ー旅立ちの章20- 戦国快男児と狂戦士の邂逅
今想えばあの時の約束は失敗やったんやで?わい、あれから毎日のように千歳ちゃんに金玉を蹴り上げられるようになったんやで?
ちょっと、道端で他の女性を見ただけで、わいの金玉は悲鳴をあげるようになったさかいなあ?しっかし、なんでやろうな?男と言う生き物は愛している女性以外をつい、眼で追ってしまうもんやんか?
決して、やらしい気持ちで他の女性を見たいと言うことやないんやで?でも、自然と眼が違うところを見てしまうんや。彦助くんみたいに、おっぱいをガン見してないと呼吸できない生き物とは違うはずなんやけどなあ?
「ああっ!四さま、また僕以外の女性を見ているっしー!四さま、今日はこれで3度目っしー!約束通り、金玉を蹴り上げるっしー!」
あいたああああああ!やめてくれやで?そろそろ、わいの金玉がもげてしまうんやで?
「あーははっ!四たんは、千歳さんと言う素敵な女性が居るのに、他の女性を見過ぎなんだぜ?このままじゃ、四たんの金玉がもげてしまんだぜ?」
ほんまにそうやで。って、慶次くんは、わいとの喧嘩のあとに千歳くんのことは、すっかり諦めてくれたんは良いんやが、わいを親友と言いふらしまくっているんやで?
慶次くんと親友と言うのは悪い気分やないんやで?むしろ、誉れ高いことや。こんな、腕っぷしの立つ大男なんて、尾張中を探しても居ないからなあ?
別に慶次くんとは損得勘定で親友になったわけやないで?わいにとっては頼れる弟分が出来たって言うのが正しい言い方なんかなあ?
「なあ、四たん。俺と盃を交わさないかだぜ?そうすりゃ、俺様と四たんは親友を越えて、義兄弟になれるんだぜ?」
親友を越えて、義兄弟かあ。まるで渡世人みたいなことを言うひとなんやで、慶次くんは。
「四さまと慶次くんが義兄弟っしーか。僕は反対しないんだっしー」
千歳ちゃんも了承してくれてるんやで?わいとしても、反対よりもむしろ賛成の気持ちが強いんやで?でも、親友から義兄弟に昇格したら、何か変わることでもあるんかいな?
「四たんが危機に瀕した時は、義兄弟の俺様が必ず助けてやるんだぜ?そして、俺様が危機に瀕した時は、四たんに頼らせてもらうんだぜ?」
うーん。わいみたいなへなちょこは、慶次くんのお世話になることは多々あるやろうけど、慶次くんが、わいを頼ることなんてあるんかいな?これじゃあ、慶次くんだけが損することになるんちゃうか?
「そんなことは無いんだぜ。俺様は馬鹿の中の馬鹿だから、世の中を生きていくのは何かと大変なんだぜ。俺様は腕っぷしで四たんを助けるつもりだが、四たんはその知恵で俺様を助けてくれると良いんだぜ?」
「わいのは知恵と言うよりは、ずる賢いだけやで?慶次くんより10年長く生きているだけが取り柄みたいなもんやわ。そんな、わいに頼っていたら、慶次くんの勇名に傷がつくんやで?」
「あーははっ!そんな謙遜をするんじゃないんだぜ?何より、ずる賢いだけなら、千歳さんが見抜いているんだぜ?なあ、千歳さん。ずる賢いだけの男なんかに千歳さんは惚れるわけがないんだぜ?」
「慶次くんの言う通りだっしー。もし、四さまがずる賢いだけの男だったら、僕は決して四さまには惚れていないんだっしー。四さまは大切なひとのためなら、命を投げ出せるひとなんだっしー。だからこそ、僕は四さまを選んだんだっしー」
2人とも、そない、わいを褒めても何も出せないんやで?そこで売ってる団子でも食べるかいな?
「おっ。悪いね、四たん。じゃあ、俺様はみたらし団子を3本もらうんだぜ!」
「わーい!じゃあ、僕は餡かけのほうを2本もらうっしー!四さまは女心をよくわかっているんだっしー」
まったく、この2人には参ったもんなんやで?手放しに、わいを褒めてくれるさかい、つい、わいも財布の紐が緩んでしまうんやで?
「で?四たん。俺様と義兄弟の盃を交わしてくれないかだぜ?」
「良いんやで?わいなんかと義兄弟なんか結ばなかったほうが良かったと、あとで後悔しても遅いんやで?」
「あーははっ!四たんこそ、後悔しないほうが良いんだぜ?俺様と盃を交わしたら、退屈な時間は決して送れなくなるんだぜ!」
まあ、慶次くんが色々とトラブルを持ち込んでくるのは、予想できたんやで?でも、それを差し引いても、わいの人生、おもしろおかしいことになることは間違いないと想ったんや。
わいは、自然と千歳ちゃんの手を優しく、そして強く握りしめていたんやで?わいの未来に栄光あれやで!そして、千歳ちゃんをひのもといちの幸せ者にするんやで!
「じゃあ、さっそく居酒屋に行くんだぜ!そこで、義兄弟の契りを結ぶんだぜ。いやあ、俺様は幸運な男なんだぜ!」
「なんや。わい、慶次くんとこの屋敷でやるんかと想ったんやけど、軽いノリでやんすなあ?まあ、ええわ。戦国快男児と狂戦士の邂逅なんやで!」




