第二話:〜怪奇事件〜
「東京都内で怪奇事件多発!!
昨日の夜から今朝にかけて東京都内では怪奇事件が多発している。被害者はいずれも女性。しかし、死体が見つからない。被害者に一致するのはパソコンをしていた事、深夜2時ごろに誘拐されたという事、パソコンのそばに指輪やネックレスが入っていたと思われる箱があること、だ。警察は家族に事情聴取をしてもらっているとのこと。」
あたしはゾッとした。どの条件も小悪魔通販に一致する。やっぱやめようか・・・・。でも、いきたい・・・・・・・・・・。
何でこんなに行きたいか自分でも分からない。あたしは無意識にケータイをとりだした。メールを送ろうと操作する。上月瞳に、メールを・・・・・・・・
ひぃチャンならなにか分かってくれるかもしれない。ひぃチャンは勘がいいから・・・・・。
『いきなりごめん。ちょっと相談に乗ってほしくて・・。いまから、駅前で会えないかな??』
♪♪。メールが帰ってくる。
『いいよ。絶対メール来ると思ってた。でも、ケータイじゃダメなの?メール今してるジャン。』
『ごめん。むり。彩香と葉月が絶対受信BOX見るから・・・・・・・』
『じゃ、駅前にね。待つのはイヤだからすぐに来てね♪』
『うん。すぐ行く』
あたしは、運動用のスニーカーをはいて駅前まで走った。自慢じゃないけど、走るのだけが得意。だからいわゆる運動馬鹿ってヤツ。
「おまたせ!ま・・待った?」
「ううん。全然だいじょーぶ。じゃ、あそこのカフェではなしする?」
瞳は先立って歩き出した。真っ黒な髪がライトアップされた町によく似合う。時々きらっと光って、すごくきれいな髪に見えた。カフェに入るときもその髪はゆらゆらゆれた。
「ふーん・・・。でも、それが小悪魔通販だっていう証拠はあるのかなぁ?」
あたしの話を聞き終わった後、アイスコーヒーをカラカラいわせながら瞳はつぶやいた。
「だって、条件が一致してるじゃない!」
「じゃ、小悪魔通販から来たとかいう手紙に、「画面に吸い込まれますー」なんて書いてあった?」
「そんなこと書いたらだれも来ないじゃない!!」
あたしは、オレンジジュースのコップの中に入っていた氷をガリガリ噛みながら少し怒ったように聞いてみた。瞳はちょっとびっくりした様だったけど、またいつもの顔にもどった。
「ま、そーだね。でも、あたしなら行くよ。なんかわくわくするじゃない」
「そーぉ?」
「うん!あーちゃんはいいなぁ。誰にももらえないチャンスをもらったんだからね」
「そっか」
あたしは、なんとなく晴れた気分でカフェを出た。瞳は後ろのほうでかるく手を振っている。あたしもしばらくは振り帰していた。
「馬鹿な子・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
あたしは、後ろのほうで瞳が笑っていることには気づかなかった。そう、この選択がすべての始まり。
「アメ〜〜。そんなにパソコンばっかり見てると目ェ悪くなるわよ〜?」
うって変わってここは小悪魔通販運営者たちのアジト(?)。
「だいじょーぶですよ。ミーウェイ。ご忠告ありがとうなのです〜♪でも、このごろリングの売れ行きが悪いのですよ。やっぱ新聞に載っちゃったからかな〜なのです・・」
ミーウェイはお茶菓子を口に入れながら「でも、小悪魔通販って載ったわけじゃないじゃない。」と答えた。
「ちょっと待ってよ。俺が大量生産したヤツは全部パーってことか!?」
「だれもそんなこと言ってないでしょ。だからあんたは・・・あ〜頭痛いっ!もー喋りたくないッ。特にあんたとはね。」
「なんだよ!」「ふん!もー一回言ってやる。あんたと喋りたくないってね!!!!」
アメは黙って二人の痴話喧嘩を聞いていたが、横にあるお茶を飲みながら、頬杖をついて考え出した。二人はそんなアメに気づかず、まだがやがやと喧嘩を続けていた。
(困ったな・・。人が入んないんじゃリングの製作もままならないし・・・・。っと、あのこは説得に成功したのかな・・?相手の子は相当馬鹿みたいだったし・・・大丈夫よね・・・)
いきなりミーウェイの声が頭の中に入ってきた。
「今日ってさぁ〜、木曜日だったよねぇ?誰か来ると思うんだけどさ。はやく通販場所整理しないと、人間の体でぐっちゃぐちゃじゃないの?」
「そー言えばそーなのです!早くしないと!」
午前2時まであと7時間・・・・・・・・・・・。