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電脳世界であなたと円舞曲(ワルツ)を  作者: のいざ たつや
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第四話 ES

「「じゃーんけん、ぽん」」


女性学級委員長の中村さんに指名されたことにより。

強制的に男子学級委員長になった僕は、続々と決まっていく他の委員と係りの箇所に

クラスメイトの名前を書いていく。

そして、現在最後の係りを決めるべく。男子生徒2人による。

壮絶なじゃんけん大会が繰り広げられている。

黒板に名前の書かれていない係りは後2つ。黒板係りとストーブ係り。

僕は、そこに書かれてる。係りに目をやりふと考える。

黒板係りは、まぁ授業後に黒板を消す係りの事だろう。

しかし、ストーブ係りって何だ?という疑問がわく。

と、そんな事を考えていたら教室がわっとわく。

どうやら決着が付いたらしい。中村さんが口を開く。


「じゃあ、和田君が黒板で、半田君がストーブで決定で!」


僕は、彼女が告げた名前を黒板に書いていく。

そして書き終わったところで先生の方へと視線を向ける。


「よしよし時間内に終わったな。それじゃあ、時間が来るまで各自自習だ。」


あんまり騒ぐなよと、釘をさして先生は手元のボードに目を落す。

自習と言われても教材は何も渡されていない現状では、おしゃべりでもしておけと言う事だろう。

時計を見れば授業が終わるまでは、あと10分少々と言った所。

僕は、手に付いたチョークの粉を払って席に戻る。


「ねぇねぇ」


と、席に着いた僕に話しかけてくる女生徒。

何故だか隣の席に中村さんが腰を下ろしてこちらに話しかけていた。

はてっ、彼女の席はそこじゃなかったと思うのだが、僕が教室を見渡すと

みんな結構移動して、仲の良い者同士でおしゃべりをしているみたいだった。

なるほど、隣の席の生徒はどこかへ移動したのだろう。それで、空いている席へ彼女が座ったと。


「何かな、中村さん。」

「いやー、ごめんねぇ。学級委員に巻き込んじゃって。」


あぁ、その事か、確かに自分が選ばれるとは思ってなかったから驚いた。

そもそも何で彼女は僕を選んだのだろうか。


「いや、大丈夫だけど。ねぇ、何で僕を指名したのさ。」

「このクラスで面識無いの甲斐君だけだからさ。仲良くなる良い機会だと思ってね。」


面識が無いのが僕だけ?彼女の言葉に疑問符が頭に浮かぶ。

いや、確かに今年転校して来た自分と面識が無いのは理解できるのだが

去年の一年間でこのクラスにいる生徒と全員知り合いになってる?

そんな事があるのだろうか。たまたまこのクラスに配属された生徒が知り合いばかりだったとか?

と、そこで僕と彼女の会話に後ろから声が割り込んでくる。


「甲斐、中村の言う事は本当だ。そいつな、交友関係だけは校内一だぞ。」


北中君の言葉にふふんと自慢げに腰に手を当てる中村さん。

へぇと少々の驚きを持って彼女の事を見ていたら、北中君が耳元に口を寄せてきた。


「・・・あと、去年の撃墜数No1だ。甲斐もうっかり惚れるなよ。」

「なっ!?」


危ない。もう少しで大声を出すところだった。

突如囁かれた北中君の発言に耳を押さえて後退する。

それを見てにやにやする北中君ときょとんとする中村さん。


「ちょっと北中君。甲斐君に何言ったのよ。」

「いやいや、ちょっと甲斐のヤツにここ学校生活で気をつけることを助言しただけだよ。」

「助言って、甲斐君すごい驚いてるみたいだけど?」


今度は少し心配そうにこちらに視線を向ける彼女に、手を振って大丈夫と告げる。

なるほど、北中君の言った事が少しだけわかった気がした。

僕は、会話の流れを変えるべく二人に質問をする。


「ところで、二人は部活って入ってるの?」

「俺は、帰宅部だ。つっても、バイトしてるけどな。」

「私は入ってるよ。ES(イーエス)部。」

「えっ、そ、そう。ES部に入ってるんだ。」


彼女の発言に少し動揺する。

そうか、この高校にもES部があるのか。

ES。元々はe-sportsと呼ばれる電脳ゲームでの勝負事や大会をさした言葉だったらしい。

現在では、e-sportsと言えば『サーバーサバイブ』と言うゲームの事をさす。

元々はダイバーが電子世界へと潜るいために用いられた技術をゲームへと昇華させたものだ。

誰でも電子世界へのダイブを可能にしたそれは、電子世界での擬似戦闘を行なうゲームだ。

プレイヤー達は、ファイターと呼ばれ。各々が選択した武器を扱い。

同じくファイターとしてダイブした他のプレイヤーと戦う。

基本的には、1対1で戦って相手のライフを0にした方が勝ちになる対戦ゲームなのだが

これが良く出来ている。例えば、全力で走るイメージを描いてもらいたい。

きっとそこには、千差万別のイメージ映像があるはずだ。

手足を大きく振り上げて走るイメージもあれば、足を高速で回転させて走るイメージ。

サイバーサバイブはそれを忠実に再現する。

つまり、脳内を走る電気信号を拾って、ゲーム内のファイターを動かすのだ。

一様、電子世界でのやり取りなので、条件させ揃えれば空だって飛べる。

電子の世界に不可能は無い。

とても自由度の高いゲームとして全世界で瞬く間に人気を博し。

装置自体が安価なのも手伝って一気に設置場所が広がると。

あっという間にプレイヤー人口が増殖。今では、年に一度世界大会も開かれてる。

また、日本でも10年ほど前からは毎年夏には学生大会も開かれるようになったほどだ。


「そうそう。あっ、甲斐君。安芸島学園に居たんだよね。よかったら、ES部入らない?」

「甲斐は、普通科に居たらしいぞ中村。」

「えっ、そうなの?まっまっ、関係無い無い。どうかな、ES部入らない?」

「あっ、ははっ、考えとくよ中村さん。」


僕は彼女に苦笑いを返すと返事を濁す。

そっかぁと少し残念気味に言葉を漏らす彼女にちょっと罪悪感が生まれるが

こればかりは、頷けない。

僕がこの高校に転校する切っ掛けになったソレに、僕は容易には近づけないのだから。

そして会話がちょうど途切れた所で、授業の終了を告げるチャイムが鳴る。

中村さんは、そのチャイムを聞いてまたねとだけ残すと自分の席へと戻っていく。


「よぉーし、今日はこれで終了だ。明日は君らの後輩が入って来るからな。

入学式で遅刻とかするなよぉー。」


先生のその言葉に各々返事を返すと、みんなそれぞれの行動に移る。

帰る支度をする者、そのまま友人と会話を続ける者。

僕も帰宅するために、カバンを担ぐ。すると後ろから肩を叩かれて振り返る。


「帰りは何だ? 徒歩?自転車?バス?」

「自転車だけど?」

「おっ、ならよ。時間あるなら付き合わないか?」


北中君の問いに少しだけ間を空ける。

まぁ、返す返事は決まっている。これからの事を考えればいろいろ教えて欲しい事もあるし

交友関係を作っていないと困る事もあるだろう。


「いいよ。その代わり、いろいろ聞かせてもらうからね」

「おう。んじゃ、行こうぜ。」


彼の言葉に承諾して、僕は彼について教室から出るのだった。





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