ー旅立ちの章28- 妙薬をげっとしたんやで!
なんやと?妖怪は元々は神さまやって言うんかいな、慶次くん!
「四たんは理解が早くて助かるんだぜ。河童は川の神の眷属なんだぜ。だから、通常の武具では傷はつけれても、決して、その存在自体を消すことはできないんだぜ」
なんや?慶次くんがよくわからないことを言いだしたんやで?川の神の眷属って言う表現はなんとなくやけど、わかるんや。でも、存在自体を消すうんぬんはまったく理解ができないんやで?
「ああ。よくわかってないって顔をしているんだぜ。ちょっと、千歳さん。この河童を殴ってくれなんだぜ」
「えええ?僕が殴るんっしー?なんか、表面がヌラヌラしてて黒光りしているんだっしー。こんなやらしい生き物を触りたいとは思えないんだっしー」
「ケケッケケッ!オイラたち河童はその防御力を高めるために皿からヌラヌラした液体を出しているノダ。ニンゲン如きがどうにかできるとは想わないことなノダ!ウゲゲゲッ!」
千歳ちゃん、手で触りたくないからって、足蹴にするのはどうかと想うんやで?しかも、一応、神さまなんやで?神さまを足蹴にするのは罰当たりだと想うんやで?
「そんなこと言われても困るっしー。あああ、足にヌラヌラした液体がついちゃったっしー。四さま、舐めとってほしいっしー」
しょうがありまへんなあ?千歳ちゃんの足やから舐めるんやで?ぺーろぺーろ!
「うわっ!苦いっ!なんや、この液体。すごく苦いんやで!」
わいは今まで千歳ちゃんの色々な体液を舐めてきた歴史をもっているけど、この液体だけはさすがに無理なんやで!
「ちょっと、待つっしー!僕の身体から出ている体液じゃないっしー!これは河童くんのヌラヌラの液体っしーーー!」
「す、すまんやて。わい、あまりの苦さに気が動転してもうたんや。わいは、千歳ちゃんを貶めるつもりなんて毛頭ないんや。堪忍やって!」
「本当っしー?じゃあ、責任もって、最後まで舐めとってほしいっしー?」
あかん。わいがいらんこと言うてもうたから、イチャイチャぷれいの一環から、苦しみの時間に変わったんやで。しっかし、なんやこの謎のヌラヌラの液体は。ほんま、喰ったものを全部、吐き出したいくらいの苦さなんやで!
「四たん、ちなみに河童の皿から出てくる液体は妙薬なんだぜ?だから、下手な怪我や病気なら一発で治るんだぜ?」
「おっ?ほんまかいな!じゃあ、それを利家くんの嫁の松くんに飲ませたら、一発で熱が引くんちゃいますか?」
「おおおおお!さすが四たんなんだぜ!おい、河童!もっと、液体を皿から出すんだぜ!千歳ちゃん、空の瓢箪かとっくりを準備してくれなんだぜ!」
「ケケッケケッ!そんなに頭を揺らすのはやめるノダ。急かさなくても出してやるから落ち着くノダ!」
あれ?なんか、意外と物分かりが良い河童でやんすね?こいつ。てっきり、拒否されるものかと想っていたんやで?
「なあ。慶次くん。こいつ、わいの命を狙ってきたんやんかな?なんで、河童くんは、わいらに薬をわけてくれるんや?おかしくないんか?もしかして、この液体は毒かなんかじゃないんか?」
「ケケッケケッ!失礼なことを言うニンゲンなノダ!オイラはお前の命は狙っていても、他のニンゲンに危害を加えるつもりはないノダ!」
なんや、そんなことかいな。なら、安心したわあ。って、そうやあらへんわ!
「なんで、わいの命を狙っているんや!わいの命は千歳ちゃんに捧げているんやで!わいの命をお前に渡す義理はないんやで!」
「ケケッケケッ!お前は知らないだけなノダ。お前は神に仇なす存在なノダ。だから、お前はここで死ななければならないなノダ!」
「ちょっと、河童くん、動かないでほしいっしー。皿が揺れて、うまく瓢箪の中にヌラヌラの液体を入れれないっしー」
「すまないなノダ。姫に仇なすつもりはこれっぽちもないノダ。さあ、頭を傾けるから、うまいこと、その瓢箪の中に入れるノダ」
「ありがとうっしー。おお、ヌラヌラした液体がどんどん瓢箪の中に入っていくっしー。四さま、もうちょっと待っててっしー」
うーん。シリアスな空気を破壊してくれる千歳ちゃんなんやで?わい、千歳ちゃんの豪胆さには驚きを隠せないんやで?
「おい、河童!今、千歳さんを【姫】と呼ばなかったか?だぜ!」
「ん?うるさい奴なノダ、ケイジは。お前、もしかして、この女性が【姫】だと言うことを知らなかったかノダ?」
「ちょっと待ちいや!なんで、河童くんが慶次くんの名前を知っているんや!それと【姫】って何なのや!わいの知らない事がどんどん、わいの知らぬ間に進んでいる気がするんやで!」
「なんだ、ケイジ。このニンゲンに教えてなかったのかノダ。まったく、いつでも飄々としていると想えば、肝心なところが抜けている奴なノダ」
「わりいわりい。ああ、四たん。別に俺は妖怪とか神さまって、わけじゃあないんだぜ。だから、落ち着いて聞いてほしいんだぜ?俺は前田慶次なんだぜ!」