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お馴染みのキシロー:1

 お馴染みのキシロ―



 キシロ―の思想は、一絡げでは言えないがそれでもあえてまとめるとすれば「少数者どうしが手を取り合う」というどちらかといえばむしろ素朴なものだ。

 それはけして多数派はそれをただ見ていればいいというものではなく、

「どんどん出来ることからやっちゃってください!僕も例えばなんか障がいを持ってるわけではないのでそういう意味では多数派だし、やっぱお互いの歩み寄りって時に、こっちばっかってのはキツイです」

 と言っている。

 それは我々に努力を求めたが、緩やかに受け入られたようにも見えた。

 彼らの声は小さかったので聞き取れないこともあっただろう、しかしその声にゆっくりゆっくり耳を傾けるとどうだろう。 

 そんな素朴な主張だけなら、成程聞きやすかった?

 聞いてもいいというなら、それは彼らの望む対等な扱いかだけ考えて欲しいとのことだが。

 彼の主張がもっと過激な、一揆のイメージから想定するように、少数者がスマホを持って富を奪い返せ!という主張ならどうだったろう?

 しかしながら実はこれは彼自身の主張ではない。

 彼は成程『みんなスマホで色々作って貧困から抜け出そう』とは言ったが、『富を奪い返そう』とは言っていない、はずだ。

 いつの間にか、誰かが彼のイメージとして『それ』を使った。

 彼も明言は避けたが、それにこたえるようなことをした。

 私も懸命に探したが、これといったものがない。

 そしてそれをも、皆が賛成も反対もありながらともかく受け止めたのがキシロ―現象のなんたるかゆえんだ。

 そもそも、どんな思想も全面賛成で受け入られるものでもないから。

 ところで、彼はテレビ、新聞等メディアに最初こそ若干奇異の目で見られたがメディアの露出が増えるにつれそうでもなくなっていったようだ。

 動画サイトでも、初期のキシロ―はテレビ番組で女扱いをされていたが、だんだん皆あまりにキシロ―が『男大好きなエロ親父』なのと、そもそも女らしい色気がない(と男性タレントがよく言っていたのを耳にした)のとであまり女扱いされなくなり、最終的に男扱いされるようになっていった。

 日付順に動画を見ていて気付いた。

 

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