ー旅立ちの章46- 京の都はなんで焼けてしまったんやろうな?
「フシュルルルー。イニシエの大神たちは貴様たちニンゲンのために、最初に火を与えたんだフシュルルルー。そして、狩りのために石だけでは心もとないと、銅を与えたと言われているんだフシュルルルー。そして、ニンゲンはそれだけでは足りぬと鉄を求めたんだフシュルルルー」
なんか、長寿さまくんがほっぺたを紅く染めながら、昔語りを始めたんやで?やっぱり、長寿さまと言うだけあって、精神年齢はかなり高いんやろな?ニンゲン、歳を取ると妙に昔語りが多くなるもんやけど、長寿さまくんとなると、相当なもんやろうな?
「何を失礼な事を言っているのだフシュルルルー。ワシはまだ齢120歳といったところだフシュルルルー。神の眷属となってから、100年しか経っていない若造なんだフシュルルルー」
「長寿さまよ。あの時は色々あったんだポッポー。イニシエの大神の血筋を受け継ぐ帝が京の都で起きた大乱により、死に至る寸前だったポッポー。我らは帝をお救いすべく、その持てる力を使い切ったのでポッポー」
「なあ、四たん。100年前の京の都の大乱って、なんなのだぜ?何があったか、いまいち想い出せないんだぜ」
「わいも、詳しいいきさつは知らへんのやけど、当時の足利の将軍がその後継を巡って、京の都で西と東に分かれて、戦を起こしたんやな?それは応仁の乱と呼ばれて、後世で語り継がれているんや。帝の御所にまで戦火が襲ったと言われるほどの大乱が起きたんやで?」
「なんで、将軍さまの後継を決めることで、そこまでの大乱が起きたんでっしー?それに、なんでわざわざ、京の都を戦地に選んだっしー?あの辺りは、古戦場が多いっしーよ?なのに、なんでなんだっしー?」
「まあ、京の都から将軍が外に出ると言うことは、すなわち、追放とみなされても間違いなかったんやと想うんやな?だから、頑なに当時の将軍が、京の都にこだわったことが原因ちゃうかなあ?」
「まあ、平清盛が京の都から逃げ出して、福原に新しい都を作ったは良いが、いくら3歳児の帝を奉戴していても、上皇だったっけ?名前までは憶えてねえが、そいつが、3歳児の帝に正統性なんかないって言いだしたんじゃなかったか?だぜ」
なんで、慶次くんは応仁の乱はよく覚えてないくせに、源平合戦は知っているんや?まあ、ええか。
「慶次くんにしてはよく勉強してますなあ。その通りやで。結局、京の都、要は平城京こそが帝のおわす地なんや。そこから一歩でも出れば、負けたと同じってことや。だから、あの当時の将軍さまは退くに退けなかったっちゅうことやな」
「京の都のひとたちは巻き込まれて、可哀想だっしー。京の都のほとんどが焼けたと言われているっしー。その傷跡は未だにあの都に深々と残されていると聞いているっしー」
「まあ、噂だと、帝の御所の壁の修繕費すらねん出できないくらい、ぼろぼろらしいなあ。夜は、御所の明かりが外に漏れだすくらいやって聞いたことがあるんやで。でも、そんなボロボロの屋敷に住むくらいなら、金を持っている大名の保護下にでも入れば良いのになあ?」
「フシュルルルー。帝はあの地であるモノを守っているのだフシュルルルー。だから、おいそれと移動できないのだフシュルルルー。まあ、あとは新たな都を建設するだけの金がないと言う、世知辛い事情もあるのだがフシュルルルー」
「ポッポー。おいたわしやなのでポッポー。拙者に力があれば、帝に何不自由のない生活を保障すると言うのに、それができないのが口惜しいのだポッポー」
鳩のまるちゃんが、帝の生活をどうにかできるほどの財力があるなら、まず、わいのふところを温めてほしいとこなんやで?
「四よ。お前のふところを温めてほしいなら、この拙者が、寒くないように胸元にもぐりやるんだポッポー」
「いらんわ!わいの身体を温めてくれるんは、千歳ちゃんだけで充分や!お前はわいの頭の上が定位置や。何をこっそり、わいのぬくもりを味わおうとしてるんや!気持ち悪いわ!」
「くっ。残念だポッポー。頭にウンコをプリプリするより、直接、心の臓の近くでプリプリしたほうが、より効果的だと言うのに、作戦は失敗してしまったんだポッポー」
「策士、策におぼれるとはまさにこのことだフシュルルルー。しかし、マルよ。貴様が、その男を隠しとおそうが、いずれ、時は来たるのだフシュルルルー。それでもお前はその男と運命を共にしようとしているか?フシュルルルー」
「拙者、助けられた恩を仇で返す気はないのだポッポー。この命、使い果たしてでも、四を神々から隠し通してみせるだのポッポー」
「見上げた心意気なのだフシュルルルー。それなら、ワシも1枚かまさせてもらうんだフシュルルルー。長く生きていると暇なのだフシュルルルー。そろそろ刺激ある蛇生を送りたいと想っていたところだフシュルルルー」
「ケケッ!何を言い出しているんだ、長寿さま!この男を始末しないと、今度はオイラたちが始末される側に回ることになるんだケケッ!」
「なあに、それも面白いと想わないのか?フシュルルルー。この男の行く末、この眼で見届けたい。そうは想わないのか?フシュルルルー」




