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ー旅立ちの章23- 30を過ぎたら、酒は毒に変わるんやで?

 結局のところ、慶次けいじくんが熊を取ってきたから、それをわいと千歳ちとせちゃんと慶次けいじくんの3人で美味しくいただいたわけなんやで?


 それと、慶次けいじくんの樽で持ってきた酒がこれまた美味いんや。わい、つい、歯止めが効かずにガバガバと飲んでしまったんやで?


「あーははっ!よんたん、良い飲みっぷりなんだぜ!これは、酒を持ってきた俺様も嬉しい限りだぜ!」


慶次けいじくん、あんまりよんさまに飲ませすぎたらダメだっしー。よんさまはお酒がはいると、歳のせいか、いちもつの起ち具合が悪くなるんだっしー」


「なんやとおおお!わいのいちもつはまだまだ親指の角度なんや!酒に飲まれた程度で、わいのいちもつが起たなくなることなんかないんや!」


 あかん。わい、この時、すでにかなり酔っぱらってたんやで?だから、ついつい、慶次けいじくんが居る眼の前で服を脱ぎだして、ふんどしまでずり降ろしてしまったんやで?


「どうや!わいのいちもつは!慶次けいじくんのより、大きいんやで?」


「うーん、どう見ても小指の角度なんだぜ。よんたん、無理はしないほうが良かったんだぜ?」


「ほら、言わんこっちゃないっしー。よんさま、その粗末なものをしまえっしー」


 ううう。わい、男としての尊厳を傷つけられてしまったんやで?おかしいんやで?たかだか酒に酔ったくらいで、いちもつが起たなくなるのは不甲斐ない極まりないんやで?


「でも、不思議なもんだぜ。なんで歳を取ると、酒を飲んだだけで、いちもつの起ち具合が悪くなるんだぜ?俺様は今年で21歳だが、酒を飲んでもびんびんびくんびくんなんだぜ?」


「不思議な話っしー。明日、お医者さんのところに行くから、ついでに聞いてみるっしー?」


 わいは小指の角度までしか上がらない、いちもつをふんどしで隠すことにしたんやで?くううう。慶次けいじくんの若さが羨ましいんやで?わいの身体は31歳のままで良いから、いちもつの起ち具合だけは21歳の若さが欲しいんやで?


よんたん、凹むのはやめてくれなんだぜ。せっかくの酒が不味くなるんだぜ?」


「すんまへんなあ。わいのいちもつが不甲斐ないばかりにこんなことになってしまったんや。ええい、この情けないいちもつめ。こうしてやるんや!」


よんさま。そんなに力いっぱい叩いてたら、折れてしまうっしー。今日は、イチャイチャするのは諦めるから、それよりも、熊鍋とお酒を楽しもうっしー」


 くううう。千歳ちとせちゃんの優しさが身に染みるんやで。明日は、たくさんイチャイチャしような?わい、明日は酒を控えるんやで?


「てなわけで、慶次けいじくん、千歳ちとせちゃん、飲み直そうやで?やっぱり酒は楽しい話題と共に飲むのが一番なんやで!」


「おう、よんたん。じゃあ、俺様から面白い話題を提供するんだぜ?この前、腕っぷしに自信があると言う力士が俺と一番、相撲を取ってくれと言ってきたんだぜ?」


「ほっほう。それは命知らずの力士も居たもんだっしー。で?慶次けいじくんは、殺したあと、木曽川に投げ込んだっしー?」


「おいおいおい。千歳ちとせさん。俺が喧嘩をふっかけてくる奴を全員、なぶり殺しにして、木曽川に投げ込むような言い方はやめてくれなんだぜ?」


「なんや、違うんかいな。慶次けいじくんのことやから、力加減を誤って、脳天をかち割って、木曽川に投げ込んだんちゃうんかいな?」


「まあまあ、話の続きを聞いてくれなんだぜ。その力士が言うには、地面に相手を叩き伏せたところで勝負は決まりと言ってきたんだぜ」


「なんだ、普通の相撲っしー。で、慶次けいじくんは相手の注文通りに相撲を取ったんだっしー?」


「俺様としては開幕、始まった瞬間に右のこぶしをそいつの顔面に入れて終いにしてやろうと想っていたんだぜ?でも、行司役が信長さまだったのがいけなかったんだぜ」


 なるほどなあ。信長さまは大の相撲好きやもんなあ。こぶしひとつで決着をつけられたら、見てるほうとしても面白うないもんなあ?


「信長さまはあろうことか、俺様だけ、こぶしで殴るのは封印しろって言ってきたんだぜ。いやあ、こればかりは俺様、ほとほとに困ったんだぜ?」


慶次けいじくんにこぶしを封印しろとは中々の難癖なんだっしー。信長さまは慶次けいじくんの強みをわかっていないんだっしー」


「せやなあ。いくさと言うものは相手の長所を潰して、自分の長所を生かすことやんか。慶次けいじくんは身長がでかいだけじゃなくて、腕も長いんや。その腕の長さを利用して一方的に相手を痛めつけることこそが、慶次けいじくんの闘い方なんやで?」


「そんなわけだから、俺様の最も得意とする戦法を封じられての相撲となったわけなんだぜ。まあ、しょうがないから、蹴り倒してやったんだがな?だぜ」


「さすが慶次けいじくんだっしー。こぶしを封印させられたからと言って、足までを封印させなかった信長さまの失策なんだっしー」


「でも、信長さまから大目玉を喰らっちまったんだぜ。蹴るのはダメです。やるなら、行司役にばれないように、ひざ蹴りまでですってな。だから、もう1番、取り直すことになっちまったんだぜ?」

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