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【短編】ゆうやけ荘は今日も平和に   【シリーズ】

新しい入居者らしいですけど前島さんはやっぱりどうでも良さそうです。

作者: FRIDAY

 

「はあ、新人さんですか」

「そ。女子高生」


 新聞を読みながら、前島さんはどうでもよさげな口調で言う。もっとも、前島さんがどうでもよくなさそうな口調で何かを言うのを聞いたことがないけれど。合法ロリの加賀さんが拉致されたときも、おやつのもみじまんじゅうを間違って木鈴さんが食べちゃったために佐々木さんが泣きながら家出した時も、本当にどうでも良さそうな顔をしていた。まあさすがに内心はそんなこともないんだろうとは思うけれど。


「でも今五月ですよ。時期がちょっと遅くありませんか」

「知らね。家庭の事情って奴じゃないの」


 言って、前島さんはコーヒーをすする。ちなみにそのコーヒーは僕が淹れたものだったりする。大家を敬えという理由で強要されて始めたものだけど、できるようになってくるとこれがなかなか。

 ラテアートとかも結構好きよ。


「高校入学したばかりだっていうから、15歳かね。一年生だよ。あんたも一年生だったろ。同じ一年生どうし、仲良くするがいいさ」

「でも僕、人見知りで」

「そうかい。まあ頑張りな」


 例によってどうでもよさそうな前島さん。まあ僕が人見知りであるということは、実際にどうでもいいんだろうけれど。


「でもやっぱり変ですね。時期も時期ですけれど、この辺りってうちの大学の学生が住んでるアパートしかないじゃないですか。女子高生がひとりで引っ越しって」

「知らね。家庭の事情って奴じゃないの。……まああれだ、大方、実家から通うつもりだったけどいざ入学してみたら思ったより遠くて、いまからアパート探したらここしかなかったとか、そんなとこだろ」


 適当に言う割りに的確な前島さんだった。

 ちなみに、その新人さんの入居は今週末からだそうです。

 


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