ー朝焼けの章 8- 河尻(かわじり)さまの金砕棒をありがたく頂戴するんやで?
あれ?ちょっと、今、弥助くんがおかしなことを言い出さなかったでやんすか?
「弥助くんに聞きたいことがあるんやけれど、あんたさん、デウスの教えを信じているんやな?でも、自分のいちもつを悪魔呼ばわりするのは不味いんとちゃいますの?」
「オウ。良いところに気付いたのデス。デウスの教えの中に、ニンゲンと言うモノは七つの大罪をその身に宿しているのデス。傲慢、色欲、暴食、虚飾。あと何でしたっけ?」
「うーーーんと、怠慢があっただろ?あと嫉妬だっけ?もうひとつは忘れたなあ?」
「なんか、仏の教えに似たようなもんがありまんなあ。色欲、愛欲とかやで。てか、ニンゲン、それを失くしたら、ニンゲンちゃうと想うんやけど。でも、仏の教えの最終地点は解脱やさかい、ニンゲンをやめるのが正しいのかも知れへんなあ?」
まあ、難しいことはわからへんけど、宗教ってのはなかなかに複雑なもんやで。【神の家】も新興宗教やさかい、その辺りの教えとかあるんかなあ?
「というわけで、ニンゲンというものは、その身に悪魔に等しき大罪を内包しているのデス。でも、安心してクダサイ。キリストという神と等しきお方が、弥助たちの罪を代わりに背負って死んでくれたのデス。ほら?これで、弥助のマーラ様は聖なる悪魔だとわかってもらえるはずですよ?」
聖なる悪魔じゃなくて、性なる悪魔やと想うけどな?弥助くんはついに頭がおかしくなってしもたんかなあ?いや、いつも通りやったわ。
「まあ、事情はよくわからんけれど、彦助くんのお尻を掘りたいなら、わいは止めへんで?さっさと、ズボンをずり降ろして、レッツゴー!してくれやで?」
「ちょっと待ってくれえええ!俺はお尻は処女のままでいたいんだよおおお!」
彦助くんが泣き叫んでいるんやけど、ほんまなら、お偉いひとにお尻を掘ってもらったほうが出世街道に乗れるんやけどな?
運よく?わいらは、ひでよしくんの家来になっただけやで?ひでよしくんが女しか興味がない変人やからこそ、彦助くんのお尻の処女が守られているだけやで?
「フウ。彦助さんのお尻はプリティデスネ。弥助のいちもつがギンギンとなってしまったのデス!」
おお、おお。弥助くんが彦助くんを押し倒しているんやで?わい、知ってまっせ?この後、弥助くんがどうなることくらい。
「おい。お前ら。訓練もせずに何を昼間から尻を掘ろうとしているのだ!そんなお前たちには、それがしの金砕棒で尻の穴を拡張してやるのだ!」
ほおおおら、来たんやで?鬼の河尻秀隆さまが。弥助くん、ご愁傷さまやで?
「って、わい、何もしてないでやんすか!なんで、わいの肩を掴んでますんや!河尻さま!」
「お前は、同僚の尻が掘られかけているというのに助けなかったではないか?そんな仲間を想わぬ奴からこそ、それがしの金砕棒の餌食になるべきなのだ!」
あいたあああああ!そんな太いの入らへんって!まじで堪忍や!
と、こんな感じで、わいと彦助くんと、弥助くんは仲良く3人、河尻さまから、ありがたい闘魂注入をされたわけなんやで?
「ううう。ひどい。俺、初めては可愛い美男子が良いって想ってたのに」
「それはつっこむときの話やろが。なんで、つっこまれる時に可愛い美男子とか言ってますんや。そこは荒々しく、乱暴にされるくらいがちょうど良いんやで?」
「ううう。お尻がひりひりするのデス。なんで、弥助はお尻を掘ろうとしていただけなのに、河尻さまの金砕棒をつっこまれなければならないのデスカ?理不尽デスヨ!」
なんで、弥助くんだけ、河尻さまの生身の金砕棒を喰らうことになったんやろな?わい、不思議でたまらんのやで?
「ああ、尻が痛い。こんな経験、できるならしたくなかったなあ!」
「まあまあ。これでひとつ、大人の階段を昇ったと想ったら良いんちゃいますの?彦助くん。ほな、訓練をさっさと終わらせて、【神の家】の偵察に行こうやで?」
といった感じで、わいたちは残りの訓練をこなしていくんやで?槍、弓、相撲、そして、種子島と呼ばれる鉄砲の訓練や!しっかし、鉄砲の訓練は楽しいんやけど、ほんま、耳がきーーーんとなってしまいまんなあ?
この鉄砲、一丁くらい、わいにくれへんかなあ?信長さまは。わい、なんか鉄砲の名手になれそうな気がするんやで?わいがこの鉄砲を極めたら、100メートル離れた蛍を撃ち落とせそうな気がするんやで?
さすがにそれは無理か。わい、何を考えているんやろか。100メートルも離れて飛んでる蛍の軌道なんて、読めるわけがないんやで?
「よっし。これで今日1日の訓練は終いやで!菜々くんに教えてもらった住所付近に潜入工作開始やで!」
「でも、四さん。安易にその【神の家】の尾張支部だっけ?そんな場所に近づいて良いのか?四さんがそいつらとトラブルになってるんだってのなら、あっちも警戒してんじゃねえの?」