ー旅立ちの章42- わいの顔面評価点が低いのは、神さまのせいなんかなあ?
「ん?こっしろーくん、それに鳩のまるちゃん。一体、何の話をしているんや?わいにもわかりやすく説明をしてくれやで?」
「僕にははっきりとはわからないでチュウ。でも、ご主人さまからには何かしら、特別な力を感じるでチュウそれに、ご主人さまの奥方さまにも特別な力を感じるでチュウ」
「奥方さまってのはやめてほしいっしー。僕と四さまは今度の6月に籍を入れるけど、まだ、正式には夫婦じゃないっしー。こっしろーくん、もう1本、ソバを食べるっしー?」
ありがたき幸せでッチュウ!と言いながら、ねずみのこっしろーくんが千歳ちゃんからソバを1本、手渡されているんやで?あんまり食べさせると、丸々と太ってしまうんやで?
「僕はそんなに大きくならないねずみでチュウ。まあ、大神の使徒になれれば、力を授けられて、ニンゲンに変身したり、自分の身体の大きさを自由に変えれるようにはなるかもでッチュウ」
「なんや。神さまの使いになると、そんなことも出来るんかいな?それは驚きやで。で?変身すると、ねずみ男にでもなれるんかいな?」
「出来ることなら、絶世の美男子に変身できるようになりたいでチュウ。でも、僕は多分、ご主人さまと似たりよったりの顔になる可能性のほうが大きいんだッチュウ」
「あーははっ!それは残念無念なんだぜ。四たんは2枚目どころか3枚目、いや?4枚目なんだぜ。せっかく、人間に変身できたところで、役得と言ったところはなさそうなんだぜ」
慶次くんはほんまに失礼やな。これでも、わいの顔は千歳ちゃんが惚れこむほどの美青年なんやで?なあ、千歳ちゃん。あれ?なんで、顔を横にそむけているんや?
「四さま。男は顔じゃないっしー。中身っしー。僕は四さまの中身に惚れたっしー。だから、顔のことは禁句なんだっしー」
「ちょっ、ちょっと、待ってくれやで?わい、千歳ちゃんが、わいの整った鼻立ち、美麗なマユ、そして、だれをも魅了する眼に惚れたんじゃないんでやんすか?」
「あーははっ!千歳さんが、そんなところを基準に惚れこむわけがないんだぜ。顔が基準だったら、四たんじゃなくて、千歳さんは俺を選んでいたんだぜ?」
まあ、慶次くんの言う通りやわな?慶次くんがわいより美男子なのは、自分も認めるところやで?でも、慶次くんは飛びぬけていると想っていた分、わいは普通より上と言ったところだと想っていたんやで?
「こんなこと四さまに言うのは、心苦しいんだけど、四さまの友達の田中くん、彦助くん並なんだっしー。弥助くんや、ひでよしくんよりは遥かにはマシだけどっしー」
があああん!あんな豚さんと牛さんのようなツラをしている田中くんと彦助くんと、わいの顔の評価点は同じなんかいなあああ!わい、人間界から逸脱している弥助くんと、ひでよしくんより遥かにマシ程度なんかいなあああ!
「あれ?そんなに悲観することちゃうかったわ。弥助くんとひでよしくんより遥かにマシなら、そりゃ、人間界の基準から見たら、まだ人間なんやで?ああ、安心したんやで」
「弥助ってのは黒い肌でバイの奴だったよな?四たん。あれは、ひのもとの国の人間とは顔の作り自体が根本的に違うんだぜ。美醜感が根本的に違っている気がするんだぜ」
「そうやなあ?わい、南蛮人のあのごつごつした彫の深い顔がそもそも気味悪いんやで。なんや?あのひとらは、この世に産まれてきた時に、両親に顔が歪むほど、ぶんなぐられる儀式でも受けるんかいな?」
「うーーーん。産まれてきたばかりの時にそんなことはしないんじゃないっしー?それよりも【洗礼】って言う儀式をすると、弥助くんは言っていたっしー。その時に、顔がぼこぼこになるような儀式をするんじゃないっしー?」
「デウスの教えはすごいんだぜ。あんなに、顔がでこぼこするくらいのことをするのか?だぜ。南蛮人には、あごが尻のように割れているような奴が多いんだぜ。きっと、その儀式のときに、あごが尻のようになるようにぼこぼこにしているはずなんだぜ!」
「怖い話やで?わい、なんだか世の中の闇を覗き込んだ気がするんやで?この話はここで一旦、やめた方が良いような気がしてきたんやで?」
「まあ、理由はどうであれ、何か不思議な力が働いているんだろうだぜ。それこそ、神さまの力が関係するのかもだぜ?」
「よくわからない現象って言うのはおこるもんだっしー。世の中には手の指が1本多いひともいるんだっしー」
「せやなあ。具体的に名前をあげるのは、なんだか危険な香りがするから、言えへんけど、指が1本多いひとは確かにおるからなあ?親がその子が赤ん坊のときに、包丁でばっさり切ってしまうみたいやけどな?」
「その話に関連して、鴉にも足の指の数が少なかったり多かったりするものがいるポッポー。あれは大神の使徒である可能性が高いから、無碍に扱わないようにするんだポッポー」
「じゃあ、たまに川魚で眼がひとつしかないのが獲れるけど、あれも神さまの使いなのかだぜ?まるちゃんよ」
「そうだポッポー。一つ目は大神の使徒だポッポー。くれぐれも喰おうなどと想わずに川に帰してやるのが良いんだポッポー」