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ー旅立ちの章41- ねずみくんが生意気にも名有りキャラなんやで?

「ところで、(あわ)ばかりでは食べ飽きてきたっチュウ。できることなら、そばがらも食べたいところでチュウ。ご主人さま、僕にそばがらをよこせっチュウ」


 なんや?この生意気なねずみくんは。大人しく、(あわ)でもかじっていろやで?


「そばは、明日の朝に食べるために仕込んであるから、少し食べるっしー?でも、食べ過ぎちゃだめっしーよ?」


「ああ、奥方さまは優しいでっチュウ。できることなら、1本、まるまるほしいのでチュウ」


 千歳(ちとせ)ちゃんが、ねずみくんを餌付けしはじめたんやで?あんまり、ねずみは触っちゃあかんのやで?悪い細菌をたくさん持っているんやで?


「僕は悪いねずみじゃないっチュウ。それに、朝晩、水浴びを欠かせていないっチュウ。ご主人さまよりは数倍、清潔だっチュウ!」


 ほんまに生意気なねずみなんやで?あろうことか、わいを汚いモノ呼ばわりなんやで?こいつ、いっぺん、しめたほうがいいちゃいますの?


「や、やめてほしいっチュウ。ご主人さまに生意気な口を聞いて、ごめんなさいっチュウ。だから、いじめるのはやめてほしいっチュウ」


「こら、(よん)さま。ねずみくんをいじめるのはやめるっしー。ごめんっしー。(よん)さまは、昔、ねずみにスネをかじられたことがあるっしー。だから、ねずみくんが苦手なんだっしー。許してやってほしいっしー」


「それは不届きなねずみも居たモノでっチュウ。ねずみの番長と言われたこの、ねずこっしろーが、その悪いねずみをこらしめてやるっチュウ!」


 ねずこっしろー?なんや、きみ、けったいな名前をしているんやなあ?その名前は危険な香りがするんやで?改名するなら、今のうちなんやで?


「これは我が一族にの家長に伝わる伝統的な名前なんでっチュウ。だから、おいそれと変えることはできないんでっチュウ」


「あーははっ!ねずみくんは一本、筋の通った、ねずみのなかのねずみなんだぜ!気に入ったぜ。俺様も、何か食べるモノをやるんだぜ?」


「ありがたき幸せでっチュウ。できるなら、ちーずとやらを食べてみたいっチュウ。なんでも、南蛮渡来の牛の乳を固めて発酵させたシロモノらしいんだっチュウ。僕はそれを食べれば、次の段階へと到達できそうな気がするんでっチュウ」


 なんか、このねずみくん、頭のおかしいことを言いだしたんやで?やっぱり、ねずみくんは脳みそが小さいから、言ってることが変なのは仕方ないんかいな?


「ポッポー。(よん)。このねずみの言っていることはあながち間違っていないんだポッポー。このねずみからは、ほのかであるが、神気を感じるんだポッポー。次の段階へと進む可能性を秘めているんだポッポー」


 ついに鳩のまるちゃんまで狂い始めたんやで?まあ、わいの頭の上でウンコをプリプリしまくっている段階で、おかしいんやけどな?


「失礼だポッポー!拙者が(よん)の頭でウンコをプリプリしている理由は先ほど、説明したのだポッポー!(よん)を守るために仕方なく、プリプリさせてもらっているんだポッポー!プリプリッ!」


 あっ、このクソ鳥。また、わいの頭でウンコしおったで?ちょっと、しばいたるから、わいの頭の上で大人しくしておくんやで?


「まあまあま。(よん)たん。まるちゃんは(よん)たんのためだと言っているんだぜ?それを信じてやらないのは、飼い主としてはどうかと想うんだぜ?」


 くっ!わいの器のでかさを問うてきたんやで?この感性が狂っている慶次(けいじ)くんがっ!


「で、ねずみくんよ。次の段階に進むって言うのはどういうことだぜ?」


「こっしろーと呼んでほしいっチュウ。次の段階と言うのは、大神おおかみさまの使徒になることなんだっチュウ。善行を積んだ動物たちは、大神おおかみさまたちからの伝言、謂わば、神託を巫女さまたちに届ける役目を任されることになるんだっチュウ」


「なるほどだぜ。それでその使徒になるためには、ちーずとやらが必要なのかだぜ。まったく理解できないんだぜ!」


 おっと、ねずみのこっしろーくんが、盛大にずっこけているんやで?あかんで?慶次けいじくんに難しいことを言っても通じんのや。もっと、簡単に簡潔に説明せんとダメやで?


慶次けいじくん。このこっしろーくんは、将来、神さまの使いっぱしりになりたいって言っているんやで?」


「なるほどだぜ!さすが、よんたん。説明のわかりやすさは、ひのもとのいちだと言っても過言じゃないんだぜ!」


「僕はよんさまを惚れ直してしまったんだっしー。そっかー、こっしろーくんは神さまの使いっぱしりになりたいんだっしー。ねずみにしては見上げた夢を持っているっしー」


「そ、そんなに褒めないでほしいっチュウ。でも、ここの長屋はすごいっチュウね?修行中の身分である僕でも、いくつかの神気を感じるっチュウ。ご主人さまは、何か不思議な【えにし】に恵まれているっチュウ」


「それは拙者にも不思議でたまらないんだポッポー。よんの隠された力から考えれば、逆に【えにし】の繋がりが切断される可能性だってあるんだポッポー。この長屋は一体、どうなっているんだポッポー」

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