第十五話
体育祭は剛と流星のタッグ技の衝撃で、熱狂に包まれていた。
会場では、雅琉のリングアウトに驚いた生徒たちが、スマホで撮影に夢中だ。
健太が美咲に目を向け、興奮を抑えきれず身を乗り出す。
「このまま勝てそうですね!」と笑顔で言う。
彼女はジュースを手に持って、片眉を上げてニヤリと笑う。
「それはどうかな?」
「え、でも2対1ですよ!?」と驚いて言う。
彼女は冷静に答える。
「人数だけならな。でも、これは階級なしのMMAだ。体重差があるから、軽量級のキックはまず効かない。道着もないから投げられないだろうしな」
「そうか……体重差か。じゃあどうすれば勝てるんですか?」
彼女は鋭い目で言った。
「どうにか火力を上げるか、全力で関節を極めるしかないだろ。まぁ、あいつらまたバカなことしそうだけどな」
リング脇では、剛と流星が額を寄せ合い作戦を練る。
剛が冷静に囁く。
「あいつはリング中央で無敵だ。ロープ際に誘い、俺がバランスを崩す。そこにお前のキックだ」
流星が頷き、「分かった! 俺たちの連携で仕留めるぞ!」と拳を握る。
峻が低く唸る。
「お前らの作戦なんて、力で粉砕してやる」
真央が熱く実況する。
「会場が熱狂の渦! 剛と流星のタッグ技で雅琉をリングアウト! だが、次は峻との激突! 2ラウンド開始直前、緊張感が火花を散らす!」
カイトが声を張りあげて、「剛と流星の連携、見事だった! だが、峻のレスリングは次元が違う! 配信コメント、剛と流星の次の一手を予想してくれ!」と続ける。
ゴングが「カーン!」と鳴る。
剛が「速攻で決めるぞ!」と声を上げ突進。
流星がサイドステップで死角を突き、ローキックを連打。
打撃音が轟くが、その巨体は微動だにしない。
剛が腕を掴んでクリンチし、ロープ際に押し込む。
流星が脇腹にミドルキックを畳みかける。
打撃音が響き、観客が「蹴りまくれ!」と沸く。
剛が「今だ!」と言い放つ。
払い腰でマットに打ちつけ、流星が素早く跳び上がり、膝を胸に放つ。
重い衝撃が伝わり、峻の息が乱れる。
剛が「準備しろ!」と声を張り上げる。
流星が「ぶちかます!」と応じ、剛が流星を一本背負いで担ぎ、回転。
峻が立ち上がると同時に、「一本背負いかかと落とし」が炸裂。
流星のかかとが「バキッ!」と峻のこめかみに直撃し、峻が膝をつき、ロープ際でフラつく。
二人が「もう一発!」と叫び、再び技を狙う。
峻が「舐めるな」と静かに唸り、巨体を沈める。
厳しい目が、軌道を捉え、足首を掴もうとする。
だが、流星が空中で身を捻り、顔面に急角度のドロップキックを叩き込む。
「ガツ!」と音が響き、峻が一瞬よろめく。
しかし、喰らいながらその足を掴み、流星を振り回して地面に叩きつける。
重い衝撃音が響き、観客が息をのむ。
流星が受け身を取り、「くそっ、まだだ!」とミドルキックを放つが、ダメージでバランスを崩し、ロープ際で膝をつく。
峻が「終わりだ!」と強烈なタックルを仕掛け、彼をロープ越えに弾き飛ばした。
マットが軋み、衝撃がグラウンドに轟く。
レフェリーが「流星、リングアウト!」と宣告し、10カウント開始。
流星が地面で歯を食いしばり、「まだ……終わらねえ!」と這ってロープに手を伸ばす。
過去の敗北、仲間との約束、特訓の日々が脳裏をよぎる。
再び立ち上がるため、力を振り絞るが、膝から崩れ落ちる。
指先が震え、視界が揺れる中、力を振り絞るが、力尽きて膝から崩れ落ちた。
剛がロープから身を乗り出し、「戻って来い! お前ならやれる!」と叫び上げる。
峻が静かに見下ろし、「これで一人」と低く呟く。
流星が動けず、失格。
真央が「峻のタックル、まるで鉄の要塞だ! 流星、最後まで燃える闘志で食い下がったが、リングの外に弾き飛ばされた! 観客の心、鷲掴みだぞ!」と叫ぶ。
カイトが冷静かつ鋭く続ける。
「峻のレスリングは重心の低さとタイミングの妙が鍵。流星の空中技は鋭かったが、峻は一瞬の隙を見逃さず完璧に封じた。あのタックルは、彼が磨いた技術の結晶だ!」
剛が鼻血をぬぐい、鋭い目で睨みつける。
「流星の分まで、俺がやる! 絶対に負けねえ!」
剛は柔道の組み手で距離を詰める。
マットが軋み、スタンドが「剛! 剛!」と一斉に沸く。
剛が素早く右のパンチを連打。
「バシ! バシ!」と、峻のガードを叩く。
峻はレスリングのパワーで応じ、剛のこめかみに重い左フックを返す。
「バチン!」と鋭い音が響き、剛の視界が一瞬揺れる。
剛は歯を食いしばり、よろめきながらも組み手で峻の右腕を捉える。
「この距離なら!」と低く唸り、柔道の足技で峻の重心を崩そうとする。
だが、峻の巨体はまるで鉄塔のよう。
剛の足払いは空を切り、逆に峻の膝が剛の脇腹に「ドス!」と突き刺さる。
観客が息をのむ中、剛は腹を押さえ、息を整える。
「まだだ!」と叫び、距離を取ってロープ際へ移動。
剛が右ストレートを顎に叩き込む。
「ガツ!」と重い音が響き、峻が一瞬フラつく。
観客が「剛! やれ!」と総立ちで沸く。
剛は勢いに乗り、左ジャブで牽制しつつ、右のオーバーハンドを狙った。
だが、峻の目が鋭く光る。
剛のパンチをガードで弾き、レスリングの低姿勢から一気にタックルを仕掛ける。
剛は咄嗟に腰を落とし、両腕で峻の首をロックした。
「離さねえ!」と叫び、クリンチで耐える。
マットが軋み、観客が「うおお!」とどよめく。
峻は「舐めるな」と唸り、剛のクリンチを力ずくで振りほどく。
巨体を揺らし、右のミドルキックを剛の脇腹に叩き込む。
「ガツン!」と鈍い音が響き、剛の顔が歪む。
だが、剛は倒れず、ロープを背に踏ん張る。
「まだ終わらねえ!」と叫び、峻のガードの隙間に左アッパーをねじ込む。
峻の顎が跳ね上がり、観客が「すげえ!」と沸く。
峻は打たれ強さで耐え、左フックを剛のこめかみに直撃。
「バチン!」と音が響き、剛がよろめく。
峻がクリンチで捕まえ、膝蹴りを腹に叩き込んだ。
「ドス!」と重い音が響き、剛が膝をつく。
剛はマットに手を突き、汗と血が滴る。
視界が揺れ、耳に観客の歓声が遠く響く。
「流星……圭さん……」と呟き、力を振り絞って立ち上がる。
剛はふらつきながらも両腕を上げてガードを固め、突進する。
右のボディブローを叩き込むが、峻の腹は岩のよう。
峻が冷たく笑い、「終わりだ」と低く唸り、剛を捕まえなぎ倒す。
峻がマウントを取り、パウンドを顔面に叩き込む。
剛がマットに崩れ落ちた。
レフェリーが「剛、KO!」と宣告。
真央が声を振り絞って叫ぶ。
「峻チーム、圧倒的勝利! 剛と流星、魂の限りを尽くした奮闘も、峻の鉄壁に散った! このリングに刻まれた激闘、観客の心を掴んで離さない!」
カイトが力強く続ける。
「打たれ強さの勝負で峻のレスリング魂が一歩上! 剛の柔道の執念、流星の空中戦も光ったが、峻の冷静な戦術が試合を支配した。両チームの意地がぶつかり合った、歴史に残る熱戦だ!」
峻が息を荒げ、額の汗を拭い、膝に手を当てながら二人を見下ろす。
「…ギリギリだったな」と低く呟く。
その声には、僅かな敬意が滲む。
割れんばかりの歓声に包まれる。
剛と流星がリングサイドで汗と鼻血を拭い、肩を落とす。
剛が悔しげに呟く。
「俺がもっと早く動けてれば……」
流星が苦笑し、「いや、俺の攻撃じゃ届かなかった。それでも、観客を沸かせたぜ」と拳を軽く突き出す。
剛が拳を握り、「一本背負いかかと落とし、悪くなかったな」と笑う。
蓮が近づき、「お前らのタッグ技、よかったぜ。あのバケモンを追い詰めたんだ、胸張れ」と肩を叩く。
健太が拳を振り、「最高だった! 後は俺たちに任せろ!」と叫ぶ。
剛が「圭さん、俺たちの想いを託します」と呟く。
流星が「SNSでバズってるぜ」と笑い、拳を合わせる。
圭が静かに呟いた。
「……ここは確実に勝つ」
観客席が「圭! 圭!」と沸き、熱狂の坩堝と化す。
真央が声を震わせて叫ぶ。
「次は圭の個人戦だ! リングに新たな伝説が生まれるか、目が離せないぞ!」
カイトが熱く続ける。
「この白熱の試合、トレンド入り! 圭の個人戦はさらに深いドラマを約束する。彼の変幻自在の戦術が、どんな火花を散らすか、刮目せよ!」
会場は次の試合への期待で、さらなる熱狂に包まれる。




