ー旅立ちの章48- 愛が先なんかなあ?それとも性欲が先なんかなあ?
「では、まず、我らの隠れ里へと向かうんだフシュルルルー。そして、カラス天狗に問いただすのだフシュルルルー。なぜ、四の命を狙うようになったのか。それを解明するのが先決なのだフシュルルルー」
「それが良いと拙者も想うんだポッポー。四、さっそく旅支度をするのだポッポー。カラス天狗に会いに行くのだポッポー」
何を勝手に話を進めているんや。わいはひでよしくんに足軽10人長に任命される身やで?これから、忙しくなるんや。そんな勝手なことしてたら、ひでよしくんに大目玉を喰らってしまうやんけ!
「おお、四たん。出世しそうしそうと言っていたのはマジなのかだぜ!いやあ、四たんの才能がやっと認められたってことなのかだぜ。これで給料がガンッ!と上がって、千歳ちゃんも大喜びなんだぜ!」
「四さま。マジなのっしー?なんで、それを先に言わなかったんだっしー?それなら、お赤飯を用意してたって言うのにっしー!」
「い、いやな?まだ、正式に決まったと言うわけではないんやで?明日、信長さまが論功行賞をやるから、その席で、ひでよしくんが足軽30人長になるっぽいなんや?だから、ひでよしくんの右腕である、わいも出世できるんちゃうかな?って言う話なんや」
「じゃあ。四さま、これから忙しくなるっしー。僕とイチャイチャしている暇なんか、無くなってしまうっしー。出世できるのは嬉しいけど、四さまと会える時間が減るのは寂しいっしー」
「ごめんやで。千歳ちゃん。でも、わいの夢は、ひのもとのいちの強者と言われたいんやで?もちろん、もうひとつ夢があるんや。千歳ちゃんをひのもといちの幸せモノにしたいってことやで?」
「僕は今でも、ひのもといちの幸せモノっしー。四さまと一緒に居られるだけで充分、幸せっしー」
ああ、千歳ちゃんが愛おしいんやで?ここで、抱き寄せて、その魅力的な唇を穢して、押し倒して、着物を脱がせて、合体したいところなんやで?
「だ、だめだっしー。皆が見ているっしー。僕、見られながらは嫌なんだっしー」
「なあなあ。四たん、千歳さん。いちゃつくのは良いんだけど、皆がガン見しているんだぜ?長寿さまなんか、鼻息荒くして、フシュルルルー!フシュルルルー!って、うるさいんだぜ?」
「フシュルルルー!そんなことを言わなくていいのだフシュルルルー!くっ。ニンゲンのまぐわいなど、なかなかに視ることが出来ないのだフシュルルルー!なんで、貴様はいらぬこと言うのだフシュルルルー!」
「千歳ちゃん。ちょっと待ってくれやで?長寿さまくんを酒壺の中に突っ込んでおくからな?こんなスケベな蛇は見たことがないんやで?」
「仕方ないんだポッポー。蛇と言う種族は、ニンゲンの性欲に敏感に反応してしまう生き物なんだポッポー」
「ケケッ。少し間違っているんだケケッ。性欲に敏感に反応するだけではないのだケケッ。ニンゲンに性欲を呼び起こさせるのが蛇なんだケケッ」
「なんや?その鶏が先か玉子が先かみたいな言い方は。河童くんが言いたいことがよくわからないんやで?」
「ケケッ。上手く説明できないのだけど、動物や神さまは人間の欲求を膨らませて、それを喰らい、自分の神力へと変換することができるんだケケッ。蛇という種族は人間の性欲が大好物なんだケケッ。だから、酒の中に入り込んで、自分の神力を混ぜ合わせて、媚薬に変えるんだケケッ。そして、その酒を飲んだニンゲンは性欲が5割増しになるんだケケッ」
「ということは、わいは長寿さまくんの媚薬がふんだんに仕込まれた蝮酒をたらふく飲んでもうたから、千歳ちゃんの顔を見つめるだけで、いやらしい気分になってしまうってことなんかいな?」
「僕もさっきから、おかしいと想っていたんだっしー。今日はいやに身体がうずいて、お腹の奥底が熱くなるのは、長寿さまくんのせいだったのかっしー。四さまが3枚眼から2枚眼に見えて、困ってしまうんだっしー」
「あれ?でも、おっかしいんだぜ?俺も蝮酒をたらふく飲んでいるって言うのに千歳さんを視ても何ともないんだぜ?媚薬って言うのなら、俺様のいちもつも、はちきれんとばかりになっていてもおかしくないんだぜ?」
「フシュルルルー。それは性欲は食欲には勝てないからだフシュルルルー。慶次、お前はさっきから、熊肉をバリバリ喰っているが、まったく満たされているようには視えないのだフシュルルルー」
「ああ。言われてみれば、そうなんだぜ。なんか、異様に腹が減っているんだぜ。食べても食べても、全然、腹が膨れる気がしないんだぜ。確かに腹が減っている時ってのは、いちもつというか、エロイ気分になれないんだぜ」
「た、多分、僕のせいだッチュウ。僕の旺盛な食欲が慶次さんに影響を及ぼしている可能性があるんだッチュウ。でも、なんで、こんなことになっているでッチュウ?」




