ー旅立ちの章 4- わいはあほやで。宇宙1のあほやで!
すまへんな。もう少し、わいの回想は続くんやで?
どこまで話したんかいな?わいと千歳ちゃんとの馴れ初めは。せやせや。わいが清州から津島の町まで毎日、千歳ちゃんが買い出しに来てないか確認していたってところまでやな?
まあ、実際、中々、タイミングが合わずに会えんかったわいや。そして、津島の町に通い始めて1カ月が過ぎようとしたところやったんやで?わい、ついに千歳ちゃんとばったり出くわしたんや!
「や、やあ。ちちち千歳ちゃん。久しぶりなんやな?元気にしてたんかいな?」
「よよよよよ四さま、こんなところでどうしたんでっしー。四さまはお仕事で毎日、忙しいんじゃなかったしー?」
「しししし仕事と言っても、毎日、訓練なんやな?で、訓練終わりには津島の町で茶と団子をしばいているんや。で、今日もいつもの団子屋でしばきまわしたろうかと想っていたんやで?どや?ちちち千歳ちゃんも一緒に茶でもしばきまわさへんか?」
わい、何を緊張しているんや!まるで14歳の思春期まっさかりの風が吹いただけで、いちもつがびっきびきになってしまう男子かと自分で自分にツッコミを入れそうになっていたもんやで。
「ででででも、良いんだっしー?信長さまは清州城を手に入れたばっかりだっしー?皆、訓練だけじゃなく、色々と清州の町の整備や警備で忙しいと聞いているんだっしー?」
「そ、そないなこと、ひでよしくんたちに任せておけば良いんやで。わい、近くの団子屋がえらい気に入ってますんや。なんたって、きれいな女性店員がいるんやからなあ」
「そういうことでしたかっしー。四さまはきれいな女性が好きなんだっしーか。僕、そんなにきれいじゃないからっしー」
「ちゃ、ちゃうで?男っちゅうもんは、お食事処の店員さんがきれいだったら、つい喜んでしまうだけやで?好きになる女性とはまた別なんやで?」
「でも、四さまは確かに今、きれいな女性店員さんが目当てで団子屋さんに通っていると言っていたでっしー。四さま、もう帰っていいっしー?僕、用事があるから、早く熱田神宮に帰らないといけないっしー」
ま、まずいんやで!変なこと言ってもうたから、千歳ちゃんに誤解されてしまったんやで!わい、なんてあほなことしてもうたんや。自分でフラグを折ってしまったやんか!
「ち、千歳ちゃん、待ってくれでやんすーーー!」
でも、千歳ちゃんはそのまま、逃げるように走って行ってしまったんやで。時折、両手に抱きかかえるように持っていた、塩が大量に入った壺が重いのかよろめいて、倒れていたんやけど、壺は割れずに済んで、ほっとしたもんやで。
「うーん。それは四さん、あなたが悪いわ。あの日、千歳が涙で枕を濡らしていたのはそういうわけだったのね?」
「うふふっ。椿さん。そんなに四さんを責めなくていいのではないですか?ですわ。四さんだって、千歳さんを傷つけようとして言ったわけではないのですわ。つい咄嗟に女性に言ってはいけないことを言っただけですわ?」
「風花ー。それ、なんの慰めにもなってないよー。で、四さん、これからどうするのー?千歳、めっちゃ凹んでたよー?」
「ううう。椿くん、風花くん、菜々くん、わい、どないしたらええんやろ?あれから、千歳ちゃんと津島の町でばったり出会っても、逃げられてしまうんやで?わい、千歳ちゃんに嫌われてしもうたんかいな?」
わいは、清州に熱田神宮から派遣されている、椿、風花、菜々くんたちに相談してもらっていたんやで。前に言ったんやけど、この女性たちは信長さまの兵士たちに弓の訓練を施すために、信長さまに頼まれている人たちやで。で、この3人は特に千歳ちゃんとは仲良くしてるさかい、わいが、千歳ちゃんについて、あの後、千歳ちゃんがどうなったか色々と聞きこみをしているってわけや。
「千歳は四さんを嫌っているわけではないと思うわ。でも、近頃、元気がないのは見ているこっちとしてもいたたまれない気分になるわ。よっぽど、四さんの台詞にショックを受けているだけだと思うわよ?」
「失敗したんやで。わい、素人女性の扱いには慣れてないもんやから、つい、心無いことを言ってしまったんやで。わい、千歳ちゃんに嫌われてもうたら、お先真っ暗闇やで」
「うふふ。だから、椿さんが言っていますように、四さんは千歳さんに嫌われていませんわよ?そうでなければ、千歳さんが凹むわけがないのですわ?」
「そうだよー。四さんにきれいな女性が好みなんてことを言われたからこそ、凹んでるんだしー。しょうがないなー。ここはあたしたちが、四さんの千歳のために一肌脱ぐー?」
「え?良いんでっか?わい、あんたさんがたの大事な友達を傷つけたんやで?わいを恨むことはあっても、手伝いを言い出すなんて思っても見なかったんやで?」
「四さんがデリカシーのないことを言ったのは確かに腹ただしいわ?同じ女性としてはね?でも、四さんは千歳のことを大切に想っているんでしょ?そうじゃなければ、私たちに頭を下げてまで、相談しにくることはないものだしね」