ー朝焼けの章 7- 彦助くんの馬鹿さ加減には呆れつつ、感謝せざるをえないんやで?
でも、どないしたもんやろうな?ここで彦助くんを巻きこんだら、なんかダメなような気がするんやなあ?
「なあ、彦助くん。わいと一緒に死んでくれへんか?もちろん、死ぬのは彦助くんだけなんやけどな?」
「おい、ちょっと待ってくれ!そんなにヤバい案件に四さんは関わっているのかよ!」
まあ、ヤバいって表現が彦助くんの語彙力の無さを象徴してて、やっぱり彦助くんやなあ?って失礼ながら想ってしまうんやで?
「ちょっと、大きな声では言えまへんけど、その【神の家】の構成員、並びに、その棟梁の教祖様くんには、この世から消えてほしいと、わいは想っているだけやで?」
「ま、マジかよ。うーーーん。俺、戦絡みでヒトを殺すのはすっかり慣れたけど、日常での殺人は、さすがに無理だぞ?」
ほんま、彦助くんは甘い御仁やで。何が日常や。わいはすでに1週間前辺りから、その日常を奪われてしまったんやけどな?
「まあ、彦助くんが日常を手放す気がないんなら、彦助くんに頼むことは何もあらへんで?でも、わいのことを親友と想ってくれてるなら、彦助くんも同じ地獄に堕ちてもらうんやで?」
ここまで脅しておけば、いくら馬鹿の彦助くんでも、わいと【神の家】との争いに関わるのは諦めてくれるやろ。わい、ほんま、親友想いやで?
「うーーーん。そっか。わかった。よっし、俺、四さんのことを手伝うわ」
「はああああああん!?彦助くんは馬鹿か何かなのかいな!?」
「うん。さすが、彦助ね。もし、彦助が四さんを手伝わないって言い出してたら、彦助の顔面に一発良いのを入れる予定だったのに、残念だわ?」
「あたしも椿と同意見だよー。さすが彦助くんだよー。というわけで、四さんには、彦助を貸し出すねー?」
こいつら、3人揃って、馬鹿も馬鹿なんやで?彦助くん自身はわかるんやけど、なんで、椿くんと菜々くんは、彦助くんに火中の栗を拾わせに行かせるんや!?
「ほ、ほんまに良いんでっか?彦助くんを2人からお借りして良いんかいな?」
「別に良いわよ?彦助は回復力だけはすごいしね?」
「うん、そうだねー。あの回復力には、あたしもさすがにドン引きだったよー?」
「う、うるせえええ!俺だって、まだまだ若いんだから、しょうがねえだろうが!その話は、やめ、やめ、やめええええええ!」
あ、あれ?彦助くん、いったい、どうしたんやろうな?この3人、何かあったんかいな?
「そ、それより、四さん。俺はいったい、何をしたら良いんだ?48の寝技と52の得意技を持っているような四さんの役に立つとは想えないけどさ?」
「ほんまにええんでっか?でも、まじで今回のわいの件は生死にかかわることになる可能性が高いんやで?」
「いったい、俺たち5人は何年の付き合いになったと想ってんだよ。親友が死ぬか生きるかの瀬戸際なんだし、俺が何か手伝うのは当然だろ?」
わい、今まで、彦助くんのことを誤解していたんやで?こんなに、彦助くんが男らしいと想ったのは、もしかしたら、初めてのことかも知れへんのやで?
「オウ。男同士の愛情とは、かくも美しいものなのデス。弥助も何か手伝えることがあったら、いつでも言ってクダサイネ?」
「弥助くん、ありがとうな?でも、弥助くん。肌が真っ黒で身長もでかいから、目立ってしょうがありまへんからなあ?弥助くんの心意気だけはもらっておくんやで?」
「そうデスカ。ああ、弥助は何もできない自分が悔しいのデス!」
まあ、わいとしては教祖様くんたちを暗殺したいと想っているさかい、目立ってしょうがない弥助くんに手伝ってもらうわけにはいかへんからなあ?すんまへんなあ?
「弥助くん。他のことで、もし、手伝ってもらう事態に陥った時には、頼らせてもらうんやで?」
「ハイ。わかったのデス。四さん、彦助さん。くれぐれも無理をしないようにしてほしいのデス」
弥助くんがまるで、わいの恋女房のような表情を作っているんやで?すまへんな?わいは男同士の恋愛を禁じられている身なんやで?代わりに彦助くんのお尻を掘ってくれてええんやで?
「ちょっと、待ってえええ!?俺、男にはまったくもって興味がないからな!?」
「なんや、彦助くん。一回くらい、男に尻を掘られてみたらええのにな?男という生き物は女性に比べて、2倍お得なんやで?入れることも出来るし、入れられることも出来るさかいなあ?」
「その理論は絶対におかしいだろ!って、弥助!なんで、俺の後ろに回ってやがんだよ!」
「オウ。景気づけにお尻に活を入れようかと想ったのデスヨ。活と勝つをかけてみたのデス。どうデス?戦勝祈願に弥助のマーラ様を受け入れてみまセンカ?」