ー朝焼けの章 4- わいって、意外とやけど、ハーレムには興味がないんやで?
「しっかし、四さんは千歳ちゃん一筋だよなあ。俺、ハーレムを形成したいから、ひとりの女性にかまけてる暇なんてないぜ!」
ほんま、彦助くんは死んでしまったらええのにな?
「彦助殿?ハーレムを形成する前に、彼女をひとりくらい作ったほうが良い、ですよ?」
「せやな。彼女が産まれてこの方、一度も出来てない奴が、ハーレム形成なんて、おかしな話すぎるんやで?彦助くんは、馬鹿か何かちゃうんかいな?」
「うっせえええ!俺だって、彼女がほしいんだよ!この中で、唯一、彼女が居ないのは、俺と弥助だけじゃねえかあああ!」
「唯一の使い方が間違っているんだぶひい。それに、弥助は彼女が出来ないんじゃなくて、特殊性癖のせいで逃げられるだけだぶひい。彦助とはまったくもって違うんだぶひい」
いいで?いいで?田中くん、もっと彦助くんを追い詰めてやるんやで?ひひひ!
「オウ。デウスは言われたのデス。男は私のお尻を掘れるが、女は私のお尻を掘れないとデス!」
また出たやで?弥助くんの謎デウスの教えが。いい加減、こいつ、デウスの裁きの雷でも頭から喰らうんちゃいますの?
「おい、お前たち!何をくっちゃべっているのだ!真面目に訓練をしないか!」
あっ。河尻秀隆さまが、怒っているんやで?これは、金砕棒でケツ罰刀のお時間なんやで?
わいら5人は仲良く河尻さまから、ありがたいケツ罰刀をいただくんやで?
「あいたたた。ケツ罰刀は良いんだけどさ?なんで、金砕棒でやってくれるわけ?俺のプリティなお尻がふたつに割れちまうんだけどさ?」
「彦助殿はへらず口が多い、ですね?さて、槍の訓練も終わりましたし、次は弓矢の訓練、ですね」
「しんどいんだぶひい。最近、休みらしい休みをもらえなくて、疲れが溜まっているんだぶひい。このあと、椿たちにしごかれると想ったら、気が滅入るんだぶひい」
「どうせしごかれるなら、手でしごいてほしいところやけどな?」
「ん?四さん?今、何か言ったかしら?千歳にちくっておくわよ?」
「ひいいい!それは勘弁やで!そないなこと密告されたら、わい、千歳ちゃんに捨てられてしまうんや!椿くん、後生や!千歳ちゃんには内緒やで!」
「まったく、四さんはお馬鹿さんだねー?千歳には言わないでおくから、さっさと弓矢を持って来てねー?」
菜々さんがわいらに弓矢を持ってこいと促すんやで?ちなみに弓矢の訓練では、熱田神宮の巫女をやっている女性陣が手ほどきしてくれるんやで?千歳ちゃんも熱田神宮で働いているんやけど、千歳ちゃんは主に買い出しの仕事をしているんやで?
それでな?千歳ちゃんのお友達の椿くん、菜々くん、そして田中くんの嫁さんの風花くんたちがわいらに弓矢の指導をしてくれているわけやで?
「うふふ?田中さん。なんだか、元気がありませんわ?あまり、訓練には乗り気ではないのですか?」
「風花さん。聞いてくれなんだぶひい。せっかく、信長さまが尾張全土を統一したというのに、お休みを僕たち兵士たちにくれないんだぶひい。僕としては、もらったお休みを使って、風花さんと逢瀬を重ねたい気分なんだぶひい」
「それは良い考えなのですわ?でも、何故、信長さまはお休みをくれないんですわね?尾張からは信長さまの敵は居なくなったというのに、不思議なのですわ?」
まあ、わいもその辺り、不思議に想っているんけどな?どうせなら、どんちゃん騒ぎで1週間ほど、飲めや歌えやの宴を開いても良いところなんやけどな?
「まあ、尾張を統一したからと言って、不穏分子を全て、排除できたわけではないの、でしょう。信長さまは反乱が起きるのを予測して、私たち兵士にお休みをくれないんじゃないの、では?」
「そんなところなんかなあ?まあ、尾張上四郡を手にいれたってことは、そこにも代官や兵士を配置せなならんもんなあ?わいら、ひょっとして、他の地にバラバラに配属されてしまうんかなあ?」
「それは嫌ぶひいねえ。みんなと知り合ってからもう5年近く経っているぶひい。今更、ばらばらにされたら、僕は寂しい気分になってしまうんだぶひい」
「田中の言う通りね。出来るなら、もう少しだけで良いから、一緒の時間を過ごしたいものね?」
信長さまの領地が増えるのは喜ばしいことやけど、それで、仲良しこよしのわいらがバラバラになるのはいたたまれない気持ちになるんやで?
「何か、みんながバラバラにならないいい方法はないんかいなあ?」
「それなら、私にひとつ、良い案があり、ます」
「おっ?ひでよしくん。良い案ってなんや?聞かせてもらおうかいな?」
「田中殿、彦助殿、それに四殿、ついでに弥助殿。正式に私の配下になりま、せんか?」
ひでよしくんの配下やて?そりゃいったいぜんたい、どういうこっちゃやで?