ー旅立ちの章35- またもや【うさぎとかめ】が発動したんやで!
わいの存在を神にバレルとやばいやと?それは一体、どういうことや?そりゃ、金に困って、寺や神社の賽銭に手を出したことは数知れずやし、お地蔵さんに供えられたまんじゅうにも手を出したことはあるんやで?でも、そんなこと、誰でもやっているんや。わいだけ、神さまに恨まれる謂れは無いんやで?
「そんなせこい話では無いんだポッポー!四、お前の力は神々には危険な代物なんだポッポー。その証拠にその河童が、力を満足に発現できない、お前の力に当てられて、気絶するほどなんだポッポー!」
「まあまあまあ。そんなにいきりたたんといてや?まるちゃん。わいの身体からにじみ出るオーラがまぶしすぎただけやで?」
鳩のまるちゃんがクルッポー!クルッポー!うるさいんやで?いい加減、焼き鳥にしたほうがええんかなあ?
「まるちゃん。四さまの力が神を気絶させるだけの力を持っていることはわかったんだぜ?でも、その程度なら、俺様の力でも可能なんだぜ?ならば、俺様も神さまに狙われるってことにならないのか?だぜ」
せやなあ。慶次くんは古来の神の血が混ざっているとかなんとか言っていたもんなあ?それに神さまと思わしき熊さんも気絶させたんやろ?それなら、慶次くんだって、神さまに命を狙われても不思議はないんやで?
「まるちゃん。四さまの力ってなんだしー?そろそろ、本当のことを教えてほしいんだっしー」
「千歳。お前は【姫】なのだポッポー。拙者が言わなくても、気付いているはずだポッポー」
「そ、それは、薄々とは気付いているんだっしー。でも、アレは伝説も伝説であって、その存在が確認されたことは、神代においても1人しかいないと言われているっしー」
神代やて?一体、どれくらい大昔の話をしているんや?しかも、わいの力に関連するひとがそんな長い年月において、たったひとりしか該当しないんかいな?
そう、わいが想った次の瞬間やったんやで?わいの【瀕すれば鈍する】が発動したんは!ど、どういうこっちゃ!わいのこの特殊能力が発動したと言うことは、わいの身に命に関わるほど危険が差し迫っているってことや!
落ち着くんや、わい!まずは、注意深く観察して、どこから攻撃がくるのか把握するんや!
ん?なんや?蝮酒の入った壺が揺れているように見えるんやで?もしかしてこの壺がいきなり動いて、飛んでくるってことやないやろな?
いや、違うんや!この壺が飛んでくるんやない!この壺に入った酒の水面が激しく揺れているんや!この酒の中から、何かが起きようとしていて、それがわいの命を狙っているんや!
わいは、急いで、酒の入った壺の口を自分の方に向かないように、蹴飛ばそうとしたんやで?だけど、わいの動きもまた緩慢やから、蹴飛ばす前に、壺の口から何かが飛び出してくるんやで!これはあかん!わいの顔面に、何かがぶち当たるんやで!
すっごい遅い動きで酒の入った壺から何か、白くて長い何かが飛んでくるんやで?って、これ、もしかして、蝮なんかいな?蝮酒の材料にしてやったさかい、すっかり、この蝮は死んだものやと想っていたんやで?
あかん。わいの鼻めがけて、蝮が口を大きく広げて噛みつこうとしているんやで?こりゃ、蝮に噛まれて、猛毒がわいの身体に入り込んで、わいは命を落としてしまうってことかいな!
すまんやで?千歳ちゃん。わいは千歳ちゃんと添い遂げることは無理そうなんやで?わいの墓には、戦国快男児、ここに眠ると刻んでほしいんやで?
わいは観念して、眼を閉じたんやで?ああ、わいの人生、32年くらいで短かったんやで?もっと長く生きたかったんやで?
わいがそう想った瞬間のことやったんやで?わいの頭に生暖かいしっとりした何か変な感触がしたんは。
「おい、このクソ鳥!また、ウンコしやがったやろ!わいが最後を迎えると言うときに、わいの頭をまるちゃんのうんこだらけにするのはやめてくれやで!」
「す、すまないでポッポー。つい、ぷりっと出てしまったのでポッポー」
まったく、鳩のまるちゃんには困ったんやで?って?あれ?【瀕すれば鈍する】が解除されたんやで?わい。助かったんかいな?
「フシュルルルー!まる、貴様。何故、邪魔をするんだフシュルル!ええい!鼻が曲がるフシュルル!」
へっ?なんや、この舌ずり舐めをしているような声は!?って、なんや?ぶっとい白い蛇が部屋のなかでのたうちまわっているんやで?
「ポッポー!お前は長寿さまじゃないかポッポー!なんで、お前までここに居るんだポッポー!」
「フシュルルルー!偶然、3年ほど前に、この男と出会ったフシュルルルー!そこでワシが蝮に変身して、こいつに蝮酒にしてもらったんだフシュルルルー!そして、酒壺の中で、この男の命を狙おうとしていたところを、こいつはあろうことか、壺ごと、土の中に埋めやがったんだフシュルルルーーーー!」




