キシローの思想:1
キシローの思想
最初の本の売れ行きはそんなにはなかったと思うが、それでも主にフェミニストやサブカル好きなネット民によって読まれた。
まず、その本には「みにこみゅ」という彼の属するNPOについて書いてあり、彼がこの本を書いたのも、「みにこみゅ」の宣伝になれば、とのことだった。
「会社の宣伝はいいんですか?」
との出版時の記者の質問にも
「会社にいる人って僕以外はほぼネィティブ(もともとの男性、あるいは女性)でかつノンケ(異性愛者)なんで、セクマイですってわざわざ仕事で言うのも?だいたい、会社は会社で新規ユーザー向けにネット広告とか出してるから、本でやる意味がない。
でもNPOの活動は、本にした方がいいってかねてから代表とも話してたんです。だって、本にすれば、普段「障がい者」「性的少数者」で検索しない層も僕をきっかけに興味を持ってもらえる」
とのことだ。
ではここからは早速その本を引用して彼の思想に触れてみよう。
『やっほー!みんな、ジーパンはいてる?
うん、日曜日しか履かないとか、あんまズボン好きじゃない人もいるよね。
じゃ、i phoneもってる?
携帯でネットやる意味がわからないって人もいるよね。僕はネットジャンキーだからそんな生活全然想像できないんだけど。
じゃ、モンドラ知ってる?
あ、やっぱり!ってあれは僕が開発したんじゃないよ(笑)僕が開発したのは・・・って仕事モードに入っちゃったけど、多分みんなが知りたいのは、実業家としてのどこのなにがしじゃなく、公共放送の番組に出たFTMのキシローのことだよね。
なにがいいたいかというと、ジーパンを履く人、履かない人、i phoneもってる人、いない人、モンドラ知ってる人、いない人。
あたり前だけど、世の中には色んな人がいて。
で、僕の属しているみにこみゅでは、その「色んな人」の、「少数者」って言われてるいろんな人を基本的には受け入れてます。
あ、でも理解があればぜんぜん「多数者」でもどんどん来てOKだよ。大歓迎。
だってね、色んな人がいるって、そういうことだよね?
で、どんな団体で、何をしているか?最近は「僕に会いたいから」なんてHPにアクセスしてくれる人もいて嬉しい限りだけど、とにかくまずはそこから、触れてみたいと思います。
僕の属してる「みにこみゅ」はねぇ、性的少数者や、障がい者、っていうとなんだけど発達障害とかうつ病とかあと色んな身体障害とかの人たちの集まる場所です。
普通はね、性的少数者は性的少数者で、障がい者は障がいの種類によって、それぞれ別に集まって色んな自助グループをやってることが多いんだけど。
「例えば、耳が聴こえない性的少数者とか、そういう『ダブルマィノリティ』の問題にこれからどう向き合っていくか」とか、それでなくても少数なんだから、やっぱり困ってる人同士手を取り合っていきましょう、ってのがこの団体の根本、』
(『イッキ!キシロー』より)
といった感じで、(彼自身が立ちあげたわけではないが)少数者同士の連携をうたったNPOに属している。