第7話 パーティを組みたい
楓さんにたぶらかされる主人公。
さて、俺はすぐに違和感に気づいた。楓さんはゲームをプレイしていない。しかし、頭上の名前はSINSINとなっている。だから本当にプレイしていないか念を押した。すると。
「神に誓って言います。していません。そんなに私は怪しいですか?」
そんな悲しそうな表情をする楓さんを信用できないなんて言えるわけがない。
その後。このゲームについて教えてほしいと言われた以上、スライム広場の安全地帯で、俺は楓さんにこのゲームシステムを大雑把に教えた。
「スライムを五体倒せば、レベルが上がるのですね?」
「はい。今はまだパーティーが作れないから、楓さん一人の力で倒して貰うことになります」
正確には確認が取れていない、だが。パーティーはレベル5以上にならないといけない。
「楓さん、なんて。それに敬語も。私の方が年上かもしれませんが。とにかく。私のことは楓と呼び捨てで、敬語じゃなくても良いですよ」
「ですが」
「私の敬語はただの癖みたいなものです」
「分かった」
そう言われたため、俺は敬語を止める。
「では、頑張ってきます」
楓は綺麗な笑顔を作って、スライムに向かっていった。
無事スライムを五体倒した楓は、俺のところまで戻ってくると。
「やりました! 私、頑張りましたよ!」
と嬉しそうにした。思わず俺も嬉しくなってしまう。
そうやって嬉しそうにしていると、ふいに楓が真面目な表情になる。
「では、改めてお願いがあります。私と形だけで良いです。パーティを組んでくれませんか?」
ああ、やっぱりそうなるか。