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キシローとメディア:3

 反権力の我が社の新聞がそのころ何をやったかなど、ここ数年の読者ならご存知の通りで、また彼の代わりを探しているのかという質問をこの本の取材でもいくつか受けた。

 この質問の答えを私はまだ知らない。そのころ我が社の新聞はこんな様だった。


 障がい者福祉サービスの施設から、障がいのある子供にプログラムを学ばせたらどうだという話が出ている。

 実際障がい特性によっては健常者より集中力のある障がい者もおり、小さな手仕事をするより一般求人に近いという。

 読者の中には、障がい者年金があるのに、『なぜ』彼らは働きたいのか、と思うかもしれない。

 しかし、働いて手に入れた金で買ったものと、それ以外の物は重みが違いはしないだろうか?

 両手を上げ届かない声を上げるより、自分の手でつかみ取ることを彼らは選んだのだろうか。

 まだ一部の福祉利用者からの意見だと、慎重になる声もある。

 また『あるものは経済的に自立できているのだから』と、そればかり賛美するのには待ったの声もあるだろう。

 福祉を受けるのも選ぶのも、経済的に独立するのも、『自ら選んで』いるならいい。

「今はなんか、『福祉選ぶよね?』的な押し付けを感じる人もいるみたいです。ちゃんと選ばせて下さい!」

 そう語るのはNPOみにこみゅ所属のキシロ―さんだ。

「もちろん経済的に自立することが彼らの自立じゃないです。でも精神的に自立するにはやっぱり経済的な自立も必要だったりしないですか?

 もらったお金だけで選んだ自由は自由ですか?

 『それでなんとか』は個人の権利を縛ってないですか?

 僕はそれに、不公平さを感じるとある当事者から聞きました」

 障がい者を経済的に自立したいものはさせるにあたっては今の福祉には限界があり、もしかしたら障がい者年金を上げるよりお金がかかるかもしれない。

 しかしもし彼らが働ければ、あるものは健常者より多くの成果をあげ、経済も上向くかもしれない。

 実際障がい者であろうがなかろうが、有能な人材として雇われている話も聞く。

 やってみないとわからないが、やる価値はあるのではないだろうか。

(◯日新聞より)


 

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