ー旅立ちの章15- わいと慶次くんは逃れられない宿命を背負っているんやで?
「千歳ちゃん、これはどういことなんや?わい、千歳ちゃんをお見せ合い、いやいや、お見合いから救いだしに来たんやで!けど、慶次くん相手じゃ、わい、死んでしまうんやで!お見合いするにしても、わいが倒せそうな相手としてくれや!」
「な、何で僕が四さまにお見合いについてあれやこれや言われる必要があるんだっしー!大体、四さまはお団子屋さんの可愛い娘さんが好きだって言っていたんだっしー!」
「ち、ちがうんや。わい、お団子屋さんの店員さんが可愛いとは言ってもうたけど、好きとは言ってないんや!誤解なんや。わいの言葉を聞いてくれやでーーー!」
「誤解も何も、いつも、胸が大きい女性を見てる時は四さまは鼻の下をでろおおおんって伸ばしてるっしーーー!僕が気づいてないとでも思っているんだっしーーー!」
「ほんま、待ってえや。あれは千歳ちゃんと同じくらいの大きさのおっぱいを持ってますなあ。けしからんなあって見ているだけなんや。決して、そのおっぱいの持主の女性が気に入ってってわけやないんや!」
わいと千歳ちゃんの応酬は続いたんやで?わいは必死に弁明をしたんやで。だって、わい、千歳ちゃんにだけは誤解されるのは嫌なんや!わいは千歳ちゃんがこの世で一番、誰よりも好きなんや!
「あーははっ!四たん、千歳さん。夫婦喧嘩は犬も喰わないんだぜ?」
「夫婦じゃないっしー!慶次くんは事情も分からない癖に首をつっこむなっしーーー!」
うおおお。千歳ちゃん、慶次くんに向かってなんて言い草や!わい、おっとろしうて、そんなこと、慶次くんに間違っても言えへんのやで?
「やれやれなんだぜ。千歳さん、頭を冷やすんだぜ?そんなに頭に血が昇っちまったら、喧嘩にもならないんだぜ?」
さすがの慶次くんもまいったとばかりに頭を右手でぽりぽりとかいている。
「まあ、2人の事情はわかったんだぜ。というわけだから、ここからは、俺と四たんとの喧嘩の始まりなんだぜ」
「へっ?」
思わず、わいと千歳ちゃんが眼を丸くして慶次くんの顔を見ることになるんやで?
「ちょっ、ちょっと待つっしー!僕と四さまが喧嘩をしている最中なのに、なんで、ここで慶次くんが四さまと喧嘩をすることになるんだっしー?話が全然、繋がらないんだっしー!」
せやせや。千歳ちゃん、もっと慶次くんに言ってやりい!わい、怖くて、慶次くんに物申すことなんて、できないさかいな?
「あーははっ!事は単純なんだぜ。俺様は千歳さんを気に入っているんだぜ。だから、このお見合いが終わったら、正式に、千歳さんに求婚するんだぜ。と言うことは、四たんは俺様と恋敵になるって寸法なんだぜ!」
おお、わかりやすい解説、ありがとうなんやで、慶次くん。はい、わい、死んでまうわ。この戦国快男児もここでお終いや!
「だ、だめっしー!僕のために2人が戦い合うなんて耐えられないっしー!ちらちら」
「千歳ちゃん?なんか、顔が喜んでるように見えるんやけど、わいの気のせいかしら?」
「そ、そ、そんなことないんだっしー!確かに、男2人に求婚されて、その2人が僕を取り合って殴り合うのは僕のあこがれだったんだっしー。でも、べ、べ、別に本当にそんなことを望んでいたわけではないんだっしー!」
あかん。千歳ちゃん、意外と夢見る少女やったで?確か、この娘、わいのひとつ下やったよな?ってことは、今、にじゅうはちさい?
「うっさいっしー!乙女の歳をばらすのは立派な犯罪なんだっしー!慶次くん、心いくまで四さんと殴り合って、見事、僕を勝ち取ってほしいんだっしー!」
「あーははっ!千歳さんから、許可をもらったことだし、さて、四たん。あとは四たん次第なんだぜ?ここで戦わずに千歳さんを諦めるか、それとも俺様と喧嘩をして見事に死ぬかの2つに1つなんだぜ?」
くううう!これは本気で困ったんやで。まさか、今さっき、親友になった慶次くんに千歳ちゃんを寝取られる事案が発生しかけているんやで?
親友に自分の好いてる女性を寝取られるって言うのは、最近の春画では流行りになってきているんやけど、まさか、わいが春画の物語を飛び越えて、自ら体験することになるとは思ってみなかったんやで?
でも、わいは本当の本当に千歳ちゃんを好きなんや。愛しているんや。だから、例え、慶次くんが相手と言えども、わいはこの件に関してだけは一歩も退くつもりはないんやで!
「慶次くん、ほんま堪忍な?わい、千歳ちゃんに惚れているんやで?だから、慶次くんが示した選択肢は選べないんや。だから、わいは第3の選択肢【慶次くんをぼこって、千歳ちゃんと布団の中で合体や!】を選ばせてもらうんやで!」