第19話 回避
面倒くさい女、楓。
リトルドラゴンは色彩の森の中でも、一か所にしか現れない珍しいモンスターだ。
適正レベルは4。魔法、ファイアボールを使う。落とすアイテムは小さな翼と、真っ赤な瞳。どちらもメイジ向けの装備を作るうえで必要となってくる素材だ。最大出現数は三体。
見た目は、グラフィックでは小さなドラゴンで可愛さという点で、スライムに次いで人気があった。
この世界のリトルドラゴンの見た目も同様に可愛らしいものだった。
「キャーッ! 可愛い!」
楓の喜ぶ姿。
「じゃあ、倒しましょう」
優香の言葉に楓が首を横に振る。
「あんな可愛いモンスターを倒すなんて、私は反対です。他のモンスターを倒しましょう」
なんて提案をする。
ふむ。やはり楓とパーティを組んだのは失敗だったと強く思う。
「なら、私一人で倒してくるよ」
優香は、ここ数十分で楓の性格を理解したみたいで、そう言ってリトルドラゴンへと攻撃を開始した。
俺も同様に攻撃を開始する。
俺がリトルドラゴンへ剣を二度振るごろには、優香の矢が三度あたり、リトルドラゴンは倒れる。
一体一体を相手にすればリトルドラゴンは弱い。ただ、三体を同時に相手にしないといけないリトルドラゴンは少し厄介である。
ふいに、一体のリトルドラゴンが魔法の詠唱を始めた。
「まずい。よけて!」
優香の叫び声。
「くそっ!」
リトルドラゴンのファイアボールによるダメージは相当なものだ。適正レベルが足りていないナイトならばなおさら。
だからこそ、無意識に俺は回避という選択をした。
それができる保障はなかった。
火の玉が俺の顔の横をかすめる。ダメージはない。
俺は初めて回避をした。




