第2章 エピローグ
ショートゲートが開かれ、こげ茶のマントを着たレインはその先へ足を踏み入れた。
埃っぽい……いや……砂っぽい。
突然の太陽の光に目を細め、その場に立ち尽くす。しかし足元が悪いせいでそのままその場で崩れ、ドサリと座り込んでしまう。
するとその瞬間、通って来たショートゲートは跡形も無く消え去っていった。
レインはそんなゲートの消えて行くのを見守りつつ、砂だらけの足元に一瞬戸惑った。顔を上げるとその砂はどこまでも先まで続いているようだ。
後ろを振り返る。後ろも同じ風景……左右もだ。ぐるりと辺りを見渡し、この場所は砂漠だと理解した。
砂漠だというのに少し肌寒い。マントをしっかりと握る。
そして見つめる遥か先に白い何かを見つけた。先ほどまでいた城とその城下街だろう。
そう言えば街に出れば埃っぽい風が吹いていた。その砂はここから来ていたのか……とやっと理解する。
少しの間、その体勢のまま粒にしか見えない城を見つめた。
その後、何かを決意したようにレインはその場に立ち上がる。
右手に握られた赤いリボンを見つめ、サンガから告げられた彼女の言葉を思い出す。
『生きて』と……。
レインは少しだけ伸びた後ろ髪へそのリボンを括りつけた。リボンと若草色の髪が砂漠の風を浴びなびく。
快晴の空を仰いだ。どこまでも続くその青空を……。
その青空を見つめる彼の瞳に光が戻って来る。
右目は金色に輝き、左目は真紅に……。
そしてレインは砂漠の真ん中で一歩を踏み出した。
『初代魔王の魂の所有者』『天界最大の大罪人』としての一歩を。
次回 Blue Skyの神様へ シルメリア編
「君の言葉は生きる希望であり死なない呪い」
皆さん、おはこんばんにちは! 大橋なずなと申します。
遂に! 遂に!! 二章が完結いたしました!!
ここまで読んでくださった皆様、本当にありがとうございます。
長かった……嬉しくて少しうるっとしてしまいました。
さて、これで私の書きたい作品の全容が見えた事になります。
「え? こんな終わりかよ!!」とお思いの皆様。そうなんです。すみません。
次回からは舞台ががらりと変わりまして、お贈りさせて頂く事になると思います。
もし良ければこの先もお付き合い頂けると嬉しいです。
では、いつも応援してくださる皆様。ノートで読んでくれる友達。そして今こうして後書きを読んでくださっている貴方。この作品に触れて頂いた全ての方々に感謝しつつ……。
また三章後書きでお会いしましょう。
Twitter:@oohasinazuna