表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/124

ー旅立ちの章29- カラス天狗って、どういうこっちゃ?

 あかん。さすが馬鹿の中のキング馬鹿なんやで、慶次けいじくんは。まったくもって説明になってないんやで?


慶次けいじくんが慶次けいじくんなのは知っているんやで?そうやないやろ?慶次けいじくんが妖怪じゃなくて、神さまと知り合いっていうそこんとこの理由を知りたいんやで?」


「おっと、わりいわりい。説明が悪かったんだぜ。じゃあ、もう一度、説明するんだぜ。あれは3年前の話だったんだぜ。ちょうど、よんたんと千歳ちとせさんに出会う前だったんだぜ」


 ああ、慶次けいじくんと千歳ちとせちゃんがお見合いをしていて、それをわいがぶち壊したあの事件やんな?もう、3年経つんやなあ。で?


「俺様は千歳ちとせさんとの見合いが始まる3週間前に山籠もりをしていたわけなんだぜ。そりゃあ、とびきりの美人とのお見合いって話が飛び込んできた以上、俺様のいちもつを抑える必要があったというわけなんだぜ!」


 性欲を抑えるために山籠もりするっていうひとは結構おるらしいとは聞いたことはあるんやけど、慶次けいじくんもそのひとりと言うわけやったんかあ。まあ、慶次けいじくんはあの頃、18歳やから、そりゃあ、風が吹くだけで、いちもつがビクンビクンしてしまうさかいなあ?


「とびきりの美人なんて言わないでほしいっしー。僕、照れちゃうっしー。でも、僕はよんさまのモノだから、そんなこと言われても、慶次けいじくんにはなびかないっしー」


「あーははっ!それはすまなかったんだぜ!まあ、俺様も親友まぶだちの嫁に手を出す外道な趣味は持ち合わせていないんだぜ。だから、よんたんと千歳ちとせさんは安心してほしいんだぜ?」


 まあ、慶次けいじくんは義理と人情を秤にかけたら、義理に傾くひとやさかい、その辺は気にはしてないんやで?まあ、慶次けいじくんがもし、千歳ちとせちゃんに手を出すことがあったら、わいは命に代えても慶次けいじくんを始末してみせるんやけどな?って、そんな話はええから、続きを言わんかい。


「そうだぜ。肝心なことを言い忘れていたんだぜ。それで、山籠もりをしたのは良いが、俺様は熊3匹に囲まれてしまったんだぜ。手に持っていた槍は1匹目を始末した時に、ぽきりと折れてしまったんだぜ?」


 なんやて?慶次けいじくんの槍が熊によって折られたやと?そんなこと起きるんかいな?


「ん?よんさま、何を驚いてるっしー?そりゃあ、熊さんの腕力があれば、槍くらいぽきりと折れてしまうっしーよね?」


「いやいや。ちゃうんや。慶次けいじくんの槍の柄は木製じゃないんや。鉄製なんや。熊さんのパンチで曲がることはあっても、折れることはほぼ無いと言って過言じゃないんや!」


よんたん、説明、ありがとうなんだぜ。まったく、あの時はさすがの俺様もびっくりしたんだぜ。なんせ、鉄製の槍の柄が真っ二つにされちまったんだぜ?で、俺様はこの熊さんたちがただの熊さんじゃないことに気付いたんだが、時すでに遅しとなったわけなんだぜ」


「で?慶次けいじくんはその熊さんたちにやられて、晩ごはんになったわけかいな。そりゃあ、悲しい結末やったんやで?」


「おいおいおい。勝手にひとを殺すのはやめてくれなんだぜ。まあ、俺様も死を覚悟していたわけなんだが、眼が覚めた時には、ある茅葺かやぶき屋根の屋敷に運び込まれていたってわけなんだぜ」


 なんだか、謎めいた展開になってきたんやで?慶次けいじくんは熊さんたちの晩ごはんのために、そんなけったいな屋敷に運ばれたんでっかいな?


「熊さんの晩ごはんって言うのは、脇に置いておいてほしいんだぜ。俺はその屋敷の一部屋で布団の中で眠っていたって流れなんだぜ。そこで、眼を覚ましたところ、この河童とカラス天狗が俺の寝ている横に居たんだぜ」


 ははあ。なるほどなるほどなんやで?って、河童?カラス天狗?どういう展開や!


「カラス天狗って言うのは、伝説では京の鞍馬山で源義経を鍛えたって言う、アレでやんすよね?」


「ああ、その認識で間違ってないんだぜ。でも、鞍馬山とはまた別にカラス天狗ってのは、うようよいるんだぜ。そいつは尾張おわりの山々に住んでいる神さまたちの顔役と言ったところなんだぜ」


「ケケッケケッ。我らの仲間である熊さんに傷を負わせたニンゲンがいると言うことで、生かして、オイラたちの里にケイジを連れて行ったノダ」


 補足説明ありがとうなんやで?河童くん。でも、先ほど、慶次けいじくんが言うてましたが、神さまを傷つけるのは普通の武具では無理だったんちゃいますの?


「そうなんだぜ。だが、俺は何故か、それが出来たんだぜ。だから、俺様は屋敷に運ばれて、カラス天狗に検分を受けたって言うことなんだぜ」


「なるほどなあ。慶次けいじくんの力は、ひとを超えてるとは常々、想ってはいたけど、そのカラス天狗くんすら、興味を持つくらいなわけやったと言うことなんやな?」


「まあ、そういうことなんだぜ。で、そのカラス天狗の見立てでは、もしかすると、俺様には古来の大神おおかみの血が混ざっているのではないかと言う結論に達したわけなんだぜ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

cont_access.php?citi_cont_id=886148657&s

ツギクルバナー

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ