凍結の殼
振り返る女、後ろ髪引かれて。男は胎児でもあり。
消失の胎児…凝縮の粒。
近づけば内部滾る殼にて。
前夜の凍結、造型と襞。熱以前の、熱と熱の間隙過ぎれば複雑に色彩弾け。
漂う霧と芳香の予感。
逼迫、死に蕩けた存在どもの前途。
一筆に魂められた愛慾と祈願個々に分たれて…
男は透明な体躯を流す、意識や思惟が此処から…
熱、因果、形容、呪縛、誕生、遭遇、別離…存在以前の象徴が螺旋に列んで…
瞬間。
一挙に解き放たれた!
特異点超えた負荷に脈打つ撥条…
咆哮、呻吟、喧騒…抑制効かずてんでバラバラに飛散して…裂かれゆく水路…白濁に迸る時空の重液…
衝突!
存在や他者、自我や死の…
寂滅揺らす感情は息吹き…
写された一葉…宇宙創世の一瞬。