ー旅立ちの章47- なんで穏健派が強硬派に鞍替えしてるんや?
「フシュルルルー。河童よ。貴様はどうするのだ?フシュルルルー。ワシと一緒にこの男の行く末を見届ける気はないのか?フシュルルルー」
「しかし、オイラはカラス天狗さまから直々にこの男を始末しろと命令されているんだケケッ。それを実行しないことには、オイラが里の連中から狙われることになるんだケケッ」
「そこが不可思議なのだポッポー。何故、カラス天狗は四の命を狙っているんだポッポー。奴は四の無害化派の筆頭だったやつだポッポー。何故、今更、その主張を捻じ曲げてまで、四を狙うことになったんだポッポー?」
「そ、それはわからないんだケケッ。突然、カラス天狗さまが里中のモノを集めて、これからは四と言う男を始末すると宣言したんだケケッ。反対をしたモノたちもいたけど、そのモノたちは全員、牢に入れられてしまったんだケケッ」
「なーんか胡散臭い話なんだぜ。あのカラス天狗が道理を捻じ曲げるのはおかしいんだぜ」
なんや、慶次くん。カラス天狗くんとは親しい間柄なんか?
「いや、俺が熊公と相討ちになったって話はしたんだぜ。その時、俺はカラス天狗が居る里に運ばれて、そこの河童に怪我の治療をしてもらったんだぜ。治療の間、しばらくその里で世話してもらったんだが、カラス天狗とは酒を飲みかわしたり、相撲を取ったりしたんだぜ。あいつは人間が好きで好きでたまらないと言った感じだったんだぜ」
「ケケッ。慶次の言う通りなんだケケッ。無闇にニンゲンを襲えとかそんなことは今まで一切、なかったんだケケッ。でも、あの日のカラス天狗さまは様子がおかしかったんだケケッ」
「どうおかしかったんだフシュルルルー。ワシは3年間ほど、酒壺に潜んでいたため、すっかり里の事情はわからないのだフシュルルルー」
まったく、長寿さまくんの間抜けっぷりには、わい、おかしくて、お腹が痛くなってくるんやで?わいの命を狙っておきながら、わいが酒壺を地中に埋めてもうたから、出るに出られなくなってしまったもんなあ?
「策士、策に溺れるとはまさにこのことだフシュルルルー。しかし、今はそんな話は置いておくんだフシュルルルー。四よ。貴様の命を狙っているのはあくまで少数派だったんだフシュルルルー。その急先鋒たるワシが、単独で貴様を襲おうとしただけだフシュルルルー」
「なんや。わいがわけのわからんもんに襲われるのは、単独犯の行為だったちゅうことかいな。でも、今は、それどころか、穏健派のカラス天狗くんが率先して、わいの命を狙っているってことやな?」
「そういうことだケケッ。本当なら、オイラも四の命を狙うつもりはなかったんだケケッ。でも、カラス天狗さまに逆らえば、オイラも幽閉される可能性があったんだケケッ。だから、仕方なく、お前を襲ったんだケケッ」
「そういうことかいな。じゃあ、河童くんは、いやいややったんやな?しょうがありまへんなあ。いっぺん、ぼっこぼこにするので手打ちにするんやで?」
「まあまあまあ。四たん。今は反省しているんだぜ、河童のやつは。大体、河童を責めるよりも、その命令を出した、カラス天狗のほうを恨むべきなんだぜ?」
「せやなあ。河童くんは無理やり命じられただけやもんなあ。わかったんやで?小指を一本、曲げてはいけない方向にぐいっと曲げるだけで許してやるやで?」
「だから、四さまは河童くんに優しくするべきっしー!なんで、そんなに河童くんに対して、当たりが厳しいんっしー。四さまはいつもの優しい四さまに戻るべきっしー」
すんまへんなあ。千歳ちゃん。わいはちょっと虫の居所が悪いのかも知れへんわ。こんなことじゃ、千歳ちゃんに器がちっさいと想われるんやで?いちもつがちっさいと言われるだけじゃなくなるんやで?
「よ、四さまのいちもつは大きいっしー。僕、四さまのが小さいなんて想ったことはないっしー」
おっ?嬉しいことを言ってくれる千歳ちゃんやで?わい、自分のいちもつに自信を持っていいんかいな?
「あーははっ!四さまはその辺の男よりのは大きいんだぜ。だから、そんなに卑下する必要はないんだぜ。まあ、俺様のいちもつのほうが大きいんだがな?だぜ!」
慶次くん。あんたさんのは大きすぎるんや。なんや?その狂ったでかさのいちもつは!わいだけでなく、世の中のほとんどの男は、慶次くんのを視たら、自信を根元からぽきりと折られるんやで?
「フシュルルルー。四、貴様はいちもつが大きくなりたいのか?フシュルルルー。それなら、その辺のミミズに小便をひっかけると大きくなるんだフシュルルルー」
「騙されてはいけないのだポッポー!ミミズは小便をひっかけられると怒って、その口から毒を吐きだすんだポッポー!その毒でいちもつを腐らせようとするんだポッポー!」
な、なんやと?ミミズくんは、そんな怖い毒を持っているんかいな!わい、立ちションをするときは、辺りにミミズが居ないように充分、注意せなならんやんか!




