第十二話
グラウンドに陽光が降り注ぎ、体育祭の開幕を告げる歓声が響いていた。
トラックではリレーの最終走者がゴールテープを切る中、クラスメイトが手作りの応援ボードを掲げて盛り上がっている。
遠くの綱引き場から力強い掛け声が聞こえ、屋台のフランクフルトの香ばしい匂いが風に漂う。
グラウンド中央に設けられたMMA会場。
生徒や他校の観客で溢れ、最前列ではスマホを構えた生徒たちが熱い試合を待つ。
観客席の一角で、優斗が三脚にスマホをセットし、PicoTubeのライブ配信を準備する。
隣の生徒に「この配信、絶対バズるぜ!」と言いながら機材チェックする。
放送席では、放送部の人気者、三浦真央がマイクを握り、明るい声で会場を盛り上げる。
「さあ、みなさん! 体育祭の目玉、MMA対決が今、幕を開く! カースト頂点、圧倒的カリスマの颯チーム! 対するは、這い上がる下克上魂、健太チーム! この闘いはまさに火花の嵐!」
隣の雷神カイトが派手なマスク姿で割り込む。
「よお、みんな! 雷神カイトだ! このイベント、PicoTubeで全世界に配信中! 颯チームは洗練されたコンビネーション、健太チームは泥臭いガッツで勝負! テクニック対ハートのぶつかり合いだ!」と叫び、観客席から拍手が沸く。
真央が「カイトさん、コメント読みすぎちゃダメですよ! この体育祭の伝説を刻むのはどっちか、目が離せない!」と笑顔で突っ込む。
セコンド席にいた美咲は「何やってんだ、あいつ」とため息をつく。
リング中央に、両チームが対峙する。
青コーナー、颯率いる精鋭チーム。
颯は「さて、今日は何を見せてくれるのかな?」と相手を見据える。
隣の翔が不敵に笑い、「楽勝だろ」と呟く。
雅琉はムエタイ仕込みの構えでミット打ちの音を響かせ、峻の巨体はマットを震わせ、豪が「潰すぜ!」と荒々しく吠える。
「颯くん、頑張ってー!」と女子生徒の声援が響き、チアリーダーがポンポンを振り上げる。
対する赤コーナー、健太率いるチーム。
健太は「絶対勝つぞ!」と拳を握り、仲間を鼓舞する。
蓮が鋭い眼光で相手を睨む。
剛の巨体が「受けて立つぜ」とどっしり構え、流星は軽快にステップを刻み、「スピードで翻弄してやる」と笑う。
圭は冷静に相手チームを観察。
会場から「健太、這い上がれ!」と熱い歓声がこだまする。
颯が両腕を広げて観客席に笑顔を振りまく。
「やあ、みんな! 集まってくれてありがとう! 今日はカースト下位の挑戦者が、トップの俺たちにどこまで食らいつけるか見せて貰おう! 応援よろしくな!」
健太は拳を握り、「今日ここで、すべてを変えてみせる!」と叫ぶ。
真央がマイクを握り直す。
「ルールは3分3ラウンド、KOまたはポイント制のMMA! なんでもありのガチンコ勝負! セコンドは各チーム1名まで!」
カイトが「これぞ体育祭の魂! 拳と拳で全てをぶつけ合うぜ!」と煽り、会場が一気に沸き立つ。
真央がリングの赤コーナーを指す。
「赤コーナー、健太サイドの鈴木蓮! 筋肉質な体格と長いリーチを活かし、力強いパンチで相手を切り裂く!」
蓮がガードを固めると、観客席から「蓮、ぶちかませ!」と声援が飛ぶ。
真央が青コーナーに視線を移す。
「青コーナー、颯サイドの高橋翔! スポーツ万能! 容姿端麗! 長身を活かした攻撃で試合を支配する!」
「翔、こっち見てー!」と女子生徒の声援が響き、翔は不敵に笑ってステップを刻む。
真央が「さあ、両者の火花が散る! この試合、どんな結末になるのか!?」と声を張り上げ、カイトが「準備はいいか、みんな! ゴングだ!」と叫ぶ。
ゴングが「カーン!」と鳴り、1ラウンドがスタート。
会場が熱狂の渦に包まれる。
翔は軽快なステップでリングを舞い、肩を揺らして惑わす。
切れ味のある左ジャブを繰り出し、蓮の突進を巧みに牽制する。
アウトボクサーらしい距離管理で、ストレートを顔面に叩き込む。
「翔、決めちゃえー!」と応援の声がこだまする。
「ボクシングなんて遊びだ」とほくそ笑み、蓮のガードが下がる一瞬を狙う。
死角から放った右ストレートが顎を捉え、「パチン!」と響く。
蓮の息が乱れる中、翔は「次で仕留める」と冷静に次の攻撃を計算する。
蓮はリング中央で防御を固め、重心を下げて構える。
応援団の「蓮、押し込め!」の声に押され、じりじりと前進。
左ストレートを繰り出すが、翔の素早いサイドステップで空を切る。
「速え……」と蓮が苛立ち、相手の顔や体を狙って、斜めに右側からパンチを打つ右クロスを大振りに放つ。
だが、翔はスウェーで軽やかに回避。
翔の左ジャブが鼻先にクリーンヒットし、「パチン!」と音が鳴る。
「そんな大振り、当たるわけない」と続けて右ストレート。
「パシッ!」と鋭い音が鳴り響く。
観客席がどよめく。
真央が「翔のコンビネーション! スピードと精度がすごい!」と実況する。
カイトが「蓮はガードが開きすぎだ。このままじゃ翔のペースに飲み込まれるぞ。もっとプレッシャーをかけないと厳しい戦いになるぞ!」と解説。
蓮は鼻を押さえ、眼光を鋭くする。
「この程度で終わるかよ!」と自分を奮い立たせる。
フェイントのダブルジャブで翔のフットワークを乱し、左フックを腹部に叩き込むと、「ドスッ!」と重い音が鳴る。
翔はバックステップで距離を取り、左フックと右アッパーのコンビネーションで反撃。
右アッパーが顎を掠め、「カッ!」と響く。
蓮の視界が揺らぎ、「くそっ、速すぎる!」と唸る。
翔は死角からの左ストレートで相手のバランスを崩し、息を乱す。
蓮は「止まんねえ!」と歯を食いしばって執念を燃やし、ロープ際に追い込む。
翔のストレートが再び顔面を捉え、鼻血が滴る。
痛みが走るが、蓮も負けじとボディへのショート左フックを叩き込む。
翔はスウェーでかわし、カウンターの右クロスを顎に炸裂させる。
「バシッ!」と響き、蓮の膝が一瞬揺れる。
だが、蓮は「負けてたまるか!」と吠え、執念でコーナーに押し込む。
フェイントの左ジャブで翔のガードを上げさせ、渾身の左ボディフックを脇腹に叩き込む。
翔は肘を下げて脇腹をガードするが、膝が一瞬沈む。
「くそ、油断した」と呟き、呼吸を整える。
クリンチで蓮の腕を掴み、間合いをリセット。
レフェリーが「ブレイク!」と叫び、翔は素早くコーナーから脱出する。
蓮はプレッシャーを強め、ボディへのショートフックを叩き込む。
だが、翔はフットワークでかわし、右ボディを脇腹に打ち込む。
「バスッ!」と音が響く。
「まだだ!」と蓮が吠え、追う。
蓮は最後の力を振り絞って執念を見せ、ロープ際に追い込む。
フェイントの左ジャブから右ストレートを放つが、翔はかわし、カウンターの右アッパーを顎に叩き込む。
「バシッ!」と音が響き、蓮の視界が揺れる。
ゴングが鳴り、1ラウンド終了。
会場は熱狂の歓声と拍手に包まれる。
観客席は「翔、決めろ!」「蓮、逆転しろ!」と熱狂の渦に包まれる。
蓮はコーナーに戻り、鼻血を拭いながら荒い息をつく。
圭がタオルで血を拭き、「あのボディフック、効いてます! ボディを狙って足を止めましょう!」とアドバイス。
蓮は「絶対勝つ」と呟く。
翔はコーナーで「油断した……だが、次は無い」と闘志を燃やす。
健太は拳を握り、唇を噛みしめる。
「予想以上のフットワークだ」
健太は美咲を振り返り、「美咲さんだったら、翔のスピード、どうしますか?」と尋ねる。
彼女は腕を組み、鋭く答える。
「殴られる前に殴ったら勝てるだろ」
健太は頷き、「蓮、距離を取れ!」と叫ぶ。
美咲が冷静に「お前、アップしなくていいのか?」と鋭い視線を投げる。




