ー旅立ちの章21- さて、話を現在に戻すんやで?
ここまでが、わいと千歳ちゃんとの馴れ初めの話やったと言うわけや。あれから、千歳ちゃんとお付き合いを初めて早3年の歳月が流れたわけなんや。
わいの金玉も順調に膨らんだもんやで。おかげで、通常の3倍の大きさにまでなってしまったわけなんや。まあ、冗談やけどな?
「四さま、おかえりっしー。今日の晩ごはんは大根の菜っぱをお米と一緒に炊き上げたものなんだっしー。今日のは自信作なんだっしー!」
ああ、家に帰ると、愛する千歳ちゃんがご飯を用意してくれてるんやで?わい、清水の舞台から飛び降りる覚悟でマイホームを購入して良かったんやで?
「まいほーむと言っても、清州の長屋の一角を買い取っただけっしー。でも、行く行くは四さまが出世して、お屋敷住まいになるのにはあこがれるんだっしー」
「せやなあ。信長さまが自分の兵士の中にも妻帯者がぼちぼち増えてきたと言うことで、男のみの宿舎と夫婦が住むための宿舎を分けて造ってくれたもんなあ。さすがに野獣どもの住処である、元の宿舎では千歳ちゃんを招き入れることなんて、できないんやで?」
「でも、四さま、貯金はだいじょうぶなんだっしー?いくら夫婦用の宿舎と言えども、買い取りにはお金がかかったと想像できるっしー」
「大丈夫やで?わいがこつこつと貯めこんできたさかいな?でも、その代わりに千歳ちゃんには良い服のひとつも贈れなかったのは残念極まりないんやで?」
「そ、そ、そんなこと気にしなくて良いんだっしー!僕はきれいな服をもらえるよりも、四さまと一緒に暮らせることのほうが、よっぽど幸せなんだっしー」
ああ、千歳ちゃんがほんま愛おしいんやで?わい、千歳ちゃんから受け取ったお椀をつい、投げ出して、千歳ちゃんを押し倒してしまったんやで?
「あ、あん!四さま、まだ、ご飯の途中だっしー。そんなに僕を食べたくなったんだっしー?」
わいは返事をするのも面倒だとばかりに、こくこくと首を縦に振って、同意したんやで?そおおおれ!千歳ちゃんと言う神秘の密林にダイビングするんやで!
「おうおうおう!兄弟!今日は良い酒と熊肉が手に入ったんだぜ?兄弟の四たんにも味わってもらおうと想って、持ってきたんだぜ!」
その豪快な叫びと共に、宿舎の戸がガンッ!と蹴っ飛ばされて、どっかに飛んで行ったんやで?
「ん?四たん、千歳さん。夜の運動会にはまだ時間が早いんだぜ?」
「慶次くんなあ。わいの家に来るときは事前に連絡をしてくれと言っているんやで?あと、家の戸を蹴飛ばすのはやめてくれやで?修繕費が高くついて、結構、わいの財布が悲鳴をあげているんやで?」
「おっかしいなあ?なんだぜ。前田家の家の戸は鉄製だから、少々、蹴っ飛ばしても大丈夫なんだぜ?四たん、いくら、金が無いからと言って、けちってはいけないところでけちっちゃダメなんだぜ?」
なんやろな?慶次くんの場合、わいの住処の戸を鉄製に変えたところで、蹴り破る未来しか見えないんやで?
「ちょっ、ちょっと。慶次くん!そんなに僕の裸を見たいのはわかるけど、僕は四さまのものなんだっしー!僕の裸を見て良いのは四さまだけだっしー!」
「ああ、すまないんだぜ。千歳さんの裸を見れないのは残念極まりないんだが、兄弟の四たんの彼女さんを辱しめる気もないんだぜ?ささ。遠慮なく、続きをやってくれなんだぜ?俺は部屋のすみっこで酒を飲んでいるんだぜ?」
わい、さすがに義兄弟の盃をかわした慶次くんと言えども、見られながら千歳ちゃんとイチャイチャするほど、わいのいちもつは傲慢ちゃうで?
「ん?四たんは見られていると、いちもつが起たないのかだぜ?そりゃあ、ダメなんだぜ?俺様なんて、初めてのイチャイチャの時は爺や婆にやり方を逐一、教わったんだぜ?」
なんや、けったいな話やなあ。武家の方々は子孫を残すことは必要不可欠と言えども、そないなことしてるんかいな。
「まあ、俺様は腐っても前田家の当主の養子で嫡男だからなあ?ああ、嫌な話だぜ。誰か替わってくれるのなら、万々歳なんだけどなんだぜ!」
「前田家って利家くんも居るんだよねっしー。あの事件のあと、一体、どうなったんだっしー?」
「ああ、叔父貴の話かだぜ。しっかし、いくら、茶坊主に信長さまから贈られた櫛を盗まれたからと言って、あいつを斬り捨てたのは不味ったんだぜ。結果として織田家から追い出されちまったんだぜ。今は、清州の町にすら出入り禁止なんだぜ。ったく、血の気が多いのは前田家の遺伝か何かなのかと疑っちまうんだぜ」
「利家くんは信長さまが大好きやさかいなあ。その信長さまから贈られた櫛を盗まれたら、頭に血が昇るのも、しゃーないと思うんやで?」
「僕も、もし四さまから贈られたものを盗られでもしたら、例え、それが慶次くんと言えども刺してしまうっしー。利家くんの気持ちはよくよくわかるんだっしー」
「俺様も気持ちはわかるんだぜ?でも、信長さまは俺様たちの主君なんだぜ。主君の裁可は絶対なんだぜ?斬るなと言われた以上は、闇撃ちでぶっ殺しておけば良かったんだぜ?」