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17話・聖女を殺した?

「我が勇者と戦う運命にあるのは仕方ないとしても、関係のない魔族のモノや人間たちを殺めることはしたくないのだ。それなのに気がつけば多くの死体にまみれ、最後は勇者に命を絶たれる運命にある」

 

一瞬、彼が屍のなかで独り立ち尽くす姿が見えた様な気がして、志織は腕をさすった。


(やはり彼も望んでないのだ)


「我は生まれ変わる度に何度も勇者に討たれる。それが何かの罰のように思えて辛くなるのだ。これはどこまで続くのかと‥」


「あなたさまは過去一度だけその、勇者さまから命を絶たれる運命から逃れたことがありました」


 聞き役に徹していたイエセが口を挟んできた。志織の腰に回した腕はそのままに。


「そうなのか?」


「はい。神殿に納めてある書物にはそのように書かれてますから」


「覚えておらぬ‥」


「それはそうでしょう。あなたさまは当時の聖女さまを弑されたのですから」


「…!」


「イエセ。そんな…!」


 イエセの衝撃発言に頭を抱え込んだマーカサイトを心配して、彼の前に身を乗りだそうとした志織の肩をイエセが押し留める。マーカサイトは慎重に聞いて来た。


「それはまことの話か? だとしたらなぜ我は聖女を?」


 イエセに訊ねる魔王の態度から記憶に無いことが知れた。嘘をついてる様子もみられない。


「理由までは分かりません。書物にはあなたさまはモレムナイトから一人の女性を献上されたようです。その女性を見て逆上なされたあなたさまは、聖女さまを弑し、その女性を連れたまま魔王国へ帰られた。と、記載がありました」


「その頃の勇者はどうなったの? 彼は聖女を殺されて魔王に仕返しに行かなかったの?」


「勇者はその騒動に巻き込まれたのか? いくら調べても魔王去りし後、死んだ。としか書かれてませんでした」


「どういうことかしら? その女性とのことあなた何か思い出せないの? マーカサイト」


「何も。ただ‥言われてみれば誰かの死を看取ったことがあるような気がして来た」


 当時の聖女には申しわけないけど、志織はマーカサイトが連れさった女性が気になっていた。


「もしかしてその人が、あなたにとって大切な人だったのかも知れないわ」


「‥そうだといいな。聖女の命を奪っておきながら言えた義理ではないが」


「過去のことよ。繰り返さなければいい」


「聖女さま」


 なんてことを言い出すのです? と、言いたげなイエセを目線で志織は制した。


「わたしは当時の聖女ではないもの。今さら遠い昔のことを言われても現代生きてるわたしにはさっぱりだわ。それに書物に記載されてはいても史実とは違う場合もあるでしょう?」


 志織が元いた世界の歴史でもそうだが、大抵は後に残された権力者に都合良く話が編纂されてる場合が多いものだ。こちら側の世界でも史実通りとは限らないだろう。


 これからは今後の話をしなければ。と、志織は気を引き締めた。


「ねぇマーカサイト。実はあなたに一度聞いておきたい事があったの。異世界から召喚された聖女に、あなた方の未来を託すことについてどう思っているのかを」


「聖女は面白い事を言い出すな。我の意見など聞いてどうする? 我を選んでくれる気があるのか?」


 マーカサイトが皮肉に口許を歪めた。志織はまだどちらに付くとも決めかねていた。


「それは話をしてみないことにはなんとも言えないけれど、マーカサイドとしては人間を滅ぼしたいの?」


「特に人間に対して我がどうしようという感情はない。人間の国を掌握しようとも思わぬし。我としては一族と共に静かに暮らしていたいのだが、時おり勇者が領域に侵入して来ていらぬ挑発をするので、血気盛んな若者らが騒ぎ出すのを抑えるのも面倒なくらいなのだ」


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