ー旅立ちの章38- 能ある鷹は爪を隠すんやで!
またわけのわからんことを、こいつらは言い出したんやで?まったく、説明責任を果たしてほしいところやで?大体、わいを無害化とかどういうことなんや?わいは、プリティーな32歳のおっさんなんやで?わいも、近頃、加齢臭が気になるところやから、まず、わいの加齢臭を無害化してほしいとこやで?
「フシュルルルー。四、貴様が死ねば、加齢臭ごと消えてなくなるんだフシュルルルー。ワシが手伝ってやろうだフシュルルルー」
「いやあ、長寿さんよ。あんた、勘違いしているんだぜ?ひとってのは死ねば、悪臭を垂れ流すんだぜ。それこそ、筆舌にし難いほどなんだぜ?100メートル離れたところでも、ひとの死体の悪臭はわかるんだぜ?」
「せやなあ?慶次くんの言う通り、なんで、ひとの死体ってのは、あんなに臭うんやろな?野良犬とか、イノシシの比じゃないもんなあ?」
「不思議よねっしー。下手をすれば、牛さんや、馬さんより臭うっしー。だから、一発で、殺人とかってバレルよねっしー」
「せやせや。埋めても、臭うもんなあ?だから、死体は大概、焼いてしまうもんなあ?まあ、お偉いさんの場合は桶に入れて埋めるんやけど、墓場が臭くてかなわんわ。ちゃんと焼いてほしいとこやで?」
「フシュルルルー。それは本当なのか?フシュルルルー。それでは、四を無害化するどころか、公害化させてしまうことになるのだフシュルルルー」
「わい。死んだら、フローラルな香りを出したいところなんやで?毎日、香草をかじってたらええんかいな?」
「無理じゃないかだぜ?香草も結局はウンコに変わるんだぜ?切腹するときには、腹の中にウンコがあると匂いがきつくなるから、浣腸をしたり、三日間ほど絶食させることがあるくらいなんだぜ?」
「慶次くん、その話、本当っしー?じゃあ、四さまが信長さまに粗相をした時は、僕、四さまに最後に美味しいものを食べてもらおうと想っているっしーけど、ダメなんだっしー?」
「いやあ、千歳ちゃん。それは大丈夫だと想うぜ?喰ってすぐに腹を切らせれば、良いだけの話なんだぜ。腸と呼ばれるところに食べたモノが残っていると、強烈に匂うってだけなんだぜ?」
「それは安心したっしー。四さま、いつでも、信長さまに切腹を命じられてくれっしー」
「ちょっと、待ちいや!わいが、切腹するのを前提に話を進めるのはやめてくれやで?わい、これでも、上司たちには、ちゃんとおべっかを使いながら、米つきバッタみたいにペコペコ、頭を下げているんやで?」
「それはそれで、なんとも情けない話なんだぜ。四たんは、できる男なんだから、そこまで、こびへつらう必要性はないんだぜ?」
わかってませんなあ?慶次くんは。やっぱり、考え方が突飛すぎて、世渡り下手なんやで?
「慶次くん、千歳ちゃん、言っておきますけど、能ある鷹は爪を隠すって、ことわざを知っていますかいな?」
「美味しい鷹の爪は隠しておくのが一番なんだぜ!って意味だろだぜ?それくらい、俺様だって知っているんだぜ!」
「慶次くん、違うっしー。隠し味には鷹の爪が一番って言う意味っしー。それくらいわからないようじゃ、まだまだっしーね?」
あかん。この2人、どっちも間違っているんやで?
「あのな?2人とも。能ある鷹は爪を隠すは、才能あふれる人物は、その才能を隠しておかないといけない意味やで?」
「なんでなんだぜ?そんなことしたら、もったいないだろうだぜ?自分が持てる力を隠してどうするって言うんだぜ?四たんの言いだと、喧嘩で実力を隠して、わざと負けろと言っているようなもんだぜ?」
「そうだっしー。四さまの言っていることはおかしいっしー!四さまこそ、間違っているんだっしー!」
「話の続きを聞いてくれやで?別に喧嘩の時は実力を隠す必要はないんやで?やるときはやれるって力は示さなあかんわけやな?でも、ひとって言うのは、才能を持っている人間を妬むもんなんや。だから、普段は、昼行燈と揶揄されてでも、あほあほまんを演じなならんっちゅう、戒めなんやで?」
「なんか、まわりくどい言い方なんだぜ?そんなこと言われても、馬鹿な俺様には理解できないんだぜ?」
うーーーん。せやなあ?どう、言ったら、慶次くんにも理解しやすいんやろなあ?
「うーーーんとな?人間、慶次くんみたいな、竹を割った性格の気持ちいいやつなんて、そうそうおらんのや?だから、大概は、ひとの成功を妬むんやって。だから、実力のあるような、わいはヒトから妬まれやすいんや。だから、わいは、普段、あほあほまんを演じているんやで?」
「なるほどなんだぜ。やっと、馬鹿の俺様にも理解できてきたんだぜ。おう、四たん。四たんを妬んでいるのはどいつなんだぜ?俺様がそいつをぶっ飛ばしてやるんだぜ!そしたら、世の中、四たんが生きやすい世の中になるんだぜ!」
あかん。やっぱり、慶次くんは狂っていたんやで?でも、まあ、慶次くんみたいに、そんな妬むばっかりの人間は始末したほうが、ええんかもしれんな?その代り、ひのもとの国に住んでいる人間の9割9分9厘が、この世からいなくなりそうやけどな?




