表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
极道様と甘い復讐の時間  作者: 朧月 華


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

32/40

血桜

午前三時五十分、港区三号倉庫区。


月光は濃い雲に覆われ、数本の寂しい街灯だけが、湿った空気に黄昏色の光を滲ませていた。巨大な倉庫は、身を潜める巨獣のように、夜の闇の中で沈黙している。空気には、海水の塩気と、かすかな鉄の匂いが漂っていた。


倉庫内部には貨物は積まれておらず、がらんとしていた。一条組の精鋭たちは、獲物を待つ狼の群れのように、影の中に潜伏している。彼らの呼吸は静かで、眼差しは鋭い。竜也は二階の鉄製プラットフォームに立っていた。動きやすい黒の戦闘服は、ほとんど闇と同化している。彼は耳に通信機をつけ、冷静に各配置からの報告を聞いていた。


「一番隊、配置完了。入口異常なし」

「二番隊、配置完了。裏通路封鎖」

「三番隊は制高点。視界は良好」


時間は一秒一秒と過ぎていく。空気は、張り詰めた弓の弦のように緊迫していた。


午前四時ちょうど。


ナンバープレートのないバン数台が、幽霊のように音もなく倉庫区に滑り込み、予定されていた三号倉庫の扉の前に停車した。車のドアがガラリと開き、数十名の山口組の組員が、鋼管や日本刀を手に、次々と飛び出してきた。彼らの動きは迅速かつ秩序立っており、周到に準備されてきたことが窺える。


先頭に立っていたのは、柴田派の腹心で、「毒蛇どくへび」の異名を持つ佐久間さくまだった。彼は残忍な笑みを浮かべ、手を振った。


「入れ!速戦即決だ。一条組のこの**『ブツ』を全て焼いちまえ!」


しかし、彼らが倉庫の扉を押し開けて飛び込んだ時、彼らの前にあったのは、予想されていた積み上げられた荷物や、まばらな守衛ではなく、空虚な空間と死のような静寂だった。


佐久間の顔色が変わった。「まずい!罠だ!引け!」


彼の声が終わる寸前――


「轟!」


倉庫の天井に設置された数台のサーチライトが一斉に点灯した。その眩いほどの白光は、倉庫の内部全体を白昼のように照らし出し、侵入者たちの狼狽した表情を白日の下に晒した!


「地獄へようこそ」


竜也の冷徹な声が、拡声器を通じて広大な倉庫内に響き渡り、聞く者に寒気を感じさせるほどの殺意を伴っていた。


次の瞬間、闇に潜んでいた一条組の精鋭たちが、黒い潮のように湧き出し、瞬く間に山口組の人間を分断し、包囲した。余計な言葉は交わされない。金属がぶつかり合う**「キン!」という音、刃物が肉を裂く鈍い音、そして突如として爆発した怒号と悲鳴だけが響いた。


竜也は二階のプラットフォームから一気に飛び降りた。その身のこなしは、獲物を狙う豹のようにしなやかだった。彼の手に握られた特製の黒い短刀は、サーチライトの下で致命的な弧を描いた。彼が通り過ぎる場所には、立ち向かえる者はおらず、その動作は簡潔で効率的だ。一撃ごとに、相手の関節や急所を正確に捉え、瞬時に戦闘能力を奪っていく。


鮮血が飛び散り、白い照明の下で、その赤は眩いほどだった。


乱闘の中、一人の血に飢えた山口組の男が、戦神のような竜也の姿を見て、敵わないことを悟ると、目標を竜也の隣で敵と揉み合っていた若い組員へと切り替えた。手にしたなたを、その組員目掛けて振り下ろした!


「危ない!」若い組員は仲間の叫びを聞き、振り返ったが、既に避けるには遅すぎた。


危機一髪の瞬間、竜也の眼差しが鋭さを増し、身を翻してその若い組員を強く突き飛ばした。彼の左腕は、そのために完全に避けることができなかった――


「チッ!」


刀身が彼の左上腕の外側を通過し、黒い服が瞬時に裂け、血が滲み出した。鮮血はすぐに袖を濡らした。


竜也は微かに眉をひそめただけで、即座に反撃。その短刀で襲撃者の手首を貫き、男の凄まじい悲鳴の中で、一蹴りで吹き飛ばした。


「若頭!」周りの組員はそれを見て激昂し、さらに猛烈な攻勢をかけた。


竜也は、自分の流血する左腕を一瞥した。その瞳の炎は、痛みによって、以前よりもさらに冷たい狂気を帯びていた。


「一人たりとも生かすな」彼は顔に飛び散った血を拭い、その声は九幽から来たかのように低く、最後の抹殺命令を下した。


戦闘は、サーチライトの容赦ない光の中で、一方的な屠殺へと変わった。倉庫内の最後の叫び声が静寂に帰した時、床には山口組の男たちが横たわっていた。


竜也は、その屍の真ん中に立っていた。腕の鮮血は指先を伝い、彼の足元に小さな濃い赤の血溜まりを作っていた。強光の下、彼の黒い姿は、血を浴びて帰還した修羅のように見え、周りには窒息しそうなほどの圧迫感が漂っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ