ー朝焼けの章 9- 彦助くんを巻き込んだのはやっぱり失敗だったんやで!
まあ、巻き込むことになってしもうた彦助くんには色々と詳しく事情を説明せんとあかんなあ。ちょっと、先にわいの住んでる長屋のほうに寄ってもらうことにするんやで?
「ちょっと待ってくれえええ!俺の尻小玉なんか抜いてもおいしくないんだからねえええ!」
ほんま、彦助くんは良い反応を示してくれるんやで?これが、田中くんとひでよしくんだったら、平然とこの長屋から退出しているところやで?
「ケケッ。四以外が来たと想ったら、四の親友だったのか。ケケッ。危うく、尻小玉をひっこぬくところだったんだケケッ!」
「おっと、すまんのやで。でも、長屋の番人をしていてくれて、ありがとうなんやで?千歳ちゃんは今、どこに行っているんかいな?」
「ケケッ。鳩のまるさまとネズミのこっしろーを連れて、八百屋に買い出しに行っているんだケケッ。今のところ、何か起こったってことはないんだケケッ。安心してほしいのだケケッ」
そうか。鳩のまるちゃんとネズミのこっしろーくんが千歳ちゃんの護衛役を買って出てくれたんかいな。ほんま、信用できないんやで!ちょっと、わい、八百屋に行ってきて良いでやんすかね?
「フシュルルルー。それよりも、この男は信用できるのか?フシュルルルー。いくら四が連れてきた男といえども、ことと場合によっては、あの世に逝ってもらわなければならなくるんだフシュルルルー」
「長寿さまくん。そこんとこは大丈夫やで?彦助くんは、わいとの長年の付き合いやからな?彦助くんは親友を裏切ることはないって、わかりきっていることやで?なあ、彦助くん」
「ああ。そこんとこは信用してくれてありがたいんだけど、なんで、蛇の声が俺に聞こえるわけなんだ?おかしくね?」
「あれれ!?なんで彦助くんには長寿さまくんの声が聞こえるんでっか!?わいのほうが不思議なんやけど!」
どういうこっちゃ?なんで彦助くんは、長寿さまのくんの声が聞こえるんや!?おかしいやろが!まあ、わいらも長寿さまくんの声がわかる理由も不明なんやけどな?
「もしかすると、彦助くんには鳩のまるちゃんとネズミのこっしろーくんの声すら聞こえるかも知れないでやんすね?」
と想っていると、長屋の戸がガラガラと開かれて、野菜を肩下げカバンに山盛りに入れた千歳ちゃんが帰ってくるんやで。はあああ。千歳ちゃんは可愛いなあ。買い物帰りの千歳ちゃんを押し倒してやりたい気分になってしまうんやで?
「ただいまっしー!今日はお野菜の特売をやっていたっしー!ネギと白菜を山盛りに買ってきたっしー!持つのが大変だったから、ネギを2本、鳩のまるちゃんの身体に縄で巻きつけておいたっしー!」
「ポッポー!鳩使いが荒いんだポッポー!いくら【姫】の頼みといえども、こんな姿、恥ずかしい限りなのだポッポー!」
鳩のまるちゃんの両脇にネギが差し込まれているんやで?ホッとしたやで。鳩のまるちゃんのお尻の穴にネギがツッコまれていた可能性が捨て切れなかったんやで?
「おいおいおい!なんで、鳩がニンゲンさまの言葉をしゃべってんだよ!俺、ついに頭がおかしくなっちまったのか!?」
あちゃあああ!やっぱり、彦助くんには鳩のまるちゃんの声も聞こえてるんかいな。こりゃ、わいの嫌な予感が当たってしまったんやで!
「彦助くん。何も視てない聞いてないで、この長屋から出て行ってくれへんかな?わい、これ以上に嫌な予感がするんやで?」
「ひどいでッチュウ。せっかく、お客様がご主人さまの長屋にやってきたというのに、何も出さずに追い出すのはダメなことだと想うのでッチュウ」
あかんて!ネズミのこっしろーくんがしゃべってもうたら、余計に、この男は混乱してもうやんけ!
「うわあああ!今度は、ネズミ如きの声が聞こえるううう!俺、熊五郎さんのところに行って、脳みその手術をしてもらってくるううう!」
「あかん!彦助くんをあの狂った医者のところに連れていったら、まじであかん!みんな、彦助くんを捕らえるんや!まじで、鳩のまるちゃんと、ネズミのこっしろーくんと、河童くんが口で言えないような実験をさせられるんやで!?」
わいらは、彦助くんを長屋から逃げ出さないようにとっ捕まえたんやで?長寿さまくんが、ふっとい大蛇に戻って、彦助くんの身体をギュウギュウに縛り付けて、さらに河童くんが彦助くんのお尻の穴に右手をつっこんで、口から泡を吹かせているんやで?
とどめに、鳩のまるちゃんが彦助くんの頭の上に乗っかって、そこでウンコをプリプリしているんやで?ほんま、この長屋は地獄絵図なんやで?
「ぼくは何をすれば良いんでッチュウ?このひとのいちもつをかじればいいんでッチュウ?」
「それは男のシンボルにばい菌が入ってしまう可能性大やから、やめておくやで?彦助くんだって、素人童貞やけど、まだまだ、可能性を捨てていないはずやからな?」