ー旅立ちの章30- 河童は一体、どんな味がするんやろうなあ?
古来の狼の血?慶次くん、何をわけわからんことを言っているんや?
「狼じゃなくて、偉い神さまのほうの大神だぜ?しっかりしてくれだぜ、四たん」
ああ、なるほどなるほど。聞きなれない言葉やったから、つい、勘違いしてしまったんやで?許してほしいとこやで?
「で?その古来の大神くんがどうしたんや?大体、その血が流れているってどういうこっちゃや。帝に連なる血筋ならまだしも、神さまの血が流れているなんて言ったら、やばい宗教団体のひとたちが怒って、かちこみにくるんやで?」
「大神をくんづけで呼ぶのもどうかと想うんだぜ。まあ、良いんだぜ。流れているわけじゃあないんだぜ。何かの拍子に俺様の血と混ざっちまったんじゃないかとのカラス天狗の見立てなんだぜ?」
なるほどやで。さっぱり話がわからんのやで。なあ、千歳ちゃんは、わかっているんかいな?
「うーん。僕のお父さんとお母さんが僕が小さい時に聞かせてくれたことがあるんだっしー。古来の大神さまたちは、年月を重ねるうちにだんだん、その力が衰えて行ったってっしー。で、その力を少しでも補おうと、その身に流れる血を利用していたんだっしー」
おおう。千歳ちゃんが何やら、解説してくれそうな雰囲気なんやで?
「まあ、四さまと僕は近々、結婚することになるから、僕のお父さんとお母さんに直接聞いてもらったほうが早い気もするっしー。でも、僕から言えることは、古来の大神さまたちは、今でも復権を狙っていることだっしー」
あかん。いきなり話が飛躍しているんやで。もうちょっと、大神初心者のわいにもわかりやすい説明を頼むんやで?
「そんなことを言われても、一から話すと長くなるっしーよ?それでも良いなら、話すっしーけど、僕と四さまがイチャイチャする時間がなくなっちゃうっしーよ?」
うーん、それはそれで困った話なんやで?でも、この河童くんに命を狙われた以上は、わいは自分の身に何が起きているのか、情報を集めなならんしなあ?
「なあ、河童くん。わい、千歳ちゃんとイチャイチャしたいから、命を狙うのはやめてくれへん?それなら、ゆっくりと、千歳ちゃんと布団の中で、おしゃべりできるんやで?」
「ケケッケケッ!水際では気をつけるノダ。いつでもいかなる時でも、キサマの命を狙ってやるノダ」
あかん。これはダメですわ。先に、わいが狙われてる謎を解明しないことには、安心して生活できなくなるんやで?
「千歳ちゃん。すまんなあ。このままやと、千歳ちゃんが大洪水を起こしたら、わい、この河童くんに殺されてしまいそうなんや。今夜は我慢して、河童くんを始末してから、イチャイチャを再開するんやで?」
「わかったしー。残念だけど、今夜のイチャイチャは諦めるっしー。でも、河童くんをどうやって殺す気っしー?」
「ん?そりゃ、斬って、焼いて、食べたらいいんちゃいますの?そしたら、さすがに河童くんも成仏してくれるはずやさかい」
「四たん、それはやめておいたほうが良いんだぜ?さっきも言ったが、こいつらは神なんだぜ。神の一部を食べるのはお勧めしないんだぜ?」
そうなんかあ。いっぺん、河童がどんな味をするか、試してみたいと想ったんやけどなあ?そんなにやばいシロモノなんかいな?もしかして、猛毒を持っているとかなんか?
「うーん。俺様の頭では説明できないんだぜ。まあ、とにかく、神を自分の身体の中に取り込もうとするのはやめておいたほうが良いんだぜ。何が起きるか見当がつかないんだぜ?」
取り込もうとするやて?なんや?神さまを食べれば、その力を身につけれるとでも言いたいんかいな?
「四さまの言う通りなんだっしー。昔から人間は神の力を手に入れようと努力をしてきたんだっしー。でも、それが叶うことは、ほとんどなかったんだっしー」
「うん?千歳ちゃん、どういうこっちゃ?神さまの力を手に入れようとしてきたって言うのは。そんな罰当たりな人間が昔にいたんかいな?」
「四さま。残念ながら、そう言う集団が存在するんだっしー。しかも、昔の話じゃないっしー。その集団は今でも存在するっしー」
なんや?千歳ちゃんの顔つきが明らかに暗くなっているんやで?
「どうしたんや。千歳ちゃん。なんか、言ったら不味いことでも言おうとしているんかいな?言いたくないなら無理して言わんでええんやで?」
「でも、四さまがその河童くんに命を狙われていることと、ひょっとすると関係あるかもなんだっしー。四さまはひょっとして【神の家】の関係者だったりするっしー?」
「な、なんや?そのけったいな名前は。わい、聞いたことも見たこともないんやで?いや、待ってくれでやんす。確か、わい、昔、新興宗教団体に騙されて、幸運の壺を買わされたことがあったんやけど、確か、あいつら【神の家】って名乗ってたんじゃないんか?」




