ー旅立ちの章 2- 彼女が出来たら貧困調査ができないんやで!
さて、困ったことになったんやで?彦助くんたちが遊女たちの貧困調査に行くとは言いだしたのは良いんやけど、わい、千歳ちゃんと言う、将来を誓いあった彼女がいるんやで?
わい、千歳ちゃんのことをほんまに愛しているから、月に1回しか遊女通いはしないように気をつけているんやで?えっ?なんで月1は行くんだよ!でやんすか?
そりゃあ、女性と言えば、女の子の日があるんや。そう言う時は千歳ちゃんが嫌がって、わいがイチャイチャしたくてもできないわけなんや。だから、女の子の日だけは遊女とイチャイチャしても良いとお許しが出るって言う寸法なんや!
で、何が問題かと言いますと、今日は計算通りなら、千歳ちゃんの女の子の日が終わる日なんやな?というわけで、今日、わいが遊女たちの貧困調査に行けば、浮気扱いになるわけや。
ほんま、信長さまはタイミングが悪い御人やで。せめて、昨日に岩倉城を落としてくれていれば、わい、大手を振って、遊女とイチャイチャ。あかん、貧困調査ができたんや!
「四さん、何をぶつぶつ言っているんだぶひい?やっぱり、彼女持ちなのに、遊女とイチャイチャするのは後ろめたい気分になるぶひいか?」
「そ、そうでやんすね。わいとしては、千歳ちゃん一筋と豪語しているさかいな。わい、失敗したやで。色んなお尻を堪能したいと言うのに、見栄張ってしまったさかい。彦助くんが羨ましいんやで」
「おいおいおい!ちょっと待てよ!俺がまるで色んなおっぱいを思う存分、楽しんでいるかのような言い方は!お前らのように彼女・彼氏持ちなら、こんな惨状になってねえんだよ!」
「ちょっと待ってクダサイ?彼氏持ちと言うのは、もしかして弥助のことを言っているのデスカ?失礼デスネ!弥助はこの前、彼氏に振られたばかりなのデス。このむしゃくしゃとやるせなさを遊女にぶつけたい気分なのデス。お尻にデスガ」
「あ、あの?弥助殿。女性はお尻は嫌がるもの、ですよ?私も彼女相手に試そうとしたら嫌がられました、からね。ですから、お尻は遊女と言えども、許してくれないと思い、ますよ?」
オウ、シット!と弥助くんが叫んでいるんやで?わいも昔は男の尻を掘っていたもんやけど、千歳ちゃんが男相手でも浮気でっしー!と言うから、男とイチャイチャするのはやめてしまったんやで。はああああ。彼女持ちはつらいんやで?彦助くんだけはわからないやろうけどな?
「おい、四さん。お前、今、すっごい失礼なこと考えてるだろ!俺が彼女いない歴=年齢だと馬鹿にしてんだろ!くっそ、こいつら、俺の目を盗んで彼女を作りやがって。俺だって、彼女が欲しいんだよ!でも、できないんだよ!」
そういえば、わいが一番びっくりしたのは、ひでよしくんが彼女を作ったことなんやわ。去年の春先に私にもやっと彼女ができました!と紹介された時はほんま驚いたもんやで?
なんたって、若いと言うよりは若すぎるんや。なんや、聞いたら、ひでよしくんより10歳も若いんやで?歳でっか?それを言ったら、わいのこの物語が即時終了してしまうから、言えへんわ。ヒントだけ与えたるわ。今、ひでよしくんは今年で24才やんな?おっと、これ以上は御法度や!
「なあ、ひでよしさま?どうやったら、10歳も年下の女の子と出会えるわけ?お前、本当は身よりのない女の子をどこからかさらってきたんだよな?」
「し、失礼、ですね!ねねさんが若いのはその通り、ですが、ちゃんとした木下家の娘さんなの、です」
ほんま、ひでよしくんはすごいやで。ひでよしくんの今、突き合っている彼女はちゃんとした武家の娘さんやからなあ?ひでよしくんは農家の出で、しかも、家から追い出されて、昔、わいと細々、針の行商人に身を落としていたんやで?それなのに、どこをどう間違ったら武家の娘さんとお突き合いできるんや?
「ちょ、ちょっと、彦助殿、四殿、お突き合いではあり、ません。お付き合い、です!そこは間違えないでくだ、さい!」
「えっ?さっき、お尻で試そうとしたって言ってたでやんすやん?それなのに、お突き合いしてないってどう言うこっちゃなんや?」
「そ、それは、イチャイチャしようとしたら、前は怖いと言われたので後ろのお尻で試そうとしただけ、です。まあ、ビンタされました、けど」
「ひでよしくん、よくもまあ、それでねねさんに振られなかったもんやな!わい、そっちのほうがよっぽどびっくりやで!」
「愛の力ってすごいぶひいねえ?普通なら、別れ話に発展してもおかしくない事件なんだぶひい。ひでよしさま、ねねさんには感謝しておくぶひいよ?」
「ほ、本当のところ、ねねさん、大泣きして利家殿の奥さんの松さんのところに駆け込んだんですよ。そしたら、殿方と言うものはお尻に興味深々なのです。でも、初めての夜伽がお尻なのは大概ですね。旦那の利家殿に、ひでよしさんをしめてもらうように頼んでおきますね?ってことになりました」
「なるほどなんやで。ひでよしくんが利家殿に清州城の裏へ連れていかれて殴られたのはそう言う経緯があったんやなあ」