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雷神の拳 - 逆襲のカーストブレイカー  作者: 川合 佑樹


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第十九話

 1ラウンド終了のゴングが鳴り響いた後も、観客席からの「健太!」「颯!」の叫び声が響き渡った。

 巨大スクリーンには、健太の執念のボディブローと颯のスピニングバックキックがスローモーションで映し出され、観客の歓声がさらに高まった。

 真央が興奮を抑えきれずに叫んだ。

「颯のフルコンタクト空手がリングを切り裂き、健太を追い詰める! 雷神ジムの魂が炸裂するのか、それとも颯の冷徹なキックが決めるのか!? 2ラウンド、運命の逆転劇が始まるぞ!」

 カイトがマイクを奪い、声を張り上げた。

「颯のボクシングと空手のスイッチングが健太を翻弄したが、健太の内ももへの膝蹴りとボディ攻めが颯の右足に明確なダメージを与えた。健太がこの隙を突けるか、2ラウンドで勝負の流れが決まる!」

 カイトの煽りに、観客席が「行けえ!」と総立ちになり、熱狂の渦に飲み込まれた。

 カースト下位の生徒たちが「健太! ぶちかませ!」と叫び、手作りの応援幕を振った。

 一方、颯の応援団は「颯! 粉砕しろ!」と統率された声を響かせる。

 リングエリアの空気は火薬庫のように張り詰め、2ラウンドのゴングを待った。


 ゴングが「カーン!」と鳴り、歓声で揺れる。

 健太は少林寺拳法の受け流しの構えで身構えた。

 颯はフルコンタクト空手の構えで、右拳を腰に引き、右足を軽く浮かせて距離を測った。

 健太が軽快なフットワークで動く。

 ジャブを繰り出し、颯の視線を上段に誘導。

 颯は冷静にスウェイでかわし、ステップを刻む。

 健太は左フックのフェイントでガードを引き出し、左足で軽いローキックを颯の右足外側に放つ。

「パシッ!」と軽い音が響くが、颯は無表情でガードを固め、右足を素早く引き戻す。

 健太は畳みかける。

 ジャブを連打し、視線を上段に引きつけ、右足で強烈なローキックを颯の右足内側に叩き込む。

「ガツン!」

 重い衝撃音がリングに響き、颯の右足がわずかに沈む。

 颯の顔が一瞬歪んだが、即座に前蹴りを健太の腹に突き刺す。

「ゴッ!」

 鈍い音とともに、健太が一歩後退。

 颯は右足を軽く動かし、ダメージを隠すようにステップを踏む。

 だが、健太はそのステップの微かなブレを見逃さない。

 颯の右足が一瞬遅れる癖を見抜き、左フックのフェイントを繰り出す。

 颯のガードが反射的に上がった瞬間、健太は左膝を上げる。

「ヒュン!」

 空気を切り裂く鋭い音とともに、颯の右足が強烈なローキックを放つ。

 弧を描く軌道は、まるで雷鳴を伴う嵐のよう。

 だが――

「ガキャッ!」

 骨が軋むような衝撃音が響き渡る。

 健太の左膝が、颯の蹴り足の脛に完璧に叩きつけられた。

 焼けるような激痛が健太の膝を貫く。

「ぐっ…!」

 歯を食いしばり、顔を歪める。

 だが、追撃は来ない。

 観客の息を呑むどよめきの中、健太が目を開くと、颯が右足を押さえ、苦悶の表情で膝をついていた。

 颯の脛から放たれた力が自らを裏切り、折れるような音を残した。

 会場が静寂に包まれる。

 レフェリーが颯に近づき、「大丈夫か?」と声をかける。

 颯は手を突き出し、レフェリーを制止。

 深く息を吸い込み、鋭い眼光を放つ。

「喝あああ!」

 腹の底から絞り出した咆哮が会場を貫く。

 颯はダメージを受けた右足を高く上げ、かかと落としをマットに叩き込む。

「ドゴンッ!」

 地響きのような衝撃音が響き、マットが波打つ。

 レフェリーが一瞬後ずさり、観客席が静寂に飲み込まれる。

 颯は右足を地面につけ、わずかに顔を歪めながら冷たく微笑んだ。

 美咲が叫んだ。

「ローキックを連打しろ! チャンスだ!」

 彼女の声に、健太が歯を食いしばり、ガードを固める。

 颯は構えを取り、右足をあえて軽く動かし、挑発。

 健太は一瞬気圧されそうになったが、歯を食いしばった。

 颯がステップインで距離を詰め、裏拳を側頭部に放つ。

 健太は内受けで防ぎ、すぐにクリンチに持ち込む。

 内ももに膝蹴りを叩き込み、颯の右足を硬直させる。

 颯がクリンチを振りほどき、飛び膝蹴りを胸に。

 健太はロープ際に押し込まれるが、ジャブと左フックで意識を上段に引きつけ、ローキックを右足に叩き込む。

「バチン!」と音が響き、颯の右足が明らかに弱る。

 颯が「まだだ!」と唸り、右の直突きを繰り出すが、健太はスウェイでかわし、右ボディブローを腹に叩き込んだ。

 颯の息が一瞬詰まり、観客席が総立ちになる。


 ゴングが鳴り、第二ラウンドが終了した。

 健太はコーナーに戻り、汗と血にまみれる。

「効いてるはずなのに……あの気迫……凄すぎる」

 美咲が「我慢しているが、あの接触で右足は限界だ。最後はアレで決めろ」と指示した。

 颯はコーナーで右足を庇い、深呼吸した。

「やられたな。……だが、まだ終わらない」

 その目に焦りと決意が交錯する。

 真央がマイクを握る。

「2ラウンド終了! 雷神ジムの魂が頂点を揺さぶる! 最終ラウンドで、どちらの拳がリングを制するのか!?」

 カイトが続ける。

「颯の気迫はまさに王者の証明だったが、右足のダメージは隠せない! 健太のローキックとクリンチでの膝蹴りが、颯の土台を確実に削った。健太は颯のリズムを崩し、冷静に隙を突いてる。3ラウンド目、リングはまさに決戦の舞台だ!」


 ゴングが「カーン!」と鳴り、「健太! 颯!」の応援で震える。

 体育祭のフィナーレを飾る最終ラウンド、観客席が「うおお!」と総立ちで熱狂の渦に飲まれる。

 健太は少林寺拳法の構えで重心を低く保ち、目は燃える炎のように揺らめいた。

 対する颯はフルコンタクト空手の構えで、眼光は鋭く攻撃的。

 颯が一気に距離を詰め、連続突きでガードを激しく叩いた。

 健太はロープ際に押されたが、左ハイキックをスウェイで間一髪かわす。

 颯は右足を庇うようにステップを切り替え、再び連続突きを健太の胸に放った。

 健太はフェイントの左フックでガードを誘い、右のローキックを右足外側に叩き込む!

 低く重い衝撃が響き、颯のステップが一瞬乱れる。

 健太はリングを回り、コーナーに追い詰める。

 左ジャブを連打し、視線を上段に引きつける。

 颯は左ハイキックを頭部に打ち込む。

「シュッ!」と空を切る鋭い軌跡。

 健太はスウェイでかわし、着地を捉え、左のローキックを右足に叩き込む。

「バチン!」と音が響き、颯の右足が目に見えて沈む。

 颯は歯を食いしばり、右足を庇いつつ左の前蹴りで反撃。

 健太のガードを叩くが、力にキレがない。

 健太は、フェイントの右ストレートでガードを誘い、左ボディフックを脇腹に。

 鈍い衝撃が響き、颯の息が一瞬詰まる。

 颯が「こんなものでは倒れん!」と吠え、突きを胸に叩き込む。

 重い衝撃でロープ際に押し込まれる。

「ここで決める!」

 健太はピーカブーガードを固め、颯に突進しコーナーに追い詰める。

 颯はそれを捉える。

「それは悪手だ!」

 コーナーから一気に反撃を試み、左ハイキックを健太の側頭部に放つ。

 健太は「それを待っていた」と心の内でつぶやく。

「シュッ!」と鋭い弧が空を切るが、健太は見切ってダッキングした。

 素早く密着してクリンチに持ち込み、ダイラタンシー特訓の踏みつけ力を活かし、右足を上げて颯の右膝上を押し下げるように外側に踏み押す。

「ドスッ!」と重い音が響き、颯の軸足が回転し、バランスを崩して膝をマットにつく。

 健太は「これで終わりだ!」と吼え、素早く背後を取り、颯の右足を全力で踏んで動きを封じた。

 颯が向き直りを試みるが、健太の踏みつけコントロールで抵抗できず、スタンディングでバックポジションをキープ。

 健太は雷神ジムの特訓で鍛えた腕で首を捉え、リアネイキッドチョークを仕掛けた。

 颯が息を詰まらせ、必死に抵抗。

 健太は鍛え上げた体幹でバックポジションを維持し、マットに引きずり込んだ。

 颯はフックを外そうと手を伸ばし、体を捻って回転を試みた。

 颯の肘打ちが脇腹を捉えるが、健太はフックを再調整してバックポジションをキープ。

 健太は「絶対に離さない!」と叫び、リアネイキッドチョークをさらに深く締め上げた。

 颯が肩を振ってスペースを作り、脱出を試みるが、健太は全力でチョークを維持。

 レフェリーが「颯、動け!」と叫ぶが、颯の目が虚ろに。

 颯が最後の力を振り絞り、身体を捻って脱出を試みるが、健太はチョークを再び深く締める。 

「ググッ!」

 颯が健太の腕を掴むが、視界が暗転した。

 戦意が途切れ、マットに崩れる。

 レフェリーが叫ぶ。

「試合終了! 健太、KO勝利!」

「健太! 健太!」の歓声で沸き立った。

 真央がマイクを握り、興奮で声が震えた。

「健太、信じられない逆転劇! リアネイキッドチョークで颯を完全に沈めた! 健太チーム、3対2で劇的逆転優勝だ!」

 カイトが熱く続ける。

「健太の作戦が完璧だった! 颯の右足を執拗にローキックで削り、クリンチからバック奪取! これぞ雷神ジムの底力だ!」

 美咲がコーナーからリングに駆け上がり、健太を抱きしめ、目を輝かせて叫んだ。

「よくやった!」 

 観客席から優斗が駆け寄り、汗と涙で目を光らせながら叫ぶ。

「おめでとう! 底辺だった俺たちの夢、叶えてくれてありがとう!」

 健太は笑顔で拳を上げる。

「みんな、俺たちの想いを届けたぞ!」と叫んだ。

 剛が男泣きし、圭がクールに頷く。

 蓮が低く呟いた。

「ふん、お前は俺が倒す」

 颯はレフェリーに支えられ、健太に振り返り、「まさか……負けるとはね」と呟く。

 颯の応援団が「颯、誇りだ!」と拍手を送る。

 真央が締めくくった。

「健太チーム、体育祭優勝! カーストの壁を打ち砕いた!」


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