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最弱の英雄  作者: 皐月 遊
第一章 異世界召喚
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一章 10話 「初めての嘘」

「うわぁ! なんか浮いてるぞ! アイリス何かしたのか⁉︎」


「えぇ、風魔法で足の下に風を起こして上に飛び上がったのよ」


ならせめて事前に一言くれればよかったのに、というのは口にはしなかった


「なるほど、さすが魔法は万能だな」


「まぁ使えたら便利ね、あ、もう屋根に足がつくわ、足がついたらもう一回飛ぶわよ」


どうやら風魔法でずっと飛び続ける事は出来ないらしい、足の下に風を起こす事によって超ジャンプを繰り返しながら屋根から屋根へと移動していた


「お、さすがにもう追ってくる奴はいないか」


「そうね、もう目的の場所につくわよ」


ようやくか、と思い前を見ると、そこにはすごく巨大な湖があった


「おぉ…ここが目的の場所か?」


「えぇ、私のお気に入りの場所なの、あまり人も来ないしね」


アイリスはそのまま地面に腰を下ろし、自分の向かいの地面を指差した、そこに座れということだろうか、その通りにライトはアイリスの前に腰を下ろした


「さて…これからどうしましょう…」


「…なぁ、幾つか質問してもいいか?」


さっきは追ってくる奴らがいたので聞けなかった女王決めの事を質問することにした、ライトの問いにアイリスは首を傾げた後、首を縦に振り「えぇ」と言った


「じゃあまずは……女王決めの事について教えてほしい」


「えぇいいわよ、何が知りたいの?」


「女王候補って事は、アイリスの他にも何人か候補がいるんだろ?」


「そうよ、私を合わせて3人の候補がいるわ

”炎の魔女”ファリアと”雷の魔女”セレナと”氷の魔女”アイリス」


「”炎の魔女”ファリアと”雷の魔女”セレナか…」


「女王決めはこの3人の魔女から選ぶのよ」


「俺の思い込みなんだけど、魔女ってなんか悪い奴のイメージがあるんだけど…」


魔女に関してライトは本やアニメなどの知識しかない、本やアニメではよく”魔女”が出てくるが、それはほとんど敵である事が多いのだ


「まぁ確かに罪を犯した悪い魔女もいるわよ、でも魔女全員が悪い人ではないの、罪を犯した魔女の事を人々は”黒魔女”と呼んでいるわ」


「黒魔女…か」


「でもこんなのは常識なのよ?女王決めも黒魔女も知らないで、しかも魔法も初めて見た反応だったし…」


ーーヤバイ、とそう思った、この世界では女王決めも魔女も黒魔女も、魔法でさえも全て”常識”なのだ、それを知らないというライトに対し目の前の銀髪の少女は疑いを抱いている。


何か…何かないか、都合良く”常識の事を知らない”という事に出来る言い訳はないか。


そんな事をしないで素直に「自分は異世界から来た、だからこの世界の事は分からない」と言ってもいいが、もし自分がアイリスの立場だったらどう思うだろう、自分の世界の常識を知らない人間が急に「自分はこの世界の人間じゃない」と言いだしたら、きっと信じないだろう。軽蔑までするかも知れない。


このアイリスとの関係を壊したくない、軽蔑されたくないとライトはアイリスに信じてもらえる言い訳を考えていた


「あの…ライト? どうかした?」


考える事に夢中で無言になっていたらしいライトは慌てて


「あぁゴメンゴメン!ボーッとしてた。」


「もうしっかりしてよね、何か変な事聞いちゃったかと思ったじゃない」


「ゴメンって、話の途中だったのにボーッとしてて悪かったよ」


「もういいわよ、それで…さっきの事だけど…」


運良く話題転換出来るかと思ったがそんなに上手くはいかなかった、アイリスはどうしてもライトがなぜこの世界の常識を知らないのかを聞き出したいらしい。

ライト頭をフル回転させて言い訳を考えていた


「やっぱり魔女や魔法を知らないっていうのはおかしいのよ、私の記憶だとこれまで生きてきてそんな人は1人もいなかったし…」


アイリスはもう完全にライトの事を疑ってしまっている、早く言い訳を考えないと、そう思っているとさっきアイリスが言った言葉が引っかかった、そしてさっきアイリスが言った言葉を思い出してみると…


あぁ…あるではないか、ライトの世界でも、この異世界でも”確実”に通用する言い訳が


アイリスには嘘をつく事になってしまうが、この手段しか思いつかなかった


「アイリス」


ーーアイリス


「ん? 何?」


「実は俺…」


ーー嘘ついてごめんな


「…記憶が…無いんだ」


その場には暫くの間無言の時間が続いた。

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