表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/54

そして時代は彼女を選んだ:5

 炎上の定義はさておき、彼が話題に乗り続け、愛されていたことは確かだ。

 だからすこし前まで我々は彼の本名も知らなかった。それは(我々を飽きさせえしなければ)どうでもいい話だったのだ。

 ぜ「かった」のかは皆さんもご存じの通りで、「その事件」についてはおいおい触れていくこととして、ここでは皆さんご存じ「キシロー」で通そうと思う。

 ともかく、それは日本で主だったIT系企業家が男性だという事実を内心腹立だしく思っていた一部のフェミニスト、特にいわゆる「ジェンダーフリー」を唱えている論者に拍手をもって受け入れられた。

 最も彼は「女性」として扱わられることを望んではいない。

 だがそれは彼がフェミニストではないということではなく、

「男として扱ってくれるのであれば、フェミニストになってもいいですよ?」

 とのことだし、また彼が実際には彼女であること、時には「可愛い」としてむしろ好意を持って受けいられることであろうところがあるということは最初にメディアに出たきっかけもまたきっかけであるし、隠し通せることではなかった。

 一例をあげよう。

 同じく動画サイトで見つけた、あるテレビでのことだ。

 男性タレントが、キシロ―に向かって口説くような発言をした。

「いやぁ、ほんまようみるとキシロ―ちゃん可愛いや、男が好きなんやろ?俺どう思う?」

「え、○○さん奥さんいるじゃないっすか。悪いですよ、でもそうですねぇ、こないだ見た若いころの写真はちょっとドキっとしました、無いち○こが立ちました(笑)」

 嫌そうな顔せず軽く(不快感を感じさせないように)断り、自らで笑いを取りに行き、相手を立てる。

 それはあきらかに我々女性のものだ。

 とかく、それは彼の社会性がそうさせるのだろうか、テレビに出ては「やはり女性らしい」と言われてしまうような言動をたまにやり、面白半分で美少年と組んでは「可愛い」といわれ、皆やはり「それでも、いつか女に戻る」というおとぎ話を皆で信じていたのか、それともただの「ボーイッシュな可愛い女の子」枠なのか、なんなのか、MTFはともかくFTMの芸能人は(彼は芸能人ではないが)今まであまり聞いたことがない。

 物珍しさなのか彼のキャラクターとしてなのかは今となってはわからない。

 ただそのことが、彼がFTMであることこそが、やはり一部のフェミニズム論者によって好意的に扱われ(もっとも、そのことで彼を叩く論者もいたが)ると同時に、彼の最初に出した本もまた、時代に合って、いや最初に書いたように「権力者側」に寄っていく時代の空気に逆らっていた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ