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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。

現実

作者: 花粉
掲載日:2025/11/20


“日常”

あなたはこの単語を見て、又は聞いて、何を思い浮かべるだろうか。私は“何の変哲もない、面白みの無い世界”だと思っていた。これから書かれる話は、私が確かに、現実で体験をして、記憶に濃く、そして鮮明に刻まれた夏休みの記憶である。日常が崩れ去る瞬間なぞ。あっという間なのだ、と。


私が大学生の時のお話。その時はなんと言えば良いのだろうか、“日常”に飽き飽きしていたのです。

何も変わらず、アルバイトで働き、大学の講義を受ける。変わらない、繰り返される一種のプログラムのような、そんな生活をしていました。

世間一般で私は所謂「陰キャ」の部類かと言われるとそうではない、「陽キャ」にもなれない、中途半端な立ち位置でした。

友達も少ない訳では無いが、多い訳でもない。

アニメやマンガの世界で私は「モブ」と言われる立場の人間だった。そんな日常を変えたくて、でも、何かしら行動を起こす訳でもない。非日常を願って生きるだけ。

虚しく、どこかかけたような日々でした。


大学二年生の夏休み。

大学の同じサークルの仲間と居酒屋で話していたんです。(以降私以外の人間はアルファベットで表す物とする。)

私「なぁんか最近面白いことないよなぁ」

A「ははっ、またその話かよ。よく飽きないな笑」

B「ホントだよ〜。普通の大学生って感じがいいんじゃん!」

C「でも解るぜ?その気持ち、講義受けてバイト漬けの日々。大学生っぽいことなんも出来てねぇよなぁ〜」

私「でも、バイトと講義以外で特に私たちがすること無いもんね〜」

と、他愛のない世間話をしていたのを覚えています。

このA、B、Cとは大学1年生の頃から何かと関わりのある、まぁ、腐れ縁みたいな物でして。

とまぁそんな時にAがこんな事を提案してきたんです。

A「大学生っぽい事と言ったら何かある?」

私「うーん、、、そう言われると難しいけど、海とか山とか、“肝試し”とか?」

B「あ〜ね。だけど海とか山とか今すぐってなるとキツイよねぇ〜」

A「確かに。今冬だしなw」

私「寒中水泳はさすがにキツイわw」

C「でも、肝試しかぁ。良いかもな」

私「あれ?Cってそう言うの得意なタイプだったっけ?」

C「いや、でも今すぐなんかやりたいじゃん?大学生活なんてすぐ終わっちまうんだしさ」

A「確かにな」

B「えー。遊び半分で行くのは止めといた方がいいよぉ」

A「何だよ、ビビってんのかよw」

B「はぁ?そう言うのじゃなくてシンプルに危ないって話!」

私「まぁまぁ、2人とも落ち着きなって!」

ちなみに、このBという子は昔から霊感があるらしく、姿形がはっきり見えるわけではないのだが、気配のような物を感じるらしく、あまり乗り気ではありませんでした。

私「肝試し行ってみようよ!」

B「は!?ホントに行くの!?」

B「やめといた方がいいって!危ないよ!」

私「いやいや、行くだけだからさ。」

私「そもそも幽霊なんて居ないって!気のせいだよ 気、の、せ、い、!」

A「ノリ悪いってB!大学生でいる内に思い出残しておきたいじゃん!」

C「そうだよ!行ってすぐ帰って来るだけだって!」

まぁ、そんな押し問答が何回か続いた後、私は焦れったくなってしまって。

Bを無理やり連れて行こう、となったんです。

この時、私たちは大分酔っていて、正常な判断が出来なかったのだと思います。

Bは最後まで抵抗していて、よく考えればこの時に行くのをやめていたらどんなに良かっか。

まぁ、今考えても遅いのですがね。


ここで私の地元の話を少しさせてもらいたいのですが。

私の地元は田舎でも都会でもない、所謂“片田舎”のような場所だったんです。

そのせいか、昔建てられて廃墟になってそのまま放置、という流れの建物が多く存在していました。

私たちがあの日行った廃墟(仮称Dアパート)もその中の1つでした。

でも、そのアパートはなんと言いますか。とにかく他の廃墟とは違うオーラというか、雰囲気を纏っていたんですね。

私たちが小学生の頃から既に廃墟になっていて、何があった場所なのかどういう経緯で建てられたアパートなのか、親は質問してもひとつも答えてくれませんでした。


車で2時間ほど、タクシーから降りた私たちはその例のアパートへ向けて歩き出していました。

B「ねぇ、ホントにヤなんだけど!」

B「遊びで関わっていい存在じゃないって!」

私とA、Cは「まぁまぁ」とBの事を宥めながらアパートまで歩いて行きました。

私たちがこの後何が起きて、どうなるかも知らずに呑気に歩いていたこの時の私たちに今、忠告が出来るのだとしたら私は「逃げて」、と、とにかくこの一言に限ります。

私「私が子供の頃からあるんだけどさ、誰も近寄らないし、親が話してもくれないから不気味なんだよね。でも、今回の肝試しにはピッタリでしょ?」

B「ねぇ。このアパート本当にマズイよ。引き返した方がいい。」

C「おいB!いい加減ウザイって!ガキじゃねぇーんだから腹決めろよ!」Cは嘲るように言った。

B「テメェと違ってこっちは本気で言ってんだよ!!まだ私死にたくないの!」

A「はいはい、またいつもの『ここヤバいのよ』ムーブね〜」

B「ねぇ、待って!私行きたくない!本当にヤバいの!」

ここまで必死に反対されてしまうと酒が入っているとしても、ビビってしまうもので。さすがの私たちも「引き返した方がいいんじゃないか?」と、相談し始めた頃です。


ーーー Bが、急に叫び出したんですーーー


“悪魔憑き”ってあるじゃないですか。まんまそれと同じ感じでした。

私達は、一瞬何があったのか分からずに、突然聞こえてきたBの聞いた事のないような声に呆然と立ち尽くしていました。

その後Bが気絶をしたのか思いっきり後ろに倒れて、ようやく状況を把握した私たちはBに駆け寄りました。

私「ねぇB!何があったの!?ねぇ!ねぇ!」

A「おい、、これホントにヤバいんじゃねぇのかよ!?」

C「知らねぇよ!誰だよ!肝試し行きたいなんて言ったやつ!」

私「何!?私のせいって言いたいわけ!?」

私「あんたが良いなって言ったから来ることになったんでしょ!」

A「うるさい!落ち着け、2人とも。まずはBをどうにかしないと。」

後から思い返すと何をやっているのか分からなくなる責任の押し付け合いをしていました。

本来ならば、Bの事を気にしなければ行けなかったのですが、そんな事を気にする余裕もないほど私たちはパニックになっていたのです。

Aの言葉の後正気に戻った私たちは急いで救急車を呼び、Bを病院に送りました。

付き添いにはあの状況下で冷静を保っていたAが自ら立候補して救急車に乗り込みました。


2日後。

Bが音信不通になった。

私達は依然集まることはあったのですが、誰一人として言葉を発しませんでした。

元々Bは律儀なやつで。

人からのメールや電話は必ず出るような、そんな人でした。

検査の結果異常がなかったため、既に退院しているはずなのに、おかしいと思い。

Bの両親に電話をかけてもらったり、大学からかけたり、下宿先を尋ねたりもしました。

ですが、Bからの返答はなく、ただ部屋の中から『ゴソッゴソゴソッゴン…ズリズリ…』

と、Bが生活してるであろう音が聞こえていたので、一応生きてはいるのだ、と少し安心したのを覚えています。

だが以前音沙汰無し。

誰の呼び掛けにも反応せず、バイトも無断欠勤をするしまつ。

大学にも来なくなり、1週間が経過しました。

A「おい、、、さすがにおかしいぞ。あいつ何やってんだよ、、、」

私、C「…………」

1週間も経っていると、さすがに体調不良などでは説明ができません。

この前の廃墟に行ってから明らかにおかしい事、Bは霊感があったこと。

私達も薄々、あの日あの場所でBが“ナニカ”を見たのだと感じてきていました。

そこで私たちは、大家さんと彼女の下宿先に突撃するという強行作戦に出よう、という作戦を立てたのです。


当日

彼女の部屋の前に立った時。鼻の奥をツンと刺す“異臭”がしたんです。

嫌な予感なんて言葉で片付けられない、その時に私たちの中にあった疑問は確信へと変わりました。


震える手で警察を呼ぶ。


大家さんと共に警察を待つ。


匂い。


今でも鼻の奥に染み付いて離れない。


腐卵臭のような強烈な匂い。


警察が到着した後、いざ、大家さんと部屋の中へと入りました。

酷い有様でしたよ。それは、なんと言えば良いのか、、。

元が人間だったなんてとても信じられないような。私達はその場で吐いてしまいました。


私(え?え?え?“アレ”B?嘘嘘嘘嘘嘘。)


それは死体と呼ぶにも無惨な見た目をしていました。

蛆がたかり、グチャグチャになった身体。

部屋中に染み付いた飛び散った(?)血の痕。

内臓であろう物が腹から出ている。

黒い。血液のようなもの。


何よりBは…笑っていたんです。キレイに、椅子に座った状態で。

彼女は、Bは“笑っていた”。貼り付けたような、無理やり笑わされているような、そんな表情で。


その後は私とA、Cは外に出されて。さらに多くの警察のひとがやって来ました。

事情聴取から始まり、最近の出来事。

Bの人間関係など、根掘り葉掘り聞かれました。

なんと答えたのかはよく覚えていません。

その時の私は「なんで?」に支配されていました。

明るく、誰に対しても明るいBが。

あんな死体になって見つかると、誰が思えた?誰が予想できた?

もっと早くにBのところに行けば良かった。

無理やり誘った私達のせいだ。

そんな事ばかり考えていました。

Bの両親にこの出来事が伝えられると。私達はBの父親に思いきり殴られました。

当然です。

私が誘わなければ今でもBは笑って生きていたかもしれなかった。

その未来を自分が潰してしまったのだ。

殴られる事ぐらいなんて事ない。当然の事だと思っていた。

だが、何も分からないままではBが報われない。また被害者が出るかもしれない。

そんな思いで私たちは個人的にDアパート廃墟について調べることにしたのです。


ーーーDアパートーーー

前に書いたように、Dアパートは私たちが小学生の頃には既に廃墟であった。

その事から、Dアパートはバブル期後期に建てられ。

バブルの崩壊と共に廃墟になったのではないか、と考えた。

私たちは昔からある地元の不動産屋の人に情報提供を求めた。

だが、帰ってくる答えは「知らない」「帰ってくれ」など、何かを恐れるような、怯えているような反応ばかりだったのです。


A「ダメだ。どこに行っても断られてしまう」

C「こっちも同じだ。全員知らねぇって言いやがる。だけどよ、あれは知ってるけど隠してるって感じの反応だぜ。」

私「でも、隠すとして何を隠してるの?」

C「解るかよ。だから調べてんだろ」

A「何か事件があった…?」

私「え?」

A「いや、仮に彼処が廃墟になった理由がバブル崩壊以外の要因だったとするとそれぐらいしか…」

C「その説はあるな…。だけどよ、バブル期の事件なんてどこにも載ってないぞ?」

私「図書館…!そうだよ!図書館なら昔の新聞を保管してるかもしれない!」

C「だがよ、いつ廃墟になったかも解んねぇのにどう絞り込むんだよ」

A「…力技しかないだろうな。しかも地元でしか配られない新聞だ。だいぶ大変な作業になるかもしれないぞ…」

私「でも、何かそれが解決に繋がるなら私、やりたい。」

C「俺もだ。何もわかんなかったで終わりなんて…Bが可哀想すぎるぜ」


そこからは何ヶ月もずっと図書館に通いながら、Dアパートに関する事件が無いかを探し続ける日々でした。

探し始めてから一年以上が経った。


C「おい!これじゃねぇか!?」

私 「ど、どれ!?」


そこには『Dアパートで無差別殺人事件発生』という物だった。

私たちは言葉を失った。

まさか悪ふざけで行ったアパートで過去に大量殺人?

色々な考えが浮かんでは消え、浮かんでは消えて行った。

すぐにAを図書館に呼び出し、記事について詳しく見ていった。


〜Dアパート大量殺人事件の記事〜

19◼◼年◼月◼日

◼◼県◼◼◼市内のDアパートで、精神障害者による無差別殺人事件がありました。

犯人はアパート内の住人を無差別に殺した後、自身の借りていたアパートの一室で命を絶ったと言う。


犯人は統合失調症と診断されており、普段から奇行を繰り返していようです。

〜近隣住民の声〜

住民1「怖いわねぇ、そんな事があったの。でもね、あの人も奥さんと子供を早くに亡くしてね。可哀想な人なのよ。」

住民2「元から奇行が目立つ人だったがまさか、殺人を犯すとは思わなかったよ。人間分からんね。」

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


私たちは再び絶句した。

しかも、犯人は自殺。

Bと状況が似すぎている。

まさか幽霊?怨霊?この世の理を超えた何かなのか?そんな考えが頭の中に渦巻いた。


A「あのアパートでこんな事が…」

私「……」

C「………………」

私「もしかしてBはこの殺人を犯した方の人に取り憑かれちゃったの…?」

C「やめろよ!縁起でもねぇ…。だが、十中八九そうなんじゃねぇか。あまりにもシチュエーションが似すぎてる。」

A「どちらにせよ原因は連れていった俺らにある…。後で、Bのお墓に花を供えに行こう…。」

私「うん…。」


帰り道。私たちは一言も喋らずに歩いていた。

今日知った事実と、過去の罪。

Bの無念と、死の恐怖。

最後まで嫌がったBを無理やり連れていき。死なせてしまった自分たちの罪。

これからも一生背負って生きていこう。

そう心に決めた。AもCも同じことを思っているだろう。


その時


ガシャァァァン!!!!!!!


大きな物がぶつかり、潰れる音。オイル、ガソリンのような匂い。近くでは何かが燃えている。


(痛い、、、何…が起きたの…?)


突然の衝撃。

体の痛み。

それが車に追突されたものだと気づくのに大分時間がかかった。


(車…?車に、、ぶつかられた…?AとCは…?)

私は周りを見回した。


あぁ


見たくない。


アぁァ゛


そこに、転がっていたのは


私のクッションになり潰れたAの姿。痛々しい。後頭部が潰れているのか血が流れ出る。


車にモロにぶつかられ、壁と車の間でボソボソと言葉を発するC。下半身が潰れているのか地面に大きく血が広がっている。彼は虚ろな目で「ごめんなさい、ごめんなさい」と呟いていた。


そこで気づく。


「あれ?私、、左腕…どこ…?血が、、止まらない…?」


そのまま私は意識を手放した。




皆に伝えたい事。それは、幽霊は、悪霊は実在するという事。

身近に潜み。私たちを見ていると言うこと。

あの日から、生き残ったのは私だけになってしまった。

後悔してもしきれない。

私は今、癌に侵されている。

例の事故で左腕は無くなり、左の肺は破裂した。

死ぬ前に、これを書いている。

A、B、C。

私もそろそろそっちに行くことになりそうです。

皆待っててくれてるかな?

私は地獄行きかもしれないな。


ただ1つ。


Dアパートには近づかないで。












……バイバイ(ᴖ ͜ ᴖ)

私の実体験を元にしてフィクションを交えてお話してみました。

楽しんでいただけたなら幸いです。

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