キシローの思想:5
彼女は彼であったころ
「当事者にしかわからないこともあるし」
と言ったこととは矛盾している気もする。まぁ、
「当事者以外もどうぞ参加して下さい!」
とは言っていたが。
ともかく、「時代の不寛容さ」
本来それであればキシロ―のような存在など一番出てこないはずだ、そうではなかった、ということは皆不寛容さに苛立っていた、ということか?
であれば何故「それ」は広がったか?
また彼がテレビに出ては、繰り返し訴えた「にも関わらず」何故彼は「それ」によって今は社会的な死に追いやられてしまったのか?
それとも彼は「嘲笑」によって迎えられたのか?
寛容さなど何の役にたつのかというような嘲笑によって?
だとすれば、我々の世界は、いつの間にそんなに「不寛容」になってしまったのか?
これらは私の手に負える問題ではないかもしれない、しかし、彼の事をこうやって書いていくことで、いくらかはヒントを与えることが出来れば、と力及ばずながら思う。
ここで、様々な角度からキシローを知るために、私はもっとキシローに近しい人を皆さんに紹介したいと思う。
キシローが知人だという自閉症の女性である、本名や顔を明かさないという約束で、みにこみゅと連絡をとってアポイントした。可愛らしい女性である。
筆者 「はじめまして」
知人女性「はじめましてー、あの、なんですか?」
筆者 「キシロ―さんの友人だということで、お話をお伺いに来ました。
○日新聞の記者です(名刺を渡す)」
知人女性「すみません、もうその話はあんまりしたくないんです。あんなに色々書かれて、疲れました。記事にもなんないと思います」
筆者 「週刊誌やネットの記事のことですか、それは・・・」
知人女性「(怒鳴って)週刊○日さんだってそうじゃないですか!」
筆者 「あ、ええっと」
知人女性「あ、すいません。(泣きだす)
えぇっと、でもキシロ―は私にとって本当に大好きな友達なんです。
週刊誌やネットに書かれてることなんか、ないのに・・・」
筆者 「そうですよね、キシロ―さんはFTMゲイですし。
ところで、なんとお呼びすればいいでしょうか?」
知人女性「え?え~っと、じゃあ、モモで」
筆者 「報道の節は、ほんとうにモモさんになんといえばよろしいか・・・。
キシロ―さんが有名になる以前から親しいのですか?」
モモ 「はい、もともと『みにこみゅ』に私が大学入ってすぐ入ったんですけど、そこで出会いました。二か月先輩ですね」
筆者 「あれは友情を越えている、という指摘があります」
モモ 「でもほんとう、私達は普通の友達なんです。
キシロ―はテレビではあんなにおちゃらけてますけど、プライベートでは真面目で、プログラムの勉強だってちゃんとしてるんですよ?」
筆者 「政治的な発言も目立ちますが」
モモ 「それは、みんなが求めるからだと思います。
だってキシロ―、本当は優しいし、愛情深いし、面倒見だっていいのに、あんな、反権力のヒーローみたいな扱い・・・キシロ―ったら調子にのって『IKKIを起こそう!』なんて・・・」
筆者 「その件について、近しいモモさんからお聞きしたいのですが、見ていてどうでした?」
モモ 「キシロ―がかわいそうで。
だってどんどんいつものキシロ―から離れていく、キシロ―の仕事がうまくいったのはいい、でもキシロ―、みんなでわいわいやるのが好きなのに、なんか今度はどんどん、寂しそうになってく・・・」
筆者 「そうだったんですか、貴重な話、どうもありがとうございました」
モモ 「記者さん、私でキシロ―に役にたてることがあったら言ってくださいね」
筆者 「わかりました」
どうもモモさんによると、おちゃらけた「キシロ―」はテレビで作られた虚像らしい。
ところで、彼は最初から「テレビの人」だったか?
これもそうではないらしい。
彼のブログと前書で、あるいはテレビのコメントでも、それは如実に表れている。
ではここから、公共放送に出る前のキシロ―について少し触れたい。