ー旅立ちの章40- わいの愛の住処に新たな居候があらわれたんやで?
「ケケッケケッ!長寿さまじゃないですかケケッ!いつの間に、ここに来ていたのですか!ケケッ!」
あっ。河童くんが眼を覚ましたんやで?面倒くさいことになるから、おならでもひっかけてやるんやで?
「お、おい!尻をこちらに見せるなケケッ!調子に乗っていると、尻小玉を引っこ抜くぞ!ケケッ!」
おっと。危ないところやったで?わい、尻を掘られるのは慣れているけど、尻小玉は勘弁してほしいところなんやで?まあ、ええわ。とりあえず、ボブンッ!といっとくんやで!
「くっ、臭いケケッ!お前は一体、普段、何を喰っているんだケケッ!こんな、鼻のまがりそうなおならはなかなかに嗅いだことがないんだケケッ!」
「なんやろうなあ?普段、千歳ちゃんと変わらんモノを喰っているはずなんやけどなあ?千歳ちゃんのおならはフローラルな香りがするって言うのに、なんでやろなあ?」
「ちょ、ちょっと、何を言い出しているっしー!四さまはデリカシーが無いんだっしー!僕のおならの匂いなんて、説明するなっしー!」
「あ、すまんこってやで?でも、わいのおならが臭いのはなんでやと想う?千歳ちゃん」
わいの問いかけに千歳ちゃんが、うーーーん?と頭を悩ませているんやで?
「お肉をたくさん食べているひとは、おならがすっごく臭うと言うのは聞いたことはあるんだっしー。でも、四さまがお肉を食べる時って、慶次くんが熊さんとかたぬきさんを取ってきたときくらいよね?っしー」
「せやなあ?しっかし、なんで、たぬきとか、狼の肉ってのはあんなにまずいんやろうなあ?毛皮を剥いで売ったら、金になるさかい、たまに見かけたら捕るんやけど、肉を喰わんのは罰あたりやから、喰ってることは喰ってるけどなあ?」
「そうなんだぜ。たぬきさんの皮は特に高く売れるんだぜ。でも、あの肉は中々に厳しいものがあるんだぜ?アレを喰った次の日のおならが自分でも悶絶するくらいに臭いんだぜ?」
「うーーーん。たぬきさんの肉は調理方法ではどうにか食べれるものになるっしーけど、狼さんはすじっぽいのがどれだけ煮込んでも、とれないんだっしー。今度、猟師さんに狼さんの調理方法を聞いてみるっしー?」
「せやなあ?わいの知り合いの猟師さんにその辺、聞いてみましょうか?ついでに鳩の調理方法も聞いとくべきやろうしなあ?」
「ポッポー!拙者を喰おうとするのはやめろだポッポー!これでも、神の眷属なんだポッポー!お前たちには毒になりかねないんだポッポー!」
えっ?鳩のまるちゃんって、神の眷属だったんかいな?おっかしいなあ?とてもじゃないけど、ただの人間語を話す、鳩なんやで?
「四たん、変な事を言っているんだぜ。人間と会話できる鳩なんて、そうそう居るわけがないんだぜ。まるちゃんの言うとおり、神の使徒か何かだと想うんだぜ?」
「まじかいな。じゃあ、わいが鳩のまるちゃんにお供えモノをしたら、もしかして、わい、富くじで大当たりしたりせんかな?なあ、まるちゃん、今夜は何が食べたいんや?」
「ポッポー。できるなら、米がらばっかりは飽きてきたから、たまにはみたらし団子が食べたいんだポッポー。清州の町に最近できた、あそこの甘味処のが良いんだポッポー」
「ケケッ。あそこの甘味処のみたらし団子は甘辛くて美味しいんだケケッ」
「フシュルルルー。河童よ、いつの間に行ってきたんだフシュルルルー。そう言えば、3年ほど、酒の中に沈められっぱなしで腹が減っているのだフシュルルルー」
「おう。長寿さま。熊肉がまだ余っているんだぜ?長寿さまは肉はいける口なのかだぜ?」
「フシュルルルー。蛇肉でなければなんでも食べれるのだフシュルルルー。だが、できることならねずみの肉をいただきたいところだフシュルルルー」
「ねずみかいな。なんか、食通なのか、違うのか、よくわからんなあ?でも、ねずみなんて、そうそう都合よくいるもんちゃうで?やつら、すばしっこいしなあ?」
「僕を食べるのはやめてほしいのでチュウ。僕は悪いねずみじゃないんだチュウ」
「ほらな?ねずみくんも嫌がっているんやで?長寿さまくんはねずみを諦めてほしい、って、今の声、なんや!」
「あっ、四さま。ねずみくんが部屋の片隅でぶるぶる震えているっしー?あのねずみくんじゃないっしー?」
「おお。千歳さん。本当だぜ。ねずみさんがいるんだぜ?なんで、また、ねずみさんがこんなところにタイミング良く現れているんだぜ?」
「ぼ、僕、お腹が空いたから、少しだけ、粟を食べさせてもらおうと、出てきたんでチュウ。でも、ほんの少しだけもらうつもりなだけだから、長寿さまの食料にしてほしくないんだチュウ」
なんや、灰色のねずみくんがしゃべっているんやで?なんなのや。この長屋は。わいが無い金はたいて買った長屋の一室は、不可思議なモノが集まるのに適した住処なんかいな?
「ここはとっても居心地が良いんだっチュウ。だから、住みついてしまったチュウ。僕は悪いねずみじゃないから、命ばかりは取らないでほしいっチュウ」