第12話 宿といったら
ちょっとエッチなハプニングを入れようと思ったら、しょうもないものになってしまった。
宿は転職の建物の隣にある。
ゲームではレベルが5になるまでは無料で使える、心優しい設定だった。この世界もそうか心配だったが、問題はなかった。
初めて見たNPCであろう宿の主人は、ゲームのように同じ会話しかしないわけではなかった。しっかりと意思疎通が図れた。そこが何より驚いた。
そして、腹が減り、食事という概念が新しく生まれていることにも驚いた。主人が運んできた夕飯、パンとスープの質素なものを、半信半疑に食べた。非常に美味しかった。
おして、腹が減るということは、風呂にも入れるのではないか、という考えに至った。
「どうやって装備を外すのでしょうか?」
楓がステータスの装備画面をずっと直視している。
俺もステータス画面の装備を外してみるが、装備の下の服まで脱げることはない。
「分かりましたか?」
「いや、分からない。服が濡れるかどうか試すのもかねて、服のまま風呂に入ったら」
「それはないです」
「ですよね」
即答だった。確かに、我ながら変な発言だった。
「あれ?」
楓が俺の方に装備画面を見せてきた。
「ここにバーがありませんか?」
そういって、楓がそのバーを押すと、服の画面が出てきた。
「これです! これで装備が外せますね」
そういって、楓は服を外すボタンに指を向けて。
「ちょっと待て! それは風呂の中で」
「え?」
楓の指がコンマ数秒早かったのか、楓の服が脱げた。
良かったと喜べば良いのか、残念だったと悲しむべきか。
下着までは脱げなかった。
プルプルと震える楓。ああ、ちょっと可愛い。
ビンタが飛んできた。




