キシロ―の誕生:2
しかし、ある時転機が訪れる。
ある日インターネットであちこち回ってみたら、たまたま携帯電話向けアプリ開発ソフトを目にした。
なんとなくダウンロードして、やってみた。
動物たちが力を出し合って謎を解くアクションパズルゲーム、「あにまる☆えっぐ」の誕生である。
「最初は、インターネットで無料配布しちゃおかな?とも思ったんです。でもある時同人ゲームから有名になった人が動画で『無料で配ってるのだって金とれんのあるよ』みたいなこと言ってて、思い切って有料にしました。最初はダウンロードしてくれる人もいなかったんですけど、PC版を作って同人誌即売会で売ることを思いついて」
SNSやインターネットで宣伝をして、早速即売会へ。
「全然売れなかった(笑)。ネットの知り合いがちょっと手に取ってくれただけ、なんでー、面白いのにー(笑)」
そこで動画サイトを活用することを思いつく
「幸い『あにまる☆えっぐ』は昔ながらのゲーム、スコアアタックぐらいしかやることがない。開発者の僕ならカンストだって簡単、『こんなプレイもできる』とかだって知ってる」
早速アップロードする
「顔は出さずにやったんですよ、なんか、まだネットに顔出すの恥ずかしいとか思ってたのかな?」
再生回数は伸び悩んだ、そこでゲームカテゴリから話題のゲームをどんどん取り入れ、プレイ動画をアップロードし、検索してくれる人が多くなるようにする、
「僕アクションとかは苦手だったはずなんですけど、開発者の視点を持ったらできた」
人気のゲームは競争率も多い、タイムラインに張り付き、皆の話題に乗り遅れないように、ネットジャンキーだったので苦ではなかったが
「宣伝と相互っていうの?見ましたー、見て下さいー、営業の勉強ってちゃんとしたことないんですけど、おかげで度胸がついた」
だが、流行に乗っているだけでは作り出すことができない。
「ちょっとずつ僕の動画の再生回数は増えたけど、『あにまる☆えっぐ』のはぜんぜん。どうしよう?とか思った」
そこで元が簡単なドット絵である『あにまる☆えっぐ』のキャラクターをLINEのスタンプにして売ることにした、他にも、同キャラを文字をアルファベットや記号等を組み合わせる絵文字、AAというものにして自らSNSで使うことにした。
「流行らないなら、流行ってるように見えるようにしちゃえ!って。
あ、言っとくけど自作自演とか複アカとかはやってないですよ」
また、『あにまる☆えっぐ』だけでなく別なゲームも開発する、『ロボットピポ太』ロボットの街で生活するゲームだ。
「その当時そういうのが流行ってたんですよ、動画からリンク張ってアイキャッチとデモだけ公開したんですけど、みんな、『パクリ?』って目も止めてくれなかった。あ~、このままじゃ流行りに乗ったパクリだけの人になるかと思った」
それでもまだ身分はアルバイト、そんな生活が続く。