ん?菜々さん。俺はより大きいおっぱいが好きなんだ。だから、千歳ちゃんには悪いけど、俺は椿のご立派さまにしか、今のところ、興味はないぜ?」
なんか、千歳ちゃんをけなされているようで、腹が立ってきたやで?こいつ、一発、殴ってもええんかな?
「そうね。四さん。私があなたの代わりに殴っておくから、四さんは腹を立てなくてもいいわよ?」
「ありがとうやで。じゃあ、彦助くんの顔を牛メンからただの肉塊に変えておいてほしいんやで?」
「ちょっ、ちょっと待ってくれよ!いくらギャグ成分で俺の身体ができているっていっても、椿に顔面をただの肉塊にされたら、元に戻るまで1時間ほどかかるんだからな?ちょっとは手加減してくれよ!」
「本当、彦助くんの肉体は謎の回復力だよねー?椿が喜んでいたよー?壊れない彦助は本当に貴重な存在だわってー」
「そ、そう?それなら、良いんだけどさあ。でも、回復力はすごくても、痛いことは痛いから、そこは痛気持ちいい程度で抑えてほしいところなんだよ?」
「そうね。気持ちいいって言えないくらい、力いっぱい殴ったほうが良さそうね?彦助、いつもありがとうね?感謝の気持ちを込めて、あなたの顔面に良いのを入れさせてもらうわ」
あらら。彦助くんが椿くんに連れて行かれたんやで。結局、彦助くんは、わざわざ椿くんに殴られるためだけに登場したんやなあ?
「うふふ。椿さん、嬉しそうな顔をしてましたわ。で、四さん、迷いは吹っ切れましたのですか?」
風花くんの問いかけに、わいは気付いたんや。彦助くんの助言により、わいは思考の袋小路から逃げ出せたことにや。
「わい、彦助くんには感謝せんとダメやな。彦助くんの指摘通り、千歳ちゃんとの会話パターンを100個、考えていたんやで。大事なのは、好きなひとに好きだとストレートに伝えることなんや。わい、やっと眼が覚めたやで!」
「それは良かったのですわ。菜々さん?今日は千歳さんの予定はどうでした?ですわ」
「うーん。確か、津島の町にお見合いをしに行くって話だったよねー?千歳も良い歳だからねー。ここで話がまとまらなかったら、いきおくれ確定だもんねー」
「ほうほう、千歳ちゃんは、今日はお見合いやったんか。それは邪魔したらあかんなあ。って、どういうことや!千歳ちゃんがお見合いって!わい、そんな話、まったく聞いてなかったんやで!」
「そ、そんなに怒鳴らいでよー。あたしたちだって、千歳のことは止めようとしたんだよー?でも、千歳が会うだけは会わないと、相手に失礼っしーって言ってたんだー」
「千歳さんは、優しいひとですからね。断るにしても、相手と会ってから決めると言うことなんでしょうね。でも、いけないことだと想いますわ?想い人が居ながら、お見合いなどして。もし、相手の殿方が、千歳、お前が欲しい!俺と結婚してくれとせがまれたら、彼女、きっと、断りきれなくなってしまうのですわ?」