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ー朝焼けの章25- 部下の心を掴むには、まず、名前を覚えることからやで?

 しっかし、出世してお給金が月2貫から3貫に増えたのはでかいんやで。なんたって、単純計算1.5倍やからな!って、そんな計算だれでもできるわい!ってか。すんまへんな。わい、頭が悪いさかい、いちいち宣言せんとわからんくなってしまうんやで?


(よん)さん、いったい、誰に向かってしゃべっているんだぶひい?まさか、彦助(ひこすけ)と同じく妄想界の住人になってしまったんだぶひい!?」


「いや、待ってくれやで?今のはただの独り言やんか?彦助(ひこすけ)くんのは頭の病気やで?一緒にするのはやめてほしいとこやで?」


 あかん、あかん。わい、気をつけておかんとあきまへんわ。あまりに妄想界に入り込んでまうと、彦助(ひこすけ)くんみたいに、医者の熊五郎(くまごろう)さんとこの隔離施設に入れられてまうさかいな!


 彦助(ひこすけ)くん。1週間ほど、そこにおったんやけど、これは治る見込みがないのデーーース!とただ単にに1週間を無駄遣いしてもうたからなあ?てか、あんなヤブ医者のところに監禁されたところで、彦助(ひこすけ)くんの妄想界が崩壊するわけがないんやで?


「ところで、出世するんは良いことづくめやと想っていたけど、そうやないんやなあ?わい、こないにも後輩を育てるのが大変だとは想わなかったんやで?」


「そうぶひいねえ?一兵卒の時は、精々、自分の手の届く範囲の奴らの安全だけ考えていれば良かったぶひいけど、今は立派な部下持ちだぶひい。部下全員の命が助かるように配慮しないといけなくなったぶひい」


「田中くんは、わいより先に出世していたからアレやけど、田中くんはすごい御人やで。田中くんはてきぱき、下のもんに指示を出しますさかいなあ?わいも見習わなあかんのやで」


「僕も最初の2~3か月間はあたふたしたもんだぶひい。でも、段々、慣れてくると、もっと大人数でも指揮できるかも?と欲が出てくるんだぶひい」


「ほんまでっか?わいは今、田中くんと同じ足軽10人長の地位やけど、わい、これで手いっぱいやで?慣れたらって言いますけど、わいは自信がないんやで?」


 これは、わいの本音やで?別に田中くんをよいしょするために、自分を低く見せてるわけちゃうで?


(よん)さんは出来るひとだから、すぐに慣れるんだぶひい。ところで、(よん)さんは部下の名前を全部、言えるぶひい?」


「ん?部下の名前ですかいな?印象の強いやつら3人ほどならすらすらと言えますけど、あとのやつらの名前はうろ覚えですなあ?それがどないしたんや?」


「部下というのは上司に名前を覚えてもらえているだけで嬉しいもんだぶひい。だから、何か指示するときは、おい、そこのお前とかじゃなくて、ちゃんと名前で呼んでやると良いんだぶひい」


 なーるほどやで。さすが田中くんやで?


「せやな。わいのところには二郎が3人、三郎が4人いたんやで?皆、きっちり、名前で呼んでやらなって、ちょっと待ちいな!なんで、二郎と三郎がこんなに多いんでっか!」


「ぶひひ。そりゃあ、農家の次男、三男にまともな名前をつけるほうがめずらしいんだぶひい。そこは、(よん)さんが名付けてやれば良いんだぶひい。例えば、二郎は二郎でも、こいつは長生きしそうなら、久二郎きゅうじろうとか呼んでやれば良いんだぶひい」


 なーるほどやで!さすが、津島の智将・田中太郎と呼ばれていただけはあるんやで?まあ、わいらの中だけでの話やけどな?でも、これは良いことを聞いたんやで?あのいちもつがおおきかった二郎は珍二郎。たまたまが大きかった二郎は玉二郎と、今度から呼ぶんやで?


「田中くん。ありがとうな?おかげで、部下の管理がはかどりそうなんやで?あと、他に気をつけておくことはなんでっしゃろかいな?」


「うーーーん?他にぶひいか?そうぶひいねえ?部下たちにもそれぞれ感情があるってことぶひいねえ。そこに気をつけないといけないってことぶひい」


「感情に気をつけるでやんすか?それまた、曖昧な表現でんな?」


「まあ、続きを聞いてほしいんだぶひい。いつもイケイケで強気なやつは放っておいても、訓練が嫌で逃げ出すことはないんだぶひい。でも、いつもオドオドしているような弱気なやつには気をつけておくんだぶひい。最低1日1回は声をかけておくんだぶひい。そうすることで、自分のようなニンゲンでもしっかり視ていててくれているって想ってくれるようになるぶひいよ?」


「ほうほう。そうなんでっか。わいはイケイケな性格のニンゲン相手だと、こちらもガンガン行けるから、ついつい構ってしまってばっかりになってまってるわ。せやな。ちゃんとその辺りも念頭に置いておかなならへんなあ?」


 部下を持つってことは育てるってことやで。さすが田中くんの話はためになりまんなあ?


「んじゃ、さっそく、田中くんの助言通りにさせてもらいまっせ?おおおい!珍二郎、玉二郎、ええと、あとは今度考えておくんやで!休憩時間は終わりやで!?この後は楽しい楽しい地獄の水練の時間やで!」


 5月に入ったさかい、織田家の兵士諸君には地獄の遠泳が始まったんやで?川の中を500メートル泳ぐんや。んで、夏が終わるころには1キロメートル泳げるようになってもらうんやで?

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