ー旅立ちの章50- 本当に頭の良い奴は馬鹿にもわかりやすい話をするもんやで?
「フシュルルルー。なんでこの男はすぐに話を横道にそらすんだフシュルルルー」
「それは四の力が不安定ゆえだポッポー。四は集中力に欠けている部分があるんだポッポー。だから、話がすぐに横道にそれていくんだポッポー」
ちょっと、待ちいや?わいのせいばっかりにするのはやめてほしんやで?慶次くんが最たるもんやろ。慶次くんに文句を言ってほしいところやで?
「フシュルルルー。慶次からは危険な香りがするんだフシュルルルー。うるせえ!って言い出して、こぶしで語りだしそうな気がするのだフシュルルルー」
「あながち間違っていないんだぜ。ややこしい話は、俺様、苦手なんだぜ。だから、こぶしで語り合ったほうが、お互い、わかりあえるってもんだぜ!」
「うん。長寿さまくん。あんたさんの勘は当たっているんやで?慶次くんとまともに言葉をかわそうとすること自体が間違いなんやで?」
「慶次くんの悪いところだっしー。もう少し、相手の話を聞こうと努力するべきだっしー」
「そんなこと言われても、俺様は馬鹿なんだぜ?馬鹿にもわかりやすく話すほうが、頭の良い奴の務めだろうだぜ。大体、自分の話がわからないのは頭の悪いお前のせいだって言われたら、誰だって、そいつをぶん殴りたくなるもんだぜ?なあ、四たん?」
「そ、そうやな。頭が良いんやさかい、馬鹿にでもわかりやすく話すのは当たり前やんかな?そりゃあ、慶次くんが殴っても仕方のない話やわ」
「四さまが慶次くんに殴られたくないから、お茶を濁したっしー。まったく、四さまもしっかりするべきっしー。確かに、馬鹿にもわかりやすく話すのは大切っしー。でも、聞く方もそれなりに分かろうとは努力はするべきっしー」
「まあ、そこは諦めてほしいところだぜ。で?千歳ちゃんが【寿】って言う苗字なのが、何かあるのかだぜ?なるべく、わかりやすいように説明を求めるんだぜ?」
「にぎりこぶしを作りながら、こちらに話を促してくるのはやめるのだフシュルルルー」
まあ、慶次くんのこぶしはごっつ痛いからなあ。わい、一度、額で受けたことがあるんやけど、ほんまに脳みそをぶちまけられるかと想ったもんなあ?
「まず【寿】と言う苗字を持つ、千歳なる一族は、幸せを運んでくると言われている一族なのだフシュルルルー」
「幸せを運んでくる?なんだか、抽象的な話なんだぜ。やっぱり、長寿さまは、俺様をけむに巻こうとしてるんだぜ。四たん、長寿さまを動けないように抑えてくれなんだぜ?」
「ま、待つのだフシュルルルー。話を最後まで聞くんだフシュルルルー!【寿】の一族を崇め奉ると、その村は豊作になったり、子が産まれやすくなり、その子供もすくすくと育つのだフシュルルルー」
「ふーむ。なるほどなのだぜ。少しはわかりやすい話になってきたんだぜ。で?」
「だから、にぎりこぶしをつくったまま、こちらの話を聞こうするなフシュルルルー!でだ。そんな【寿】一族だからこそ、その一族の力をもとめて、村々で争いが起きたのだフシュルルルー。だから、今では【寿】の一族はひっそりと隠れ里で暮らすようになったのだフシュルルルー」
「なるほどなんやで?やっと謎のひとつが解き明かされようと言う感じになってきたんやで?まったく、ここまで話が進むまで、どれほど時間を無駄に過ごしてきたんやで?」
「それは、四たんがすぐに話を横道にそらした所為だと想うんだぜ?」
「ちょっと待ちいや!わいのせいだけにするのはやめてほしいんやで!って、慶次くん?わいのほうにこぶしを向けてくるのはやめてくれやで?」
「おっと、すまねえ。つい、四たんが、要らぬ話をしだすのかと警戒しちまったんだぜ。さあ、長寿さま、どんどん、話を進めてくれなんだぜ?」
「フシュルルルー。誰か、この男と会話するのを代わってくれないか?フシュルルルー。いつぶん殴られるのか気にしながら話すのは気疲れするのだフシュルルルー」
「しょうがないポッポー。では、拙者が話の続きをするのだポッポー。【寿】の一族は争いを嫌がって、隠れ里で生活するようになったんだポッポー。だが、元々、数の少ない一族であったために、さらにひとが少なくなっていったんだポッポー」
「まあ、そりゃそうやろうなあ。ちなみに今はどれくらいの人数が隠れ里にいるんや?そこには千歳ちゃんのご両親も住んでいるんかいな?」
「50年近く、拙者もその隠れ里へは近づいていないから、正確な人数はわからないんだポッポー。だが、千歳がこの世に居ると言うことは、まだ、その隠れ里は存在していると言う証拠にもなるんだポッポー」
「四さま。僕の両親はどうやら、その隠れ里から駆け落ちをしたみたいなんだっしー。僕のお母さんの両親が、結婚にすっごく反対したみたいなんだっしー。だから、お父さんはお母さんを連れて、その隠れ里から飛び出したと言う話なんだっしー」




